日本全国の楽しい場所を発掘するジムニー探検隊。
今回ドライブするのは「大人が楽しい乗り物系博物館」だ。
アクティブなジムニーユーザーでも寒い冬に外は苦手なはず。
そこで今回はインドアで楽しめる場所をご紹介しよう。
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晴天の東関東自動車道をウキウキ気分でジムニーをドライブする。何でそんなに気分が上がっているのかというと、芝山にある「航空科学博物館」に向かっているからだ。この博物館は旅客機の展示を中心とした施設で、YS-11の試作機が置いてあることで有名だ。
TV番組「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」の“翼はよみがえった YS-11”に同博物館が登場して以来、ずっと行きたかった。なのだが成田という場所は海外出張でもないかぎりなかなか足が向かなかったため、今回は念願のドライブということになる。
航空科学博物館は成田空港A滑走路のすぐ脇にある。奇しくも2012年12月13日には、1978年の開港以来使用距離を制限していたA滑走路が4000メートル全面運用を開始したばかり。そのため、同館の敷地スレスレで旅客機が降りていくという迫力のシーンが見られる。
さて管制塔をイメージした建物に入ると、すぐにセキュリティゲートを模した入口が見える。細部にまで飛行機好きのハートをくすぐる演出がいっぱいだ。 入館して最初に体験したのが「DC-8」のシュミレーター。かつて航空会社でパイロット養成用に使用されていたものをリメイクしたシミュレーターで、羽田空港から成田空港までの空路を体験できる。古い機種とは言え操作系はすべて実機と一緒なので、飛行機好きなら一気にアドレナリンが出ること間違いなし。疑似で再現した重力もなかなかリアル。こちらは一日数回の開催で、整理券をもらう必要があるのでまず時間をチェックしたい(時間は同館HP巻頭ページの「運行時間」を参照)。
僕が楽しみにしていた同館のメーンイベントが「747セクション41」だ。最近ではほとんど見なくなったボーイング747、いわゆる“ジャンボ”だが、やはり昭和世代には永遠の空の象徴と言えるだろう。セクション41とはボーイング社が747の機種部分に付けた名称だ。
展示されている機首は、飛行機の墓場として有名なアリゾナ州「マラナ・エアパーク」で眠っていた747を切断し、船で日本に運んできた。頭だけとは言え、実際の747が駐機している時と同じように展示されているため、下から見た迫力はハンパじゃない。一般人はなかなか見ることのできない角度から、じっくりと747を拝めるのだ。
階段を上り、まずは操縦室へと入る。747でも747-2Aという初期の機体なので、フライトエンジニア席がある3人乗り仕様だ。かつては国外線などでコクピットを見学できたという時代もあったが、昨今ではハイジャック防止のためそれもできなくなっている。それ故、こうしてコクピットをじっくりと見られるのは貴重なことだ。
お言葉に甘えて、早速操縦席に座らせていただくことに。「あっ、そちらはコパイの席ですよ」と博物館の方に突っ込みを入れられる。すみません…、国産車ばかり乗っているので、ついつい右側に座ってしまうんです。
操縦席に座ると驚くのは、駐機状態だと非常に地面が下にあるということ。地上3〜4階のあたりに操縦席がある。さらに、コクピットからの視界が非常に狭いということも衝撃的。座った感じもタイトで、こんな狭い場所で長い時間緊張感にさらされるのは大変だ。パイロットはつくづく大変な職業だと思う。
この747セクション41では、コクピットだけでなく747の構造なども説明してもらえるので、メカ好きにはたまらない。扉の構造や貨物室の構造など、航空会社の工場見学ツアーでもなかなか見られないものばかり。見学には入場料の他に500円がかかるが、それだけ払っても一見の価値ありだ。
航空科学博物館の見所はまだまだ続く。面白かったのは747のシミュレーターだ。これはモニターに空の様子が映る…というものではなく、目の前にある747の巨大な模型が操縦系に連動して動くというものだ。普段、飛行機に乗っていると、一体どこがどう動いてどんな動きをするのかというのが分からない。このシミュレーターでは、各部の役割と機体の動きを学ぶことができる。「なるほど、そのためにフラップがあるのか?!」などと、感動しきりだ。
同館の展示物はとにかくスケールが大きくて、輪切りの747、DC-8、YS-11や映画「ライトスタッフ」でお馴染みのベル・XS-1の再現操縦席、映画「ハッピーフライト」で製作された747-400の操縦席セットなどが見られる。屋外にはYS-11の試作機をはじめとする実機19機が並べられている。飛行機を展示している博物館は全国にいくつかあるが、ここはまさしくトップレベルだ。
4階はレストラン、5階は成田空港を一望できる展望室があり、日がな一日飛行機を眺めて時間を過ごすのはなかなか幸せ。訪れた日の問題なのか、来場者は年齢層が高く、少々“お達者クラブ”的な雰囲気が漂っていたが、繁忙期はすごい混み具合なんだとか。いずれにせよ、飛行機ファンでなくても楽しめる博物館だ。
乗り物趣味の王道と言えば、やはり鉄道だろう。「鉄ちゃん」などとちょっと侮蔑のこもった呼び方をされることが多いが、男なら誰でも子どもの頃は鉄道に興味を持った時期があるはず。誰が何と言おうと、鉄道は乗り物系趣味としては不滅だと個人的に思う。
全国には鉄道の博物館がいくつかある。有名な所では、大宮の「鉄道博物館」こと“てっぱく”があるが、個人的にはあまりおもろくないと感じてしまった。たしかにそれなりの数の車両が展示されているが、値段の割には満足度が低い。
ここで関東近辺でおすすめの鉄道博物館ベスト3をご紹介しよう。まずは群馬県にある「碓氷峠鉄道文化村」だ。広大な敷地に30両以上の電車、機関車が展示されており、鉄道好きなら一日いても飽きない。何と言ってもここの目玉は、ホンモノのEF63を自分で運転できること。3万円で技能講習を受ければ、その資格が得られる。1回運転ごとに別途料金が必要だが、それを高いと感じるか安いと感じるかは貴方次第。
2つめのオススメスポットは「地下鉄博物館」だ。メトロ東西線の葛西駅脇にある同館は、こじんまりした博物館だが展示の内容が濃い。地下鉄の歴史やしくみをはじめ、総合司令室が体験できる展示や運転シミュレーターなど、210円の入館料でかなり楽しめる。
そして3つめが、次に紹介する「東武博物館」。東武スカイツリーライン東向島駅に隣接している同館は、その名の通り、東武鉄道の博物館だ。鉄道博物館だが、駐車場も用意されているのでジムニーでも行きやすい。
200円というリーズナブルな料金を支払って入場すると、いきなりデハ1形5号とSL・B1形5号が鎮座している。大抵、どの博物館でも車両はきれいにレストアされているものだが、この博物館のレストア状態は格段にいい。客車などは惜しみなく内部を開放し、自由に座って楽しむことができる。
同館は東武ということもあり、鉄道だけでなくバスの展示もある。シミュレーターも豊富で、マスコンで鉄道模型を動かすタイプ、モニターを見ながらマスコンで操作するものなど様々。
中でも楽しいのは10030系の運転席をそのままシミュレーターにしたもので、巨大スクリーンを観ながら電車を運転するのは鉄道マニアでなくても楽しい。僕は「電車でGo!」にハマったクチなので、運転席に座った時は相当テンションがアップした。ちなみにバスのシミュレーターがあるのも、同館らしい。
同館にはちょっとした休憩スペースでも電車のシートがあり、館内至る所で電車の雰囲気を満喫することができる。中でもスペーシアの個室や1720系デラックスロマンスカーの客車に座っていると、走ってはいないものの旅情を疑似体験できて楽しい。
東向島駅の高架下にあることを利用した線路観察コーナーや駅の仕組みが分かる展示など、あまりじっくりと観ることがない鉄道の細部まで知ることができるのはおもしろい。
平日の昼は、ママ&お子様たちの“公園”になっている感があるが、それでも混雑しているわけではないのでゆっくりと見学できる。展示は大人向きだが、いい歳をした大人がお子様の横でシミュレーターをやるのは少々恥ずかしいということはお伝えしておく。
Vol.7-2へつづく...