林道斑尾線も柴津林道と同じく、森の中をひたすら走る。
この道も眺望は無理か...と諦めていたらいきなり視界に野尻湖畔の街並みが飛び込んできた。
やはり美しい景色を見ると気分が高まるってもんだ!
柴津林道と林道斑尾線はともに大半のルートが深い森に覆われている。マイナスイオンはたっぷりだが、思わず立ち止まってしまうような感動的な景色はほとんどない。走りを楽しみたい人向けのコースだな…なんて思っていたら、思いもよらぬ景色が目に飛び込んできた。稜線沿いの道となり、左側の視界が開けたと思ったら、野尻湖を見渡せる壮大な景色が広がっていたのだ。ガードレールが気になったが、なかなかの撮影ポイント。訪れた人は是非とも記念に収めたい場所だ。
2本の林道を走り終えたところで「もう一度戻って支線を走るか? 食事にするか?」をふたりで相談。結果、「腹が減っては戦ができぬ!」と食事を選択して町へ下りることに。さて何を食べよう? スマホで近場の名店を検索したら「そば処 たかさわ」が引っ掛かった。なんだかツーリングの昼飯は蕎麦ばかりのような…と思ったが、信州で評判なら美味いに決まってる! と店に向かった。その判断は正解! 自家栽培(と信濃町産)した蕎麦を提供するこだわりのそば処で、休日ともなれば大混雑するほどの人気店なのだ。Yカメは限定の十割黒姫蕎麦とタケノコ天ぷら、筆者はナメコおろし蕎麦、さらにデザートで名物という蕎麦クレープを注文。蕎麦は美味かった! 蕎麦クレープは、正直好みが大きく分かれるだろう。まぁ、話のネタにはなるかな?
次なる目的地は「燕温泉」だが、入浴だけで宿泊はしない。何故か? 宿は「オリジナルフレンチ」と豪快な「ログハウス」で人気のペンション「カムループス」を予約したから。昼過ぎと早い時間だが、燕温泉を目指す。
燕温泉は白い濁り湯が特徴の温泉で、「黄金の湯」と「河原の湯」ふたつの無料露天風呂がある。黄金の湯は山の中腹、河原の湯はその名の通り河原に湧き出ている温泉だ。今回は河原の湯をチョイス。白濁の色と硫黄臭が「これぞ温泉!」と実感させ、さらに適温と言うこともあり、Yカメと筆者ともにお気に入り。数人いた先客ともにいろんな話で盛り上がり、2時間半近くは浸かっただろうか。気持ちが良すぎてこれ以上林道を走る気が起こらないので、宿へ向かった。
今回選んだ宿は、野尻湖の北東に位置する「森のログホテル カムループス」。本来であれば燕温泉に宿泊するのだが、「フレンチが絶品」との評判が気になり、温泉よりも料理を選んだのだ。さて、そのフレンチだが、評判に違わず、とっても美味! フレンチをウリにしている店でも、ソースの味でごまかしていることが少なくない。それに対して、ここのフレンチは素材の味を上手く引き出しているのだ。繊細な舌を持つ日本料理のプロが作ったフレンチと言ったら分かりやすいだろうか? 多くのリピーターが訪れるのも納得である。筆者もまた食べに来たいと思った。
またカムループスは、オーナーのファミリーで経営していて、とてもアットホーム。その居心地の良さも大きな魅力となっていて、さらご主人がに元四駆乗りということもあり、会話がとても弾んだ。 そして我々が知らなかった林道や穴場のケーキ屋を教えて貰ったので、二日目の予定を変更。地元の確かな情報は真っ先に優先すべしである! こんな触れ合いが旅をさらに思い出深くするのだ。
2日目は朝から素晴らしい天気に恵まれた。昨晩のフレンチ同様、これまた美味しい朝食でお腹を満たし、まずは教えてもらった林道を目指すことに。詳細は内緒だが、ペンションから15〜20分ほどの距離だ。
入り口に標識が立っていたが、朽ち果てていたため林道の名称は分からない。前方には視界が開けたダートが延びていて、昨日とは違ったロケーションが期待できる。固く引き締まったダートを走り、峠まで最後の登りかな? と思われた矢先、目の前に現れたのは、黄色と黒のツートンでカラーリングされた棒。そこには「災害のため通行止」の注意書きが掛かっている…。仕方ない、諦めるか。
今回の締めは野尻湖畔にあるケーキ屋「ぼーしや」だ。オーナーは品の良い女性で、以前は東京に住み帽子のデザイナーとして幅広く活躍されていた方。「ぼーしや」という店名はそこから由来している。30年ほど前、野尻湖畔に移住し、自然食材にこだわったケーキ屋を始めたという。現在は姉妹店としてジャム工房も営業しており、そちらも大評判。そんな「ぼーしや」のケーキだが、何とも珍しい「夏みかん」のロールケーキを注文してみた。気になる味は、甘いもの好きな山岡カメラマンが子供のように満面の笑みを浮かべながら喜んだのであった。
今回のツーリングは、人との触れ合いが多かったのが特徴。その分内容が濃くなり、とても思い出深い旅となったのだ。