『工事による通行止め』と聞いていた赤倉林道だが、入り口まで様子を見にいったら閉鎖されていなかった。
「途中から通行止めなのかな?」と取りあえず進むと...。
何事も最後まで諦めちゃいかんな! ということを再認識した次第であった。
2本の林道を走り終えた後、小住温泉で昼食を兼ねながら休憩。内風呂と露天風呂を備えているのだが、露天風呂の広さに驚いた。50人は余裕で浸かれるほどの規模なのだ。そんな露天風呂をYカメとふたりで独占! お湯も適温で1時間は浸かっていただろうか? いや〜気持ち良かった!!
失礼ながらもそれほど期待していなかったため気分は良好。そして食事をとるべく休憩室へ向かいメニューを見たら、「あれっ? なんだか美味そうじゃね?」。
地元産の食材を活かした料理が豊富で、添付されている写真がとにかく美味そうなのである。ボリューム満点の定食にそそられたが、夕食までの時間を考えると軽めにしないと…。そこでYカメが『天ぷらうどん』、筆者が『すいとん』と『ざる豆腐』を注文。いや〜、小住温泉を舐めていた。料理も美味いではないか! ここはマジでオススメの温泉施設である。大満足で宿に向かうことにした。
Yカメ:「どうせ通り道にあるから、赤倉林道の入り口まで行ってみない?」
筆者:「そうだね。もし走れたらラッキーということで!」
その時、ふたりの期待値は限りなくゼロに近かった。しかし! 神は我々に微笑んでくれたのだ。「あれっ? ゲートがないじゃん!」
閉鎖されていれば、もちろん進入などしない。しかしゲートがないのだから走ってもOKということ。「途中で通行止めかもな?」と思いながら、とりあえずアタック開始である。
役所で『通行止め』と聞かされているためか、最近クルマが走った形跡がない。そして凸凹が強烈。溝が深く掘られている箇所も多いからビギナーの単独行だと不安になると言うか、泣きたくなるだろう。ジムニーでもサスペンションがノーマルだとボディをヒットさせる確率が高い。
筆者:「おいおい、なんて楽しい林道なんだ! 走れて嬉しいじゃないか!!」
Yカメ:「これだけ荒れていたら通行止めにしなくても、普通は引き返すだろうな」
筆者:「いい写真頼むぞ!」
Yカメ:「ん? ああ…」
筆者:「乗り気ないじゃん? どした?」
Yカメ:「もう宿に向かうだけだから、さっきの温泉でケースに入れちゃった。ワリ〜ね」
筆者:「おい、こら! ギャラ半額!!」
Yカメ:「オレのギャラを払うのはお前じゃないだろ!」
確かにそうだ。まぁ2本走った林道と似たような写真にあるから許すとしよう! しかし、しばらく走るとフラットダートになり、素晴らしい景色が広がっていた。
Yカメ:「あっ、クルマ停めてくれ」
筆者:「どうした? トイレタイムか?」
Yカメ:「いや、ココはいい絵が撮れる!」
筆者:「おお! やる気になったか!!」
Yカメ:「オレはいつもやる気満々だ!」
「へっ? そんなヤツが宿に着く前にカメラしまうか?」と口から出かかったが、気分良くキレイな写真を撮ってもらうために我慢した(笑)。
今回の旅の目的となった宿は、老神温泉の『伍楼閣』。全国露天風呂百景に選ばれた露天風呂「赤城の湯」の他にも「岩鏡」、「水鏡」、貸し切りの「もみぢ谷」、合計で4つもの露天風呂を備えているのだ。そして内風呂は2つあり、時間で男女を入れ替えているため、6つ全ての湯船に浸かることも可能。さらに最近では珍しい「混浴」もある(正確には混浴タイムを設けている)。
特に注目すべきは『熱湯』と『ぬる湯』に分かれていること。好みの湯に浸かれるから多くのリピーターを抱えているのだろう。湯船の造り、温度、そして景色、どれをとっても不満はない。温泉好きにはたまらない宿である。ちなみに、筆者とYカメは夕食前、夕食後、そして早朝と3回に分けて6つの湯船を制覇した!
料理は旬の新鮮な野菜や珍しい岩魚の刺身、高級な上州牛などを提供。温泉に加えて、料理も非常に高い評判を得ているのだ。「おっ!」と思ったのは、館内は畳敷きのために上履きが不要であること。温泉上がりの素足でも冷たさを感じることなく歩けるのがイイ。スタッフは女性が多いこともあり、細かな気配りが温かく、とても優しい雰囲気に包まれている。自信を持ってオススメできる宿だ。
老神温泉の近くにある有名な観光スポットが『吹割の滝』。滝の魅力は何? と聞かれれば筆者は「高さ!」と答える。だから日本三名瀑の『華厳の滝』、『那智の滝』、『袋田の滝』は知っているし、いずれも観光したことがある。しかし、正直言って高さのない『滝』にはほとんど興味がない。Yカメも同じようである。
筆者:「三名瀑ほどの迫力はないんだろ?」
Yカメ:「多分な。どうする? もう帰るか?」
筆者:「まぁせっかくだし、近くだから一応寄ってみるか。一応ね」
Yカメ:「そうだね〜、このまま帰るのはもったいないしな」
早朝から温泉に浸かり、気分スッキリのふたりだが、イマイチ、いやイマサンくらい乗り気でなかった。ただネタになればイイか! くらいにしか思っていない。
もしそのまま帰宅して、後で『吹割の滝』を調べたら思い切り後悔したであろう。『吹割の滝』を完全に舐めていた。無料駐車場から10分ほど歩くのだが、その光景を見て思わず唖然…。
筆者:「でっけ〜! 何これ?」
Yカメ:「すっげ〜な!」
高低差ではなく、全体の規模がとにかくでかいのだ。『吹割の滝』は凝灰岩や花崗岩の川床上を流れる片品川の清流が作り出した自然の作品で、『鱒飛の滝』、『千畳敷』、『獅子岩』など見所がたくさんある。中でも見所は『吹割の滝』。高さ7m、幅30mという圧倒的なスケールで東洋のナイヤガラと呼ばれているとか(知らなかった…)。いやいや、これは観なきゃダメだろ!
『小住温泉』に始まり、『赤倉林道』、『吹割の滝』と思いもよらぬ好事が続いたので、「もしかしたら!」と『真菜板倉林道』に向かってみることに。どこからが通行止めか分からないし、もしかしたら繋がっている『利根平川林道』なら走れるかも? 「今回は何かとついているから、行けるんじゃね?」と調子に乗っているふたりであった。
気分良く走っていると、突然エンジンが吹けなくなった…?
筆者:「あれっ? アクセルを踏んでも吹けないぞ?」
Yカメ:「あ〜、またか…」
筆者:「なに?」
Yカメ:「パイプ抜け」
JA11の持病のひとつ『プレッシャセンサー』のパイプ抜けである。完全に穴が広がっているからテープでの固定は無理そう。そこで余裕がある他のパイプをカットして応急処置することに。こんなアナログな修理ができるのもJA11の魅力。古いクルマには古いクルマならではの利点があるのだ。とは言うものの、何か不吉な予感が…。
応急処置で回復したJA11で先を目指す。そしてそれらしき雰囲気になり、そろそろ入り口かな? と思ってコーナーを抜けたら、目に飛び込んできたのはゲート…。やはり世の中、そうそう思い通りには行かないもんだな!