灯明の湯の宿泊客は我々ふたりだけだったので温泉を独占!
ボリューム満点の郷土料理と岩魚骨酒に酔いしれて、まさに至福を味わった。
1日目で十分に満足する旅となったが、2日目も走る気満々。
天気にも恵まれたので、未走行の林道2本にアタックしたら...。
これまた予想を超える楽しさと感動が待ち受けていたのだ!!
『灯明の湯』は1999年に開業した、日帰り客をメインとする、いわゆる温泉センター。休憩ルームや食堂を完備しており、宿泊することも可能だ。平日に訪れる人は、ほぼ9割以上地元の方々なのだろう、宿泊したのは我々ふたりだけ。そして温泉は24時間入浴可能なので、完全に貸し切り状態であった。まるで自宅にいるかのように、のんびりと寛げたのは言うまでもない。
ここの温泉は八ヶ岳の硫黄岳を源流とする、湯川渓谷に古くから湧き出ている温泉を利用。源泉は35~37度と低めだが、通常の温泉の約3倍もの豊富なミネラル成分を含んでいるのが特徴だ。それを聞いただけでも肌がツヤツヤになりそうである。内湯と露天風呂、さらにサウナを完備しているので、寛ぎ方は人それぞれ。そしてセールスポイントは、八ヶ岳を眺望できること。内風呂、露天風呂の両方から望めるので、ぬるめの湯と相まって長湯するのが気持ち良い。筆者とYカメは、夕食前、夕食後、就眠前、そして早朝と、4回の入浴を楽しんだ。
意外だったのは、料理が美味しかったこと。失礼ながら正直、料理は期待していなかった。しかし地元の食材を活かした郷土料理で、華やかさはないがとっても美味! オトナ向けの薄味で、ボリュームもたっぷり。温泉と料理だけの日帰りプランでも十分に満足できるだろう。そしてご主人の心温まるお持てなしもGOOD! 『また来たいな』と思わせる、居心地の良い温泉施設である。
出発の前日、筆者は二週間に及ぶ編集作業に疲れ果て、Yカメも画像処理に追われて寝不足が続いていた。それが楽しい林道走行と気持ちの良い温泉、そして美味い料理、超爆睡によって完全復活! 天気にも恵まれ、やる気満々の2日目を迎えた。
筆者:「疲れてるんなら、このまま帰るけど?」
Yカメ:「んっ? 元気だよ〜 今日もイイ写真撮るよ〜」
筆者:「おっ、元気になったな。昨日は見るからに疲れてお爺ちゃんみたいだったけどな」
Yカメ:「それはオレのセリフ! ウッチーも昨日は夕方から目が半分閉じたじゃん。歳だしあまり無理すんなって(笑)」
筆者:「ハイハイ」
Yカメ:「オレの真似はしなくてイイ!」
筆者:「ハイハイ(笑)。んじゃ、元気になったところで、今日も走りに行くか!」
ということで、灯明の湯の北側にある『本間川林道』と『八ヶ岳林道』、そして『日石林道』を走ることにした。本間川林道と八ヶ岳林道は20年以上前に走った記憶があるような、ないような…。距離はそれぞれ、2.7km、6.4km、2.2kmで、下調べで注意すべき点は「石がゴロゴロしている悪路」と記された八ヶ岳林道だけ。まぁ余裕だろう! と軽い気持ちで北を目指した。
本間川林道は、その名前から想像できるように本間川沿いを走る林道。路面は走りやすいダートで、走った感想は「まぁ、普通だな〜」。Yカメも撮影意欲が湧くようなロケーションがなかった。次はそのまま繋がっている八ヶ岳林道だ。
下調べ通り大きな石がゴロゴロしていてリーフリジッドにはツラい…。また熊笹が元気に育っていて、道幅を狭めている。ボディへのスクラッチは必至だが、そんなの気にしていたら走れない。JA11をいつもピカピカに洗車しているYカメにひと声かける。
筆者:「悪いけど進むよ」
Yカメ:「まぁ、スクラッチは仕方ない。凹ませなきゃいいよ」
筆者:「らじゃ! 凹ませない程度にガンガン行かせてもらうわ!」
Yカメ:「サスも労れ!」
途中で視界が開け、少し走ると分岐があった。時間に余裕があったので、分岐を進んでみたら「おおっ! 川だ!!」。しかも道は川を渡った向こうまで続いているから、これは川を渡るしかない。Yカメの出番だ!
予想していなかった渡河を体験できたので、満足度は早くもほぼ100%に達した。「日石林道は短いから、ササっと流して帰るか!」と思っていたら…。
ほぼ中央から先は『千代里牧場』の中を走るルートなので、フラットダートを予想していたのだが、これが大違い。我々がアプローチしたのが西側からなのだが、路面は雨水によって深く掘られて凸凹がスゴイのだ。ここら辺だけだろ? なんて思っていたら甘かった。数百メートルも続くのだ。
写真を見れば分かるだろうが、迂闊に乗り入れたらスタックは必至。ヘタしたら横転もしかねないほどの深さと幅、長さがあり、タイヤとサスペンションがノーマルだったらUターンを覚悟したかもしれない。しかしAPIOやらわちゃんキットとジオランダーを履いたYカメ号にとって、これくらいは屁のカッパ。「これは、楽し過ぎる!」と筆者がはしゃいでいたら、「運転を代わってくれ!」とYカメもノリノリ。わざと深みに乗り入れたり、予定外のオフローディングを楽しんだのだ。
やはり悪路を一歩先まで進むのであれば、サスチューンとタイヤ交換は必要。競技にでなくてもオフロードを走るのであれば、間違いなくその恩恵に授かれるものですぞ! もしサスチューンを考えているなら、実行することを勧める。オフロード走行が大きく高まれば、それだけ行動範囲が広くなる。結果、ジムニーライフがより楽しくなるからだ。
灯明の湯と日石林道が良い意味で期待を裏切ってくれたため、今回の旅は想像以上に楽しい思い出となった。そして、その予定外は最後まで続くことに…。千代里牧場の中に入り少し走ると、目の前には日本とは思えない、まるでアルプスにいるかのようなロケーションが目に飛び込んできたのだ。この風景は心から感動! 今でもまぶたに焼き付いているほど、とにかく美しかったのだ!!