雑誌『ジムニー・スーパースージー』に連載中の『林道パラダイス』との連動企画。
2025年5月の下旬、山口県、島根県、広島県をナローシエラで旅してきた。
第3弾となる最終回は島根県邑南町から始まる。
Photo & Text : 赤ぞう
1968年神奈川県生まれ。成城大学卒。日本ジムニークラブ神奈川支部所属。ブログがきっかけとなり2011年からジムニー・スーパースージーに林道ツーリング記の掲載が始まる。著書は「ジムニー林道アドベンチャー」(SSC出版)。千葉県房総半島の林道沿いの家に暮らしながら、日本中の林道を旅することを楽しみとしている。愛車はナローシエラ。
<YouTube赤ぞうチャンネル>
島根県邑南町では鮎の遡上を遮るほどの淵があるという断魚渓へ向かう。
道から渓谷を見下ろすと足がすくむほどに深い。目指す林道は権現山の北麓を通る道で地形図には県道295号までの道筋が描かれている。断魚渓の深い谷底からヘアピンカーブで高度を稼ぎ西へ進むと北方向への枝道に入った。地形図では点線表記の道だが車両が通る幅があり轍も刻まれている。行く手を阻む倒木はワイヤ―を掛けて引きずり脇へどかして奥へと進んだ。
だが草木がびっしりと繁茂し出したところで断念。道はまだ続いているようだが路面が見えないので引き返そう。本線を西へ進み神社を過ぎた辺りから砂利道となった。廃屋を横目に進むと古い石積みが出現。かつては人が暮らしていた名残りなのであろう。今は鬱蒼と木が立ち並ぶだけで路面にはシダ類が生い茂っている。鹿賀谷川を渡ると枝葉の張り出しが多くなり倒木も増えてきた。ついには路面にも木が生えている有り様。GPSで位置を確認すると県道へ抜けるはずの道からは北に逸れていた。
道なりに来たはずなのに!?県道へ続く道筋は草木に埋もれてしまったようだ。
邑南町の林道黒坊線には県道6号から入った。舗装路を登って行くと立て続けに3頭もの鹿に遭遇。すぐ逃げてしまい写真は撮れなかったが道端には立派な角が落ちていた。
林道鈩奥線との分岐まで登ると工事で通り抜けはできない旨の標示板。通行が禁止というわけではないので進むと千代国峠から東へ下る脇道を発見した。地形図では点線表記だが久喜銀山遺跡まで通じているようだ。沢の近くまで下るとクリンソウが群生。次第に路面は荒れ始めて倒木が道を塞ぐ。歩いて先を見に行くと路面が決壊していて通れない。引き返して林道鈩奥線で迂回し亀谷峠を越えて広島県に入った。
ここの狙いは上平山へ登る林道時雨線。枝葉が堆積した舗装路を進むと行く手を阻む倒木。ワイヤーを掛けて引いてみると上手い具合に脇へ寄せることができた。その先も倒木をどかしながら登って行くと地形図どおりに行き止まり。期待していた眺望はなかったが鹿に出会うことはできた。島根県に戻って林道黒坊線の続きを西へ進む。舗装はされていたが路面に土砂が堆積し草木が茂り放題の道。苦労して走り抜けると国道261号の旧道に突き当たった。中三坂峠の方へ向かうと路面がシャガの花に覆い尽くされていて、まるで花畑。この先に峠があるはずだが花畑に轍を刻むのは止めておこう。
続いて向かうは林道三坂小林線。熊笹の茂る舗装路で尾根を越えて立岩川に沿うようになると舗装が途切れる。立岩川砂防堰の先で西へ分岐する砂利道へ進んだが工事で通行止。引き返して県道50号に抜け出た。
広島県安芸高田市の犬伏山に犬伏川沿いからアプローチすると、舗装が途切れてすぐに進入禁止の標識があった。
国有林専用林道とのことで通れない。諦めきれずに県道6号で南側に回り込むと登り口に詳細な案内板があった。ルートは2本あり、まずは霧の海展望地がある道へ進んだ。登り始めて間もなく倒木。ワイヤーを掛けて引きずり転がして脇へ寄せて突破する。ところが倒木は次から次に出現。排除しながら進んだが時間ばかりが過ぎていく。きりがないので引き返して犬伏峠への道へ向かうことにした。こちらにも倒木はあったが乗り越えられるサイズで難なく登って大澤田湿原駐車場に到着。
辺りを見回しても湿原は分からなかったが、ほかには誰もいない静かで美しい森だ。そこから少し進んだところには道に覆いかぶさるような倒木。その先は車両が走れる状態ではなく、犬伏峠までは辿り着かなかったが充分に楽しませてもらった。
安芸高田市の赤柴山に伸びる林道赤柴線には県道29号から入った。
戸島川に沿って舗装路を登ると標高380m付近で砂利道に変貌。路面は荒れ気味で二輪車の轍痕が多い。北方向への枝道に入ってみたが割とすぐに行き止まり。戻って本線を進むと橋が落ちていた。橋と言っても鉄板だけの簡易な橋。浸食で川幅が拡がり鉄板の長さが足りなくなって落ちたようだ。向こう岸にも轍を見つけてしまうと行ってみたい衝動に駆られる。広島市側から回り込んでみよう。引き返して赤柴山の北を通って県道318号に出て大きく迂回。県道68号から入り直した。急な坂道を登り詰めると荒谷山テイクオフポイントに到着。ここは雲海を見る場所としても有名らしい。この先から砂利道となり進むにつれて荒れてくる。路面は河原のような荒れ具合で枝葉は茂り放題だ。路肩が崩れた箇所は山側に寄せて通ってクリア。どこが道だか判然としないような場所は最適なラインを選んで進む。そしてついに2時間前に引き返した落橋地点に到達。
迂回したので完全踏破とは言えないかもしれないが嬉しいものである。
この旅の最後に訪ねたのは広島県庄原市から鳥取県日南市へ抜ける林道道後山線。
市道持丸線から林道に入り緩やかな坂を登って民家を過ぎると舗装は途切れる。日当たりが良く乾いた砂利道を進むと小さな白い花をたくさん付けたミズキが咲いていた。道端には紫色の小さな花が咲き乱れる。ほどよい凸凹道をゆっくりと進む。
そんな穏やかな林道に気を許していたのか突然のスタック!左タイヤが踏んだ路盤が崩れて落下。車体は大きく左に傾いた。旅の疲れもあったのかもしれないが完全なる油断。洗堀で削られた路盤は脆かったのだ。駆動を掛けてもタイヤは空転。前にも後ろにも動かない。こういうときは電動ウインチの出番。右前方10m先の立木をアンカーにするため、ウインチワイヤーとストラップを手にして熊笹の中へ分け入る。立木にストラップを巻いてウインチワイヤーのフックを掛けた。ウインチを巻き上げて前へ進むと左後輪が更に落ち込んで右前輪が宙に浮く。ウインチワイヤーで立木と繋がっているので横転の恐れはない。そのまま巻き続けると右前タイヤは接地して脱出。こんなことをしている間にブヨに襲われてしまい10箇所以上刺されたが脱出できたので良しとしよう。さあ峠までもう少しのはずと再出発したものの、カーブを曲がった先で路面は大きく決壊。残念だが引き返すしかなかった。
今回は10日間の日程で山口県、島根県、広島県と3県の林道を巡ってきたが、どの県でも素晴らしい林道を探し当てることができた。全国にはまだまだ自分が知らない林道があるはず。さて次はどこへ行こうかな。