ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.44「福島・南会津」
Traveling alone with jimny.
危機迫る酷暑の街を逃げ出して
激熱の温泉を巡ってみた
空からはギラギラとした陽射しが降り注ぎ、地面に反射してその照り返しが身体を射す。
そんな砂漠のような場所を後に、涼しげな山間部へと向かった。そして、もっと熱い高温の温泉を愉しんだ。
Photo & Text / 山岡和正 SPECIAL THANKS / 湯西川温泉安ヶ森キャンプ場HP
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。
日本の林道の有識者とも言われ、四駆でのオフロード経験値も高い。
ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
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暑すぎる。 気温は37°Cあたりをうろうろしているので、日中は外へ出たくない。いや、陽が沈んでからも気を抜くと、やられてしまいそうだ。そんな時は、標高の高い山の中へ逃げ込むのが一番だと思う。高度が100m上がると約0.6℃気温が下がるのは既知の事実だが、アスファルトやコンクリートのように蓄熱するものが少ないことや、キャパの大きな自然が熱を吸収してくれるというのもありがたい。 過ごしやすいキャンプ場でのんびりと涼しさを満喫できるだけで良かったのだが、山奥の温泉を巡ってみるのも楽しそうだ。ひなびた共同浴場や野湯ならば、一人静かに特別な湯を堪能できるだろう。暑すぎる日常から逃げて来て、それよりも熱い温度の湯に浸かるというのも、おかしな話ではあるのだが。 目的地は小さな共同浴場が点在する、栃木県と福島県の県境にある林道周辺である。
日光宇都宮道路を降りたのは、まだ朝の7時過ぎだった。北上して鬼怒川沿いの県道から、支線となる更に細い県道へと進む。最後の集落を過ぎると、急に深い緑に覆われた原生林の森が現れた。 しっとりとした空気と靄が辺りを包んでいる。ウインドウを開けて森林浴を楽しみながら走っていると、巨大な虫取り網を背負ったおじさん達が森の中をうろうろしていた。どうやら、この森には珍しい昆虫が生息しているようだ。 しばらく行くと、道はダートへと変わった。始めのうちは平坦で走りやすかったのだが、高度が上がるにつれ、どんどん荒れてくる。こぶし大の石と深い溝が続き、オフロード寄りにセッティングされているJB64・TS4でも、足回りが暴れて思うようにスピードが乗らない。身体も上下左右に大きく揺さ振られ過ぎて疲れ果てた頃、ようやく峠に到着した。 広場には、登山者が乗ってきたと思われる車が何台か駐車していた。 奥のほうに停めてあるフォルクスワーゲンのバナゴンから、本物のアウトドアズマンの匂いがするお兄さんがこちらを見ている。軽く挨拶した後、猟銃や山の話など少しばかり談笑して別れたのだが、どうやら峠の反対側から上ってきたようで、この先の道が通行可能なのか思案していたらしい。そこへ、ジムニーが上ってきたので安心したようだった。ただ、リアキャリアにホンダの赤いCT125を積んでいたので、あの凸凹道が苦難の道になることは間違いないだろう。
峠の先は、砂利が敷かれて走りやすいフラットダートで、麓まで滑るように下った。 二駆にシフトしてオンロードのワインディングを少し行くと、一つ目の目的地『木賊温泉』だ。駐車場から延びる細い坂道を下って行くと、渓流沿いにある小さな温泉である。しかし、予想以上に人がいたことにうんざりして早々に引き上げ、次の目的地の『湯の花温泉』へと急いだ。ものの10分ほどで到着して、誰もいない湯船に浸かる。やはり温泉は良いなと思いつつも、お湯が激熱すぎて長湯は出来ない。こちらも逃げるように出て、次の古町温泉へと向かった。 古町温泉『赤岩荘』は、赤褐色のお湯が魅力のこじんまりとした、いわゆる日帰り入浴施設だ。 脱衣所から露天風呂へ出ると、先客が一人湯船に浸かっている。地元民ではないが、良く来るのだという。二つの浴槽の奥のほうは源泉そのままのため熱すぎるので、ぬるい手前の方が良いよと教えてもらったが、手前の湯船も熱すぎて足先も浸けられない。ならば傍にある蛇口から水を入れろとアドバイスされ、そのおかげで何とか茶褐色のお湯を堪能することができた。 湯から上がって駐車場へ戻りふと見ると、そこには先ほどの先客が乗ってきたと思われる赤いCT125が停まっていた。 野営地のキャンプ場へ走り始めると、ぽつぽつと雨が降り始め、現地へ着くころには、土砂降りになっていた。このままでは何もできないので、沢の近くにJB64を止め、雨が落ち着くのを待った。 しばらくして気が付くと雨は上がっていて、夕暮れの青い世界に霧が立ち込め、まるで異世界に迷い込んでしまったかのようだった。
原生林の森には強い太陽光が差し込んで、強烈な明暗差を作り出していた。美しい景色だが、ずっと見ていると目が変になってくるほどだ。豊かな森は生命にあふれていて、沢の近くにはたくさんの種類の昆虫が飛び回っていた。
キャンプの暑さや寒さを和らげる方法はあるものの、高い湿度はどうにもならない。回避するにはエアコン一択であろう。夕立の後の森は、想像をはるかに超える湿度が襲う。車外での作業は、難行苦行といってもよいレベル。