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日本再発見ジムニー探検隊
VOL.021
クルマで行けるコンビニリゾートアイランド
クルマで行けるコンビニリゾートアイランド

関東に何とクルマで行ける島がある。そう、江の島だ。
「江の島でしょう〜」なんて言うことなかれ。
海あり、洞窟あり、溫泉ありのリゾートアイランドっぷりは離島も真っ青だ。
今回は島のアクティビティを完全紹介しよう!

画像をクリックすると拡大&情報が見られます(スマホ、タブレット一部機種を除く)。

東京オリンピックの舞台になった島

平成14年に整備され、散策ができるようになった防波堤。まったりするには最適。

江の島というと、東京タワーと並んで「いつもでも行けるから行かない」スポットだと思う。僕の周辺でも大人になっても江の島を知らない人が結構多い。昨今では「遠隔操作ウイルス事件」ですっかり有名になった江の島だが、実はとても楽しい場所だったりする。

東京から高速と有料道路を使って1時間30分も走れば、もう湘南海岸だ。湘南のランドマークとなっている江の島には、弁天大橋を使ってクルマで渡ることができる。ちなみに歩道橋は弁天橋と区別する。

江の島に橋がかけられたのは明治の頃で、それまでは干潮の時は干潟を、満潮時は小舟や人足によって運ばれていた。弁天橋がコンクリート製になったのは昭和24年のことで、車道の弁天大橋は東京オリンピックの開催に合わせて整備された。ここ江の島は東京オリンピックのヨット会場だったのである。

島に渡ると道は左手に進み、突き当たりで藤沢市営の駐車場に入る。クルマはここに駐めて、あとは徒歩で探検。島に入る前に、駐車場脇にある防波堤を散策してみよう。横浜大桟橋のようにウッドデッキになっていて、春や秋は海風が心地よい。釣りなどを楽しむこともできるいいスポットだ。

防波堤脇には湘南港(江の島ヨットハーバー)がある。前述の通り、ここを拠点としてオリンピックのヨット競技が行われた。太陽族世代の方なら分かると思うが、昭和の中頃は湘南と言えばサーフィンではなく、ヨット競技だったのだ。置いてある艇も大きなクルーザーとかは少なく、ほとんどがセーリングディンギーばかり。このハーバーにはレストランもあり、海とヨットを見ながらお洒落な雰囲気の中で食事が楽しめる。

聖天島公園に残る聖天島の上部。わかりづらいが、ふたつの岩で成り立っている。

ヨットハーバーから参道に向かう道沿いにぽっかりと小さな岩山が残る。ここは聖天島という小さな島だったが、ヨットハーバーを作るために埋め立てが行われたため、このような形で残ることになった。

鶴ヶ丘八幡宮の供僧・良真が、江の島での修行中に天女を見たという場所なのだという。僕には厳しい修行の末に幻覚が見えたとしか思えないが、まあありがたいお方の言うことだから本当なのかもしれない。

ちなみにこの聖天島公園は野良猫が集まるスポットとして知られ、夕方になるとゾロゾロと猫が集まってくる。

江の島グルメは「生シラス」で決まり!

山盛りの生シラスが何と525円! 他の店では考えられない価格と美味さだ

聖天島公園を裏手に出ると、すぐ前にある「磯料理きむら」。島内には多くの料理屋さんがあるが、この店が“一番安くて美味い!”と自信を持っておすすめしたい。何せやっているのが江の島の漁師さんだから、魚の目利きは間違いないし、新鮮なものを取り揃えている。

湘南では近海ものの鯵などが四季を通じて美味いが、やはりこの季節は「生シラス」。最近では回転寿司などでも生シラスを出すことが多くなったが、とにかくこの魚は鮮度が命。時間が経つとネットリとしてきて生臭くなってくる。

ところが新鮮なものは臭みがなく、こりっとした弾力性のある歯ごたえで味わえる。島内の複数の店で生シラスを食べたが、この店のものが一番鮮度がいい。土佐酢とショウガで味わえば、爽やかな風味が口に広がる。この店では他にも近海ものの刺身や煮魚、サザエ、干物などがあるが、どれを食べても本当に美味い。ジム探読者の皆様は、ぜひこの店に直行!

かつての漁師町のなごりを残す旧市街。最近はお洒落な店が増殖中だ。

きむらのある場所は、旧市街と呼ばれている所だ。ここは江の島に昔から住んでいる漁師の集落で、埋め立て後に変貌したとは言え、たしかに海辺の村の名残が残っている。今では住宅よりも店が多く、ここ数年で洒落たカフェやらバーやらと店が次々とできた。

参道はずいぶんと賑やかだが、ここはまるで別の島のようだ。喧騒とは無縁で、江の島で生活している人がいるということを実感できる。昭和30年には約1400人の島民がいたらしいが、今や400人程度まで減っている。事実上の地続きとなっているからには、対岸で暮らしていたほうが便はいいに決まっている。

400人のうち、いわゆる漁師さんはほんの一握りで、そのほとんどが島内の旅館、土産物屋、飲食店といった三次産業に従事しているらしい。いまや江の島は観光で成り立っている島ということだ。

参道は平日でも人で溢れているのに、ここを歩くのは猫くらい。でも、伊豆七島の漁村に来たような錯覚に陥り、ちょっとした旅気分を満喫できる。住宅が建ち並ぶ路地をブラブラと歩いていると道は参道に突き当たり、いきなり喧騒の中に放り出される。

この二面性、いやこれから紹介する様々な面を持った小さい島だからこそ、江の島はおもしろいのだ。

昭和の香りあふれる参道土産物屋街

江島神社参道に立ち並ぶお土産屋さん。中には首をかしげたくなるモノも売られている。

江の島で一番賑わっているのが、この江島神社参道だ。江の島は古くから弁天信仰の島で、552年に欽明天皇の勅命で南の洞窟に宮を建てたのが江島神社の起源らしい。神社となったのは明治の廃仏毀釈からで、それまでは寺院であった。

さて参道にはいろいろなお土産屋さんが立ち並ぶが、平成生まれにはミステリーゾーンに見えるに違いない。かつては海沿いの温泉地の土産物屋さんで必ず売っていた「貝殻の詰め合わせ」が未だに売られているのは衝撃的だ。今となって誰が買うのかという代物だが、数年前に仕事仲間に“イヤげもの”で買っていったら案の定嫌な顔をされた。

まあ、こういう雰囲気は昭和世代にはたまらなく懐かしいだろうから、貝殻の詰め合わせは買わなくても何となくワクワクするはずだ。余談ではあるが、タコせんを作る過程は非常に面白いので一見の価値ありだ。

江島神社の鳥居。ちなみに土産物屋街入口の青銅の鳥居は江戸時代のもの

参道にはかつて宿坊だった旅館・岩本楼がある。岩本楼はかつて岩本坊、岩本院という名の寺院であり、宿坊も兼ねていた。勅使、将軍、大名なども宿泊したという由緒を持っている。明治の廃仏毀釈とともに旅館へと変わった。

度々マスコミに取り上げられる名旅館だが、ここの名物は風呂。奥行き20メートルの洞窟風呂と国の有形文化財に登録されているローマ風呂は一度は入ってみたい湯のひとつだ。江の島で宿泊するというのも、現代では別な意味で贅沢と言える。

岩本楼を過ぎると、朱塗りの鳥居が見えてくる。この辺りには猫がたくさんいて、「遠隔操作ウイルス事件」の猫でも話題になった。物怖じしない猫ばかりで、好きな人にはたまらない場所だ。

鳥居の脇から、いよいよ江の島名物「エスカー」に乗る。ここで江の島1日パスポートを買う、エスカー料金はもちろんのこと、後から紹介する様々な施設すべてに1000円で入れるのでオトクだ。

エスカー、その名の響きから友人は“高速の近未来コミューター”を想像していたようだが、果たしてその正体は? その2へ急げ! 

その2へつづく…