23回の旅を改めて振り返ってみると、次から次へと感動が蘇ってくる。
細かな内容まで決めて行くとある程度先が読めてしまうから、基本は行き当たりばったり。
と言っても最近はスマホで検索すれば確かな情報を得られるから、その時の気分に応じた最適な選択が可能。
いやホント、旅をするには何とも便利な時代になったもんだ
旅は23回行ったが、走った林道は23本以上。距離も2kmに満たないショートから20km弱のロングまで実に様々ある。その中で印象に残ったのはVol.07『富山県・坪野虎谷林道』とVol.09『七蔵寺林道』、Vol.21『長野県・諏訪箕輪線』そしてVol.22『伊豆・滑沢林道』の4本だ。
『坪野虎谷林道』は尾上会長と河野さんが同行。本線のダート路面は10数kmとミドルクラスなのだが、中身が濃かった。アプローチ後はしばらくフラットダートが続いたが、途中から一変。「やや路面が荒れてきたな〜」と思ったら、マッド、こぶし大の石がゴロゴロしているガレ場、20cmもの深さがある水たまり、雑草でワダチの見えない場所など表情がコロコロと変化。
あのパリ・ダカを経験している尾上会長が「こりゃ〜楽しいね!」とはしゃぐほど、走り甲斐は十二分。本当のクロスカントリーをしているかのような気分に浸れる、ドライバーを飽きさせない道であった。
『七蔵寺林道』は今回も訪れたルートだ。長野自動車道・岡谷ICから約4kmとアクセスが良く、8kmを超えるミドルダートが魅力。また『日本のヘソ』と呼ばれ『日本中心の碑』が立っているため、多くのライダーや四駆乗りが訪れる。整備が行き届いているからビギナーでも安心して走れるだろう。ひたすらフラットダートで気持ち良く走れる、ドライバーを熱くさせる林道である。
『長野県・諏訪箕輪線』は筆者、Yカメともに初めて訪れた林道。地図を見れば眺望は期待できないと予想できるし、名前も知らなかった=不人気なルートだから、正直あまり期待していなかった。ところがとにかく支線が多く、まるで迷宮に入り込んでしまったかのようなスリルを味わえるのだ。
訪れた時は積雪があったこともあり楽しさ倍増。本線は8kmほどだが、支線を走ればかなりの距離となる。また凸凹がきつく、路面が非常に柔らかい所もあるので、無理をしたらスタックは必至。レスキューグッズを揃え、仲間と走り回ったら相当楽しめるだろう。
『伊豆・滑沢林道』は歴史ある林道なのだが、これまた筆者&Yカメともに初チャレンジ。2kmと短いため、伊豆の林道が走れた頃は眼中になかったのだろう。なんせ当時の伊豆はまさに林道パラダイス。走って楽しく、また絵になるミドルダートがたくさん走れたのだから。
久しぶりに伊豆に訪れたこともあり、固い路面、むき出し状態の岩山肌に懐かしさを覚えた。さらに滝が望めたり(滝までの遊歩道あり)、川沿いを走る支線(むちゃくちゃ短いけど)、樹齢300年を誇る巨大な杉が立っていたりと見所満載。手軽に自然を満喫したいビギナーに最適な林道である。
宿を選ぶ時、特に重視しているのが温泉で、可能な限り露天風呂をチョイスしている。そこで泡ノ湯に匹敵する露天風呂を上げてみよう。
まずひとつはVol.06で行った『燕温泉・河原の湯』だ。泡ノ湯のような白い濁り湯が特徴の温泉で、嬉しい事に無料! その名の通り河原に湧き出ていて、その野趣溢れるロケーションは申し分なし。湯温もややぬるめのため長湯が可能。温泉街の駐車場から20分ほど歩くことになるが、その価値は大いにある。
そして無料露天風呂はもうひとつ『黄金の湯』がある。こちらは河原とは対照的に緩やかな山腹に設けられている。眺望は期待できないが、木々に囲まれた中での入浴だから非常に清々しい気分に浸れる。
ふたつ目はVol.19で紹介した『万座温泉・日進館』。標高1,800mにあり、目の前には温泉ガスにより草木が枯れて荒涼とした山肌が広がるなど、その開放感がとにかく素晴らしい。夜間も入浴可能だから、晴れていればこぼれ落ちんばかりの星空を眺めながら寛ぎのひと時を迎えられる。宿から少し離れているので、聞こえるのは自然が作り出す音のみ。秘湯の雰囲気たっぷりだ。
万座温泉は硫黄成分の含有量日本一を誇り、強い硫黄臭が特徴のひとつ。なんせホテルのロビー内にも充満しているほど、強烈な臭いを放っているのだ。これは好みがあると思うが、これぞ温泉! を味わうなら持ってこい。ちなみにタオルに染み付いた臭いは1回の洗濯では落ちなかったし、翌日風呂に入るまで体にも臭いが染みついていた。
なんとも刺激&魅力的な露天風呂だが、『万座温泉・日進館』のセールスポイントは内風呂にもある。大浴場には木造の大きな建物の中に大きな総天然木の『苦油(にがゆ)』、屋根付き露天風呂の『姥苦湯(うばにがゆ)』、熊笹を浮かべている『ささ湯』、源泉100%の『姥湯(うばゆ)』、温泉ではない湧き水を温めた『真湯(まゆ)』、打たせ湯の『滝湯(たきゆ)』と6つもの湯船が備わっているのだ。
それぞれに趣があるので、是非とも全てにチャレンジしたいものである。露天風呂、内風呂ともに日帰り入浴が可能というサービスが何とも嬉しい。
3つ目はVol.22で訪れた『伊豆・沢田公園露天風呂』。Yカメ、筆者ともバイクツーリングでもよく通うお気に入りのひとつ。西伊豆には雲見露天風呂と平六地蔵露天風呂という露天風呂がある。季節営業だが、無料のため多くの人々に利用されている。この『沢田公園露天風呂』は有料(500円)のため、人気の面ではそのふたつに及ばないだろう。しかしロケーションの素晴らしさは、ふたつとは比べものにならない。断崖絶壁に造られていて、海を見下ろせるのだ。
その景色の良さは西伊豆で一番とも言われ、晴れた日に青い空&青い海を眺めながらの入浴は格別。湯船はそれほど大きくないが、料金以上の満足感を得られるハズだ。
最後に何があってももう一度泊まりたい温泉宿を紹介しよう。
まずひとつ目は、総合ポイントで泡ノ湯と迷った『法師温泉・長壽館』だ。道の行き止まりにある一軒宿で、古くは歌人&作家・与謝野晶子や歌人・若山牧水、小説家・川端康成などの文人がこよなく愛したとこで知られている。そして片岡義男の小説が好きだった我々としては、映画『彼のオートバイ・彼女の島』で主人公の竹内 力とマドンナ役の原田貴和子が再会した温泉のロケ地という、ある種の聖地として崇めている宿である。
国登録有形文化財に指定されている本館と別館、法師乃湯の造りは情緒満載。長い年月が生み出した『日本ならではの伝統美』は、近代的な建物で設備が行き届いた高級ホテルでは絶対に味わえない趣きがある。
温泉は3つ備わっているが、一番の魅力は弘法大師が巡錫した際に発見されたと伝わり名付けられた『法師乃湯』。建物は明治28年に建てられた100年以上もの歴史があり、鹿鳴館超のデザインが特徴であり魅力となっている。そして最近では珍しい混浴だ(女性専用時間あり)。泉質は無色透明でぬるめだが、下に敷き詰められた玉石の間から自然湧出している源泉により、浸かっていると身体が芯から温まってくる。厳かな雰囲気のためか、他に入浴者がいても館内はとても静粛で、心から癒やしてくれる。
ちなみみ、この『法師温泉・長壽館』はVol.19で紹介しているが、24回の中で唯一女性が参加した旅。彼女との混浴が成功していたら、間違いなくダントツの1位に輝いていただろう(笑)。
他に再訪したいのは、Vol.11『高峰温泉』とVol.17『下呂温泉・湯之島館』の2件だ。
『高峰温泉』は筆者が大のお気に入りとしている宿。標高2,000メートルの場所に建てられ、「雲上の温泉」、「ランプの宿」として広く知れ渡っている。ここの魅力で、まず一番に上げられるのはスタッフの心温まるサービス。『お客様に喜んで頂こう』という雰囲気が館内に漂っていて、何だかとても優しい気持ちに浸れるのだ。
食事も特別に惹かれるようなメニューではないが、厳選した素材を提供して、非常に満足度が高い。温泉は館内の内風呂と、数年前に造られた『雲上の温泉』のふたつ。標高2,000mにある『雲上の温泉』からの眺望は素晴らしく、晴れた日に満点の星空の下での入浴は、まさに至福の時。時間さえ許せばずっと浸かっていたい温泉だ。
『下呂温泉・湯之島館』は、昭和33年に昭和天皇・皇太后両陛下、昭和51年に今上天皇・皇后両陛下が御宿泊された由緒ある旅館。1931年に建造された本館と玄関、渡り廊下は登録有形文化財となっているので、泊まるだけでも価値があるのだ。
湯船は露天風呂と大浴場の他に4タイプの貸切家族風呂を備えていて(温泉付きの部屋もあり)、露天風呂と大浴場は開放感がバツグン! 有馬温泉・草津温泉とともに日本三名泉と呼ばれる下呂温泉を存分に堪能できるのだ。
さらに館内の散策も楽しみのひとつ。元々立っていた樹齢数百年の杉や檜を活かしながら造園した中庭は、四季折々、木々の彩りや花々が楽しめる。本館3階に設けられた展望台からは下呂温泉街が一望可能。また洋館にあるクラブ『ムーンライト』は、昭和初期の歴史ある造りで、是非とも見学しておきたいポイントだ。
さて、今回は2周年を記念して『思い出旅行』をしたワケだが、次回からリニューアルを兼ねて別企画の構想も練っている。どんな内容になるかは現在打ち合わせ中なのでお楽しみに!
取りあえずは2年間お付き合い頂きまして、ありがとうございました !!