本日の宿は、今回の旅の目玉でもある『乳頭温泉郷』の『山の宿』。
『乳頭温泉郷』は十和田・八幡平国立公園の乳頭山麓に点在する七湯の総称。
いずれも「まさに秘湯」と感動するロケーションで非常に人気が高い。
そしてルート上に林道が通っているのも、林道好きにとって大きな魅力なのだ!
今回の林道旅は、山岡カメラマンの「オレ、鶴の湯温泉に行きたい!」というひと言で決まった。
『鶴の湯温泉』は、秋田県にある秘湯『乳頭温泉郷』の中のひとつ。林道の行き止まりにあり、登録有形文化財に登録されている茅葺き屋根の日本家屋が特徴。その風情、さらには野趣溢れる白濁湯の露天風呂(混浴あり)などが大人気で、なんと宿は1年先まで予約がイッパイ。泊まりたくても泊まれない、非常にプレミアムな温泉宿なのだ。
もちろん今から予約しても泊まれるハズがない。嬉しいことに日帰り入浴が可能なので、それで入ろうというのが狙いだ。宿は乳頭温泉にある他の宿で構わない。とにかく、あの『混浴』もとい『露天風呂』に入れればそれでいいのだ!
さらに、距離こそ短いものの、鶴の湯温泉の近くに『鶴の湯林道』と『鳥坂沢林道』2本の林道が通っている。筆者は乳頭温泉郷に訪れるのは初めてだが、Yカメは過去に2回ほど来ている。それでもこの2本の林道は未走行なので、どのような林道か分からない。調べてみても情報は全く見当たらず…。そもそも鶴の湯温泉が林道の行き止まりにあるため、乳頭温泉郷に関係する人以外はほとんど使わない道であろう。もしかしたら、廃道状態かも…? そう考えると、ますます楽しみが増えてきた。でもそれ以上に現在進行形で興味があるのは山の宿の露天風呂に浸かることだ。
『萱峠林道』を走り終え、「早く温泉に入りて〜」と『乳頭温泉郷』を目指した。
今回の宿は乳頭温泉郷にある『山の宿』。評価の高さで選んで、後から気がついたのだが、『鶴の湯温泉』の別館だった。そのため、鶴の湯温泉に無料で入浴可能! これは非常に嬉しかった。
『鶴の湯温泉』が予約できなくて選んだ『山の宿』だが、ここの宿も全てが素晴らしい。
平成6年にオープンした宿なのだが、建物は角館町の古民家を移築したり、地元の雑木を使い地元の職人が手がけたもの。昔ながらの木造の日本家屋で、歴史を感じさせるロケーションが何とも魅力的なのだ。
ちなみに携帯の電波はどのキャリアでも届かず、部屋にテレビは置かれていない。この不便さも非日常を味わう林道旅にピッタリではないか!
温泉は内風呂に男湯と女湯が設けられていて、他に露天風呂がある。しかもこの露天風呂は貸し切り式なので、他の人に気兼ねなくのんびりと浸かれるのだ。内湯も造りこそ小さいものの味わい深い造りで「秘湯気分」に浸れること請け合い。
そして料理だが、これまた非常に良いのだ。囲炉裏を囲んでの炭火焼き料理で、名物の『山の芋鍋』に『岩魚塩焼き』、『山菜の数々』がずらり。ハッキリ言って見た目に豪華さは感じないだろう。しかし、素材が持つ本来の味を最大限に活かした味付けで、非常に美味。何を食べても、とにかく美味いのだ! スタッフの気持ちの良いサービスと相まって、居心地も最高! 個人的には今までの全ての旅の中で間違いなくベスト3にランクインする宿であった。おかげで疲れが全てすっ飛んだ!
テレビがないこともあり、普段の生活では考えられないほど早い時間に寝たので、目が覚めるのも早い! 決してジジイだからではない! 5時に目が覚めてもやることなどなにもない。そこで朝風呂に浸かり、贅沢なひと時を過ごす。やっぱり旅は良いな~。
夕食後に『鶴の湯温泉』に入ろうとしたが、筆者はお酒を飲んだし、Yカメは酒こそ飲まないものの部屋に戻るや高いびき。筆者もそのままつられて寝てしまったので、宿を出てから向かうことに。聞けば10時から外来入浴が始まるので、9時前に訪問。
宿は満室なので「間違いなく誰か入浴しているよな〜」と覚悟していたら、宿泊客は帰る時間のためにタイミング良く露天風呂を独占できた! あっ、混浴だからタイミングが悪かった…。
『鶴の湯温泉』の混浴露天風呂は白濁した湯で硫黄臭もある。温度はぬるめなのでのんびりと浸かるには最適な温泉だ。大自然に囲まれたロケーションで、浸かっていると心身が癒やされていくのが実感できる。確かにこの温泉なら1年間待ってでも泊まりたいと思う。筆舌に尽くしがたい、何とも素晴らしい温泉である。
入浴後は近くを通っている『鶴の湯林道』と『鳥坂沢林道』をアタック! いずれもピストン林道で、鶴の湯林道は約5㎞、鳥坂沢林道は約1.5㎞のショートダートだ。
距離は短いものの、前者は廃道テイストを味わえる野趣的な林道で、後者は沢が望めて木の橋を渡るという珍しい体験ができる。ビギナーなら、かなり感動することだろう。いや~、今回も満足度の高い旅だった。