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15.07.24

ビヨンド・ザ・フィールダー >> vol.1 時には星の下で眠る

今月からスタートした、笠倉出版社のアウトドア雑誌「フィールダー」とアピオのコラボ企画。
誌面の都合で記事に書けなかったことや、制作の裏側をご紹介。
第1回目は、フィールダーvol.22に掲載された「宇宙キャンプ」の現場からお伝えしよう!

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満天の星空を求めて西上州へ

荒船山の向かい、神津牧場の上にある「内山牧場キャンプ場」。標高1200m、夏でも気持ちいい場所だ。

ご存じない方に簡単に説明させていただきたいのだが、「Fielder(フィールダー)」は、笠倉出版社から隔月で発行されているビターなアウトドア雑誌だ。ビターと言ったのは、かなり上級者向けのアウトドアライフの情報が掲載されているためである。

フィールダーにはアピオジムニーTSシリーズを使ってアウトドアを楽しむ…という企画が毎号載っているのだが、今回のテーマは「宇宙キャンプ」。と言うと、NASA全面協力の壮大な訓練とかを想像されると困るのだが、星空を観ながらジムニーの中で寝てみたら気持ちいいのではないか思ったのである。

世知辛い世の中で毎日暮らしていると、なかなか星空を見上げたりすることはない。ましてや都会に住んでいればなおさらのこと。ここ数年、東京の夜空は綺麗になったと思うが、これだけ文明の光が溢れていては、満天の星空なんて望めるわけもない。

さて、時は6月。すでに関東は梅雨入りしており、天候が難しい。また場所のチョイスも天体観測成功のカギとなる。今回の仕事でペアを組むのは、ジムニー探検隊や林道旅でお馴染みの、“巨匠”こと山岡カメラマン。で巨匠にロケ地を相談。というのも、山岡家はちょくちょくキャンプに行っているので、キャンプ場に詳しい。また昔、キャンプ場ガイドの取材で全国を巡った経験もある。「星観るのにいい所ないすか?」と言うと、案の定すかさず答えが返ってきた。それが、群馬県にある「内山牧場キャンプ場」だ。

今回の星空キャンプのために装着した「荷室フラットデッキ・タイプ3」。とても便利なアイテムだ。

東京から2時間ほどで、荒船山の真向かいに位置する絶好のロケーション。場所は決定したので、後は天気のみ。いやいや、今回のキャンプに忘れてはならない準備があった。

今回のキャンプはジムニーの中で寝る、というのがテーマ。だから車中泊を快適にするための、大切なパーツを装着しなければならない。河野社長にお願いして、そのパーツを送ってもらった。「荷室フラットデッキ・タイプ3(18,000円+税)」。実はJB23&43ジムニーって,フルフラットシートになるんです。

まず後部座席のクッションを取っ払おう。外したクッションは、家にでも置いておこう。で、後部座席のシートバックを前に倒し、前席のシートバックを思い切りリクライニングすると、快適就寝スペースの完成! なんだけど、荷室と後部座席シートバック裏に段差が出きてしまう。それを埋めて、荷室も就寝スペースの一部にできるのが、件のパーツというわけ。

キャンピングマットを車内に敷けば、手足をゆったり伸ばして寝られることができる。パーツの取り付けは簡単。元々開いているネジ穴などを利用してボルトオン。15分ほどで誰でも取り付けられてしまう。ガレージで「素人じゃないんだから、とっと付けなさい」と巨匠に怒られながら、装着完了。楽しいキャンプができそうだ。

で、東京から関越自動車で2時間、下仁田インターから1時間弱。広い牧草地の気持ちいいキャンプ場に到着。山の上にあるので視界を遮るものがなく、絶好のロケーションと言える。水場やトイレ、シャワーも完備されているので、皆さんにもオススメのキャンプ場です。もちろん、ジムニーをテントサイトに入れることも可能なんで。

車中泊なんだけどテントの話

テント大好き山岡巨匠が撮った夕暮れのテストショット。

僕はジムニーの中で車中泊なのだが、山岡巨匠とは“そういう関係”ではないので、巨匠はマイテントを持参。余談ですが、フィールダーはアウトドア雑誌なので、編集スタッフはみんなテントを持っている。ちなみに僕はMSRの「ハバハバNX」、巨匠はMSRの「エリクサー2」。MSRというのは、ガソリンバーナーなんかも有名な山用品ブランドなのだが、テントはそのデザインの美しさに定評がある。

かつてマニアに絶大な支持を受けていたアメリカの「Moss」というテントのブランドがあった。その美しさゆえに、多くのファンがいたのだが、残念ながら2001年に消滅してしまった。Mossのテントのデザイナーの一部が移籍して造ったのが、MSRのテントらしい。確かに、どこかMossのテントに雰囲気が似ている。

僕も登山用に購入したのだが、これが軽いし、美しいし、申し分がない。巨匠の使用しているエリクサー2でも、フライシート、本体、ポールで2㎏強なので、オートキャンプにはもったいないくらいだ。

山岡巨匠が使用しているMSRのエリクサー2。フライトシートを外すとさらに美しい。

ちなみにフィールダーの川崎編集長は、ノースフェイスの「ストームブレイク」を愛用。このテントは全部で重量1.4㎏しかなく、しかも価格は20,520円という破格値。国内では大人気で、いつも品薄という人気モデルだ。

フィールダーの編集スタッフは、過酷な山行とかが多くてウルトラライト装備を持つことが多いのだけど、最近はそれさえも使わないことが多い。シェルターやタープだけを張って、その下でシェラフで寝るというパターンになってきている。

まあ一般の人から見るとかなりストイックな感じなんだけど、アウトドアズマンって「いかに軽装備で野営するか」という方向性に向いていってしまうものだったりする。

ちなみに取材は6月上旬で、標高1200mの内山牧場キャンプ場は夜かなり冷え込んだ。初夏とは言え、冬用のシェラフでも寒いくらいだった。それに比べるとジムニーはある程度の断熱も効いていて快適。テントの設営・撤収もないので、ちょっとキャンプなんて言う時にうってつけなのだ。

赤ガスのストーブってご存じ?

マルチフューエル対応のオプティマス・NOVA。赤ガスのストーブも珍しくなった。

皆さんは「赤ガス」という言葉をご存じだろうか。キャンプ用のバーナーやランタンには、「ホワイトガソリン」という専用の燃料を使用する。これを通称「白ガス」と呼んでいるが、これに対して自動車用ガソリンのことを「赤ガス」と呼ぶのだ。

vol.22のフィールダーでは、この赤ガスが使えるキャンプ用ストーブの企画も収録されている。雑誌では様々な取材を効率的にこなさなければならないので、この宇宙キャンプの時に、赤ガスストーブの撮影も行ったわけだ。

僕も昔は、コールマンの「ピークワン」というマルチフューエルのストーブを愛用していた。かの4×4マガジン編集部で、どういうわけかこのピークワンストーブがちょっとしたブームになったことがあるからだ。

マルチフューエルというのは、ホワイトガソリンの他に自動車用ガソリンや軽油などが使えることを言う。モデルによってはジェット燃料まで使えてしまうのだが、ジェット燃料を入手する方法は残念ながら知らない。

昔は山岳キャンプなどで使うストーブやバーナーは燃料タイプが主流で、ガスカートリッジ式は低山登山やハイキング、キャンプの卓上用として軽んじられていた。なぜならカートリッジ式はカロリーが低く、低温下では圧力が一気に下がってしまういう弱点があった。

一方の燃料式はハイカロリーで、マルチフューエルならGSなどで簡単に燃料が入手できるというメリットがあった。もちろん低温下でも性能低下がほとんどない。弱点と言えば、扱いが面倒なこと。液体燃料を気化させるためにポンピングという加圧が必要で、モデルによっては予備燃焼も必要だ。また持ち運びの時も注意しないと燃料が漏れることがある。

ただこのポンピングとか予備燃焼とかという行為は、キャンパーにとっては儀式のように味わいがあるもので、ガス栓開いてイグナイターでボッというカートリッジ式とは趣きが違っていた。だから、エキスパートを気取るキャンパーは、大抵、この燃料式のストーブを1台は持っていたものである。

ところが時代と共にガスカートリッジの性能が向上し、いまや燃料式を越えてしまったのだ。となると燃料式は持ち運びが面倒だし、かさばるし、重いしということで、ウルトラライト全盛のこの時代には敬遠されることになってしまったのである。

それでも燃料式のストーブのカッコ良さは不滅だ。ということで、フィールダーには横浜のアウトドアショップ「myX」のベテラン藤原氏に選んでもらった、赤ガスが使えるベストモデル5を掲載。ぜひご覧いただきたい。

ちなみに、上の写真が記事のイメージカットなのだが、内山牧場キャンプ場内でほふく前進状態で巨匠が撮影した。横で同じくほふく前進状態でデレクションする様子を、バイクキャンパーが見えていたのだが、変な態勢で怪しげな行動をしている2人を、彼は間違いなく“ただならぬ関係”だと思ったに違いない。

天体観測にうってつけだったジムニー

ジムニーの車内に寝転がって、スポーツグラスで天体観測をする山崎。リアゲートを開けると、ちょうど頭の上に空が見える。

夏は完全に暗くなるのは20時ごろ。それまでテストショットなどを繰り返していく。よく、読者さんが取材に同行すると、カメラマンのシャッター数が多いのに驚いているが、皆さんのお目に留まる写真を撮るのも結構大変な行程があったりする。

この日は風があるものの、なかなか雲が取れずに僕らの気をもませた。待っている間、簡単な食事を済ませたのだが、山岡巨匠はどうもキャンプになると食欲が増えるようで、「お腹減った」「何か作れ」とうるさい。とりあえずカップ麺を食べさせて騙したが、間違いなくこれからスナックや菓子を1人で全部食べてしまうはずだ。河野社長と僕は、山岡巨匠のことを食料バスターと呼んでいる。お腹、また出ちゃいますよ、巨匠。

ジムニーの中で寝転んでみると、荷室フラットデッキ・タイプ3の具合が実によく、身長180cmの僕でも足を伸ばしてゆったり横になれる。ちょっと足が落ちる感じもちょうどいい。

スマホ用アプリの「星座表」は、宇宙ファンにはたまらないビジュアル。

リアゲートを開けると、ちょうど頭の上に空が広がっていた。風の音を聴きながら、暗闇の中を夜空を眺めているのは実に気持ちがいい。天体観測というと本格的な望遠鏡と思う方が多いようだが、実は8倍程度のスポーツグラスや双眼鏡でも十分に星空を楽しむことができる。お家で使わなくなったスポーツグラスを、ぜひこの夏活用していただきたい。

ちなみに山岡巨匠は宇宙が大好き。その巨匠おすすめのアイテムが「星座表」というiPhone用アプリだ。アンドロイド用でもリリースされている。

このアプリ、自分の向いている空にどんな天体があるかを教えてくれるのだが、そのCGが素晴らしく美しい。もちろん昼でも見られるので、ふと会社で疲れてしまった時に眺めると、きっと心が癒やされるはず。

ということで、この模様はフィールダーvol.22でお楽しみください! 特集は「道具の力」。アウトドアの達人たちが使う道具や、その使用方法などを紹介しています。かなりショッキングな写真もあるけど、エキスパートもビギナーもアウトドアズマンにご満足いただける濃い内容です。

ちなみに、内山牧場キャンプ場のすぐ下には、日本で初めて牧畜を始めた「神津牧場」があるのだが、ここのカレーライスとソフトクリームは絶品。キャンプの帰りにぜひお試しあれ。

<文/山崎友貴、写真/山岡和正>

笠倉出版社「フィールダー」vol.22(定価750円+税)は絶賛発売中。全国書店、Amazonにご注文ください! 
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