• 前の記事
  • 次の記事
13.09.02

【Vol.5】 海に向いたバーガーショップは週末だけ~ OWL [千葉・勝浦]

太平洋を前に最高のロケーション、
最高のサービスの中、食べるハンバーガー。
極上の心地好さは潮風と共にやって来る――

FMヨコハマDJ・松原さと子さんの通勤路

朝のOWLとジムニー

月は変われどまだまだ、まだ夏! 夏好きの辞書に「終わり」の文字は無い。たとえどれだけ版を重ねても――。


84.7MHz、FMヨコハマきっての夏女、毎週金曜「らんらんツアー Friday Wanderer」でお馴染みのDJ・松原さと子さんが、千葉県は房総勝浦でハンバーガーショップを始めたのはちょうど1年前の今月9月15日。場所は部原(へばら)海岸――と聞いてブラジルのシンガー、マルコス・ヴァーリの"Pepino Beach"という曲を思い出した。ちょっと外国の地名のような響きのする浜である。いよいよ夏っぽい。

とても海に向かっているとは思えない深い山の中をしばし走って抜け切ると、やがて待望の「海」が現れる

さと子さんは生まれも育ちも東京・目黒。現在の主な職場はFMヨコハマ。勝浦にはこれまで特段ゆかりも無かったが、「山と海、どちらもある場所」を求め、3年半前に越して来た。


だから普段さと子さんは勝浦から横浜まで車で通い、時にそのまま泊まり、そして週末土日の2日間(および祝日)、ここ部原で小さなハンバーガーショップ「OWL(アウル)」を開いているのである。


勝浦から横浜まで車で通勤と聞くと、かなりな距離が想像される。実際約100kmの行程。"ひと海"越える前に、房総半島の山中をまず"ひと山"越えて行かねばならない道のりだ。今回そのさと子さんの通勤路を、いつものコンプリートカーTS7、通称「ハンバーガー号」で逆に辿り、夏の盛りの外房へ向かった。


横浜からは首都高湾岸線に乗り、アクアラインを潜(くぐ)って東京湾の対岸・木更津(きさらづ)へ上陸。圏央道を途中で降りて、ここからが山道である。


帰路の印象から言うと、アクアラインにさえ乗ればもう横浜に着いたも同然。ここからは異様に早い。房総半島の山中は行楽渋滞など起きることも無く、また行く道を共にする前方車両・後方車両も特に無くて、基本は一人旅。とても海に向かっているとは思えない深い山の中をしばし走って抜け切ると、やがて待望の「海」が現れる。


外房の海には濃い霧が立ち込めていた。一面を白く包まれ、目の前に海があることすら、その中にサーファーが入っていることすらも判らない。振り向けば切り立った海岸段丘。まるでサンタモニカのようだ。

「気持ちいい」が好き

青い海、青い空、海上から吹く潮風、そしてバーガー……最高に気持ちいい

そんな海のきわ、国道128号線・外房黒潮ライン沿いの海に向いた駐車場の一角にアウルは店を、いやその羽を悠然と広げている――そう、アウルは固定の店では無い。軽自動車を改造した移動販売店なのである。


まずその場所が素晴らしい。駐車場のすぐ脇の石段を降りると、もう砂浜である。青い海、青い空、海から吹く潮風、そしてバーガー……最高に気持ちいい。車の横にテントを立て、机を並べたその向こうに、砂浜に突き出すようにして可愛らしい花壇があるのがまた実に好い。自分のやりたいところで自分のスタンスそのままにやること、すなわち「気持ちいい」というのが、この店・この場所でさと子さんと店主ナオキさんの表現したいこと、その全てである。

ボロボロだったスバル・サンバーをナオキさんが大改造。掛かった費用は相場の僅かに10分の1ほど

当初はマフィン屋でも開こうかと考えていたさと子さん。しかし本業をしながら一人でやるのは容易でない――と、そこへ折よく、同じく店をやりたいナオキさんと出会い、開店の夢はハンバーガーショップとして花咲くこととなった。


やると決めてからは早かった。場所の交渉、仕入れ、商品開発……ナオキさんがほぼ一人で進めた。車はスバル・サンバー。購入と改造に掛かった費用は相場の僅かに10分の1ほど。「お金をかけずにおいしいものが提供できるなら、やろう」が合言葉である。ボロボロだった車体はナオキさんがピカピカに磨き直し、白とシーグリーンに塗り分けた。


ハンバーガーは全部で7品。ドッグ2品。上の写真はチーズバーガー850円。パティは120g、国産牛とオージービーフのミックス。バンズは東京・東新宿の名店「峰屋(みねや)」から取り寄せている。野菜は多くが地元産。味付けは塩コショウのみ。ソースや調味料のかからない、至ってシンプルなハンバーガーだ。

紙皿とモヒート

中でも目玉はさと子さん宅の庭に生えるミントを「これでもか」とばかりふんだんに入れて作るモヒート550円

画期的なのは、屋外で営業する移動式の店であるに関わらず、「持ち帰りを前提としていない」点である。「『このロケーションで』食べて欲しい」のだとナオキさん。


もちろん持ち帰ると告げれば紙に包み、手提げ袋に入れてくれるが、ここで食べる場合、ハンバーガーはそのまま紙皿の上に乗せられ、供される。それも簡易な皿でなく、複数の料理・惣菜が盛り付けられるよう仕切りが付いたもの。「ラフなスタイルだけど、出すものはレストランと同じ」との思いが籠もる。

土日祝日のみ、朝10時半から夕方5時まで、夕陽のきれいな日は日没まで営業している

もう一つ面白いのは「アルコール」が飲めることだ。それもカクテルを作ってくれる。中でも目玉はさと子さん宅の庭に生えるミントを「これでもか」とばかりふんだんに入れて作るモヒート550円。海にハンバーガーとモヒート……この上もない「夏」である。


店の名前を決めていた時、家の裏で「ホー」とフクロウ(owl)が鳴いたことが店名の由来。翌日の日中、庭先に姿まで見せたという。そんな山も海もどちらもある外房・部原の週末だけのハンバーガーショップ――それがOWL(アウル)。気持ちよさ・心地好さをどこまでも追い求めた最高のロケーション、最高のもてなしの中でかぶり付くハンバーガーは爽快至極!

< 文:松原好秀 写真:松原好秀、鈴木洋一 >

OWL [千葉・勝浦]

― shop data ―
所在地: 千葉県勝浦市部原1928-34
アクセス: 圏央道 市原鶴舞ICから国道297号→128号
駐車場: 付近に県営の無料駐車場あり
TEL: 090-7499-2842
オープン: 2012年9月15日
営業時間: 土日祝日の10:30~17:00(夕陽の美しい日は日没まで)
定休日: 不定休(※要確認)

  • 前の記事
  • 次の記事