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12.06.25

【Vol.1-2】日本再発見ジムニー探検隊 >> 埼玉県行田市

我が日本再発見ジムニー探検隊は、時代のカオス・埼玉県行田市を探検中。
"古墳の大展示会場埼玉古墳群を後"にして、いよいよ忍城へと向かう。
映画「のぼうの城」の舞台となった忍城は果たしてどんな場所なのか!?

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湿地上に建てられた“不沈”の名城

忍城の外堀を利用して作られた水城公園。中国江南式水郷庭園の手法を取り入れた珍しい公園だ。

埼玉古墳群からジムニーで田園風景の中を10分も走ると、突然美しく水をたたえた公園が見えてくる。農地が多い行田市内だけに、この水辺の風景はまさに異質だ。水辺では日がな一日釣り糸を垂れる太公望たちで賑わい、何ともゆったりした時間が流れている。

水城公園は、もともと忍城の外堀を利用して作られたもの。忍城は1478年に地元豪族の成田氏が築城した。湿地帯に作られた平城で、もともと沼地に点在していた島を橋で渡すという珍しい形で城が作られた。当初は本丸に櫓を建てず二の丸に屋敷を作り、そこを城主の住まいとした。そのため攻めにくく守りやすい城だったらしい。

水城公園から忍城址まではそこそこの距離があるので、かなり広い範囲が沼地だったと思われる。この沼地があったお陰で、城は石田三成の水攻めにも耐えたのだろう。“この城は浮くのか?”と恐れられ、忍の浮城と呼ばれたらしい。北条氏康、上杉謙信、そして石田三成の三人が攻め落とそうとしても落とせなかった名城なのである。

郷土博物館脇にある建築当初のものと言われる城門。城門としてはかなり華奢。

水城公園から5分も走ると、忍城の御三階櫓が見えてくる。この櫓は1988年に開館した行田市郷土博物館の一部で、江戸時代に建てられものを復元している。御三階櫓とは天守を持たない城の“なんちゃって天守”で、江戸時代の一国一城令や武家諸法度で建築が定められていた。まあ幕府としては何とか諸大名にお金を使わせたかったから、その一案だったのだろう。

実際の御三階櫓はこの場所にはなかったようだが、往年の姿を思い浮かべるには十分だ。当時の忍城の様子は、郷土博物館内にある模型で見ることができるので、少々入館料が高いが入ってみるといいかもしれない。

忍城の周りには学校やら住宅やらがぎっしりと建ち並び、武家が権勢を誇っていた頃の面影は薄い。それでも、近所を歩いて本丸の土塁址などを見てみると、強者たちの残影を感じることができる。

郷土博物館の駐車場脇にある高麗式の門(トップの写真)は、かつて忍城にあった城門のひとつだと言われている。当時の城を窺い知ることができる貴重な建築物なので、ぜひ立ち寄ってほしい。

敷地内に残る本丸土塁址。郷土博物館ができるまでは、ここに野球場があったらしい。

ちなみにこの秋公開される映画「のぼうの城」は、石田三成の忍城攻めをテーマにした作品。和田竜の同名小説を映像化した。昨年公開予定だったが、水攻めのシーンが津波を連想させるという配慮から、一年の公開延期となっていた。

映画は忍の領主である成田長親(野村萬斎)を主役としている。農作業が好きで、領民たちの作業を手伝いたがるが、生来の不器用のため何をやってもダメ。そのために領民からは「でくのぼう=のぼう様」と呼ばれていた。そんな不器用な長親が石田三成の大軍からどうやって城を守るのか…といったストーリーの作品だ。

公開は11月2日なので、その後はきっと忍城も賑やかになることだろう。訪れるなら、この夏がチャンスだ。


>>>行田市立郷土博物館(忍城)

忍城に行ったら食べたい摩訶不思議な行田グルメ

これが行田名物のゼリーフライ。中にゼリーが入っている…ワケではない。

忍城の御三階櫓から丸墓山古墳を見ていたら、なんだから小腹が空いてきた。行田に来たらぜひ食したいのが「ゼリーフライ」だ。“なんだソリャ??”と当然思うだろう。こんにゃくゼリーのようなものをフライにしたものなら、到底食べる気がしない。

ゼリーフライの正体は、おからとじゃがいもを混ぜたものを揚げたコロッケのようなもの。小判形をしていることから、銭→ゼニー→ゼリーとなまったらしい。行田は昭和初期に足袋製造で賑わった町で、足袋工場で働く女工さんたちに大人気のファストフードだったのだとか。

だったらコロッケでいいじゃんとも思うのだが、日露戦争に従軍した行田の某氏が中国東北地方の野菜まんじゅうをアレンジして考案したものなのだとか。その後、市内のたくさんの店に広まっていったようだ。現在もゼリーフライを扱っている店は市内に多数ある。僕は忍城から近い「かねつき堂」さんにお邪魔した。

ゼリーフライ&フライ専門店のかねつき堂。詳細はhttp://www.geocities.jp/kanestukidou/annai.html

かねつき堂さんは、ゼリーフライとフライの専門店。フライについては後ほど説明するが、店の前にかねつき堂があるからそのまんまの名前にしたという。ご店主は元行田区役所の職員で、行き場が無くて困っていたかねつき堂を引き取ってしまったらしい。

ここでゼリーフライ専門店を始めたのも、“忍城の近くに行田名物を扱う店がないのはおかしい!”と思ったことがきっかけなんだとか。こんな熱いご店主だからこそ、ゼリーフライに対するこだわりもすごい。

ご店主によると、昨今行田のゼリーフライ店では冷凍食品のタネを使うところが多いらしい。「そんなことで行田名物と言えますか?!」と、またまた熱い雄叫びを聞きながら、自慢のポイントを聞いてみる。

かねつき堂のゼリーフライは、その日に作った生のタネを使用し、タネが無くなれば売り切れ御免ということらしい。また油にもこだわって、軽い食感が出るようにしているんだとか。ゼリーフライより熱く語るご主人を制するように、娘さんが「できてますから早く食べてくださいね〜」とクールに言う。

タネのそのまま油で揚げて、それにたっぷりソースを吸わせるのがゼリーフライ。僕はこのゼリーフライが大好きで、行田に来ると3軒はハシゴするくらいだ。ひと口を食べると、たしかにこれまで食べたものの中でもピカイチにうまい! タネがグチャグチャにもボソボソになっておらず、おからとじゃがいもの絶妙なハーモニーを醸し出している。

これで一人前2個200円というから、手間暇を考えるとちょっと申し訳ないくらいの値段である。

これが噂のフライ。写真が下手で恐縮だが、見た目より旨い…と思う。

さて、これだけではお腹が満たされないので、今回初の挑戦となる「フライ」を頼んでみることにした。ややこしいのだが、ゼリーフライとフライは別な食べ物だ。しかもゼリーフライは揚げ物なのに、フライは揚げ物ではない。ジムニーとジムニー・シエラ以上に別物なのである。

フライとは戦前の行田の農家で作られていた家庭料理だったのだが、いつしか店で売られるようになったんだとか。腹持ちがいいことからコチラも女工さんたちに大人気だったらしい。フライパンで作るからフライとか、行田が布の生産地だったから“布来”とか、“富よ来い”にひっかけてその名前になったとか、もはや都市伝説としか思えない由来が伝わっている。

さてフライの正体はと言えば、水で溶いた小麦粉とねぎ、豚肉を合わせ、それをフライパンで焼いたもの。要はお好み焼きみたいなものだ。豚肉を抜けば、京都で言う一銭洋食になる。それをフライなどという名前を付けるからややこしくなる。

さてお味はと言えば、ガレットとお好み焼きを足して二で割ったような感じ。食感はガレットで味はお好み焼き。率直なところ不味くもなく、カルチャーショックを受けるほど旨くもない。どちらかというとネーミングのほうがカルチャーショックだ。

まあ、フライも行田名物のB級グルメなので話のタネの食べてみても損はない。


>>>ゼリーフライのかねつき堂

忍城址

忍城址
〒361-0052 埼玉県行田市本丸17−23
048-554-5911

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