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12.10.25

【Vol.5-1】日本再発見ジムニー探検隊>>千葉県ディープスポット周遊

"千葉県"というとどんなイメージを持つだろうか。
TDRや森田健作知事などメジャーな一面を持ちつつも、
まだ知られていないスポットが多くある。
今回は千葉県内に点在するディープなスポットの中から
探検隊厳選の場所をご案内しよう。

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山中に残る大東亜戦争の傷跡

人家からさほど離れていないのに、鬱蒼とした森に包まれた秘密基地跡。

皆さんは、大東亜戦争中に「桜花」という特攻兵器があったのをご存じだろうか。桜花はロケットの先端に徹甲爆弾を付け、人間が操縦して敵に突っ込むという恐ろしい兵器だ。プロペラの飛行機よりも数倍早い速度で飛ぶことから、戦局が悪化した戦争末期に開発された。

初期型の11型や22型などは自力で離陸することができず、また極端に航続距離が短かった(約30km)ことから、一式陸上攻撃機の胴体内に連結された。そして敵が見える位置まで一式陸攻で飛び、敵を確認すると切り離して目標めがけて飛んだ。11型は55機が出撃したと記録されている。

アメリカ軍がサイパン・グアムなどを支配下に置きいよいよ本土決戦が現実のものになり始めると、カタパルトを使って自力で離陸ができ、航続距離も約200kmに改良された43型を開発。首都防衛のために、千葉県の山中に専用の発進基地を作り実戦に備えた。だが練習機とモックアップを造っただけで、終戦となったのである。今回最初に訪れたのは、千葉で現存する2カ所の発進基地のうちの一つ。

まず向かったのは夷隅鉄道の上総中川駅だ。地図で見ると、駅のすぐ近くにいすみ市立中川小学校がある。問題の基地は、この小学校の体育館の裏手にあるらしい。校門の前を通り過ぎてしばらく1本道を行くと、ジムニー1台が何とか通れるダートになる。左手に畑と杉林が見えたら、そこからは徒歩だ。奥にも農地がありクルマが出入りするので、少し手前にある神社の境内に駐車したおいたほうが無難だろう。

トンネルは意外と良好な状態で残っている(上)。トンネルの前の土中にある転車台の基礎(下)。

杉林に入ると、普段人が入らないせいか“自然の宝庫”状態。丈の長い靴を履いてきて正解だった。この土地は地権者のいる場所なので、とにかく荒らさないように注意して歩く。隣の畑に人がいたら話を聞きたいところだったが、その日は姿が見えず、何となく心細い気持ちになる。200mほどまっすぐに歩くと、地形は右に曲がるような感じで続く。

倒木などを越えて少し進むと、生い茂った緑の中に突如ぽっかりと開いたトンネルが登場する。どうやらこれが、桜花の基地のようだ。耳をすませると、中から「カーン」という石が落ちるような音がする。齢四十六でも、怖いものは怖い。今日は河野隊長がいないので、このシチュエーションでアローン状態。しかし、ここまで来て中を見ないわけにもいかないので、ヘッドライトを点けて入口に立つ。

目をこらしてみると、トンネルは掘削機で掘られたようで結構頑丈そうだ。よくこのような場所を見つけたものだ。奥行きは30mほどで、そこで行き止まりになっている。空爆を受けないための格納庫、いわゆる掩蔽壕なのであろう。言い伝えによると、このトンネルは朝鮮人軍属を多数使って造ったという。かつては中にも移動用のレールがあり、トンネルの外で転車台で90度に曲がり、現在残っている畑を通って、中川小学校に設置されていたカタパルトで発射するという構造になっていたようだ。ここを訪れた人の記述によると、レールは戦後に中川小学校などの建設資材として使われ、レールの基礎(枕木)は畑の所有者が埋めてしまったという。

ちなみに、桜花の基地跡は南房総市の三芳村にも建設され、こちらは知恩院という寺にレールが、その近くの畑にレールの基礎が今も残る。また富山や大多喜にも桜花の基地があったという。千葉は東京湾に沿って伸びているためか、特攻の基地が多く建設された。ボートに爆薬を積んで特攻する「震洋」の基地も多くあったようだ。

21世紀に入ってからすでに12年も経ちますます大東亜戦争の記憶が風化しているが、こうして誰にも目の付かない所に、今も戦争の傷跡が残っている。ただ桜花の技術は、その後新幹線0系に活かされたことは有名な話だ。禍転じて福となしたわけである。

数々の人工衛星を見守る巨大パラボラアンテナ

勝浦第1可搬局用パラボラアンテナ。ラッキーだと動く所が観られる。

日本の宇宙技術は進んでいると思うだろうか、それとも遅れていると思うだろうか。僕は日本の宇宙技術は大したものだと思う。H-ⅡBロケットは打ち上げの失敗がほとんどなく、近隣諸国の衛星を打ち上げる“宇宙ビジネス”に貢献しているし、衛星軌道の浮かぶ国際ステーションISSの中でも日本の実験棟「きぼう」は、各ユニットの中で最大を誇っている。実は日本ってすごいのである。

そんな日本の宇宙技術を支えているのが宇宙航空研究開発機構、通称JAXAという組織だ。まあ、誰でも一度はニュースなどで聞いているはず。そのJAXAの「勝浦宇宙通信所」というのがあるというので行ってみた。桜花の基地のあるいすみ市からは、ジムニーで30分くらい。山やら水田やら畑やらがある風光明媚な所、はっきり言えば田舎で、とても最先端の技術が運用されている場所とは思えない。

R297の途中で、「勝浦電波追跡所」というロードインデックスが出てくる。勝浦宇宙通信所は1968年にこの地に建てられ、当時はその名前で呼ばれていたのだとか。しばらく国道から外れた道を走ると、きれいな「JAXA勝浦宇宙通信所」の看板が見えてきた。門を通って敷地内の山道を一気に登ると、いきなり大きなパラボラアンテナが見えてくる。

この通信所は特に予約などをすることなく見学が可能。入口で警備員のおじさんの言うがままに名前を記入する。「会社名はね…会社員でいいよ。住所は…東京でいいや」とアバウト。見学できるコースが決まっていて、全部が見られるわけではないのがちょっと残念だ。展示室の説明によると、この勝浦宇宙通信所には第1(現在は広報用)、第2、第3可搬局用アンテナがある。このアンテナで、衛星の電子機器が正常に作動しているかを確認したり、衛星が決められた位置や姿勢を保っているかをチェックするらしい。「超高速インターネット衛星きずな」や「データ中継技術衛星こだま」「太陽観測衛星ひので」など、結構大切な衛星をここで見守っているのだ。

日本の宇宙技術の一端が何となーく分かる展示。

展示室はふたつに分かれており、まあこれを見ればJAXAが何をやっているのかが、何となく分かる。ただ、日本の宇宙技術は一般人が知らないうちに結構高い水準になっているだということは理解できる。日本の宇宙技術が詳しく知りたいという人は、大量に置いてある公報パンフレットをもらっていって熟読するといいだろう。優しく書かれていて、結構おもしろい。

外に出ると、第2アンテナが工事中でバラバラにされていた。第3アンテナは第2アンテナの所まで行かないと見られないため、今回はそれらしき影をチラッと見ただけ。第2アンテナの所に行ってみると「工事中だから」とすぐに追い払われてしまった。昔は第1アンテナを自分で動かすことができるという「お楽しみ」付きだったのだが、電気代がかかるからなのか、少し前から中止になってしまった。

第1アンテナの下でジムニーの写真を撮っていたら、突如アンテナが動き出した。どうやら所内で見ていた職員が、僕のために動かして見せてくれたらしい。JAXA、素晴らしい組織である。かなり大きなアンテナなので、動くとすごい迫力だ。しかも、思っていたよりも動くスピードが速い。グルンと一回転して止まったが、実際に運用する場合はこんなにグルグル回らないのだと思う。

見学者には同所オリジナルのキーホルダーがもれなくプレゼントされる。パラボラアンテナ、そして「鰹」の宇宙飛行士が描かれたメダルが付いている。そのレアなデザインは、河野隊長のハートをゲットするはずだ。隊長のお土産はこれで済ませよう。ちなみに、第2、第3アンテナは撮影禁止になっているという話も聞く。僕は面倒を避けて撮らなかったが、場合によってはデータ消去させられるらしい。まあ、日本独自の技術が近隣諸国にパクられるのは癪なので、皆さんもご注意を。

ランチは“伊勢エビ”に舌鼓!

「伊勢エビのステーキ」は2980円。高いのか、安いのか…。

勝浦の隣の御宿町で、10月31日まで「伊勢えび祭り」が開催中という情報をキャッチした。僕は不勉強で知らなかったのだが、伊勢えびの生息域は千葉が北限なんだとか。茨城県大洗町のお土産屋で伊勢えびが売っていたので、てっきり東北くらいまでいるのかと思っていた。で、不敵にも御宿町は「伊勢より美味い伊勢えび」などと言っているらしいのだ。

御宿でゴージャスな伊勢えびステーキを出す店があるというので、昼時でもあるし行ってみることにした。JR御宿駅のすぐ近くにある「レストランなかむら」。外観は、何となーくフランス風を意識しているのか。ポップだとか幟だとか、いかにも田舎のレストランだが、ここまで来て引き返すわけにもいかず、とりあえず中へ。

中もいかにも田舎のレストランだが、やけにおじさん、おばさんで混雑している。よく見ると、ほとんどの人が伊勢えびステーキを食しているようだ。これは相当うまいのか!? 「伊勢えびステーキ」は単品と、刺身などが付いたセットがあるのだが、単品でも2980円といいお値段。隣の若者はゴージャスにセットを頼んでいたが、財布の中身を見て単品を頼むことにする。

しばらくするとおばさんがステンレスボールを持ってやってきた。中に伊勢えびが入っていて、一流レストランを気取っているのか「調理する伊勢えびはコレよ!」とばかり、目の前に突き出してきた。「もっとデカいのにしてください」とも言えないので、とりあえず「はい」と言うと、奥の方に行ってしまった。で10分ほど待つと、鉄板の上に載せられたスカンピよりもひと回りほど大きな伊勢えびがやってきた。

鉄板を僕の前に置くと、おばさんはおもむろに「クランベしまーす」と言って伊勢えびにブランデーらしきものをかける。炎が終わったら、ジャンボ伊勢えびに早変わり…というわけにはいかなかったが、見た目は美味そうだ。ベースのソースはレモンソースらしき味で、さっぱりとした風味と伊勢えびの甘さはなかなか。

「頬が落ちるくらい美味しいです」とは言わないが、伊勢えびなのでどう料理してもまずまず美味い。量を求める人はセットにしたほうがいい。ちなみに甲殻類はちょっと…という人には、勝浦のタンタン麺をおすすめする。醤油ラーメンの上に辛く炒めたタマネギと豚挽肉が載っているもので、この地方のB級グルメのひとつとなっている。

Vol.5-2へつづく...

JAXA勝浦宇宙通信所

勝浦宇宙通信所
千葉県勝浦市芳賀1−14

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