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13.11.25

【vol.18-1】日本再発見ジムニー探検隊>>東京モーターショーの表側裏側

自動車ファンにとって「東京モーターショー」は2年に一度のお祭り。
今回のジム探は、今年で43回目を迎えた国内最大の自動車ショーに河野隊長と探検。
皆さんが知っているモーターショー、知らないモーターショーをご紹介しよう。

画像をクリックすると拡大&情報が見られます(スマホ、タブレット一部機種を除く)。

黎明期は商用車中心だったモーターショー

第1回全日本自動車ショーの様子(写真は東京モーターショーHPより)。

東京モーターショーは国産自動車メーカーで組織する日本自動車工業会が開催しているイベント。エンターテイメント的な演出がなされているため“遊びのショー”だと思っている人が多いようだが、実はれっきとした見本市だったりする。第1回のショーが開催されたのは、昭和29年のこと。日本もようやく敗戦から立ち直り始めた頃で、いよいよ高度成長期へと向かう曙の時代だ。

当初は「全日本自動車ショウ」という名称で、会場はなんと日比谷公園だった。267台の自動車が出展されたらしいが、その内乗用車は何と17台というから驚きだ。当時、国産車のメインと言えばトラックなどの商用目的のモデルで、庶民がクルマを買うなんて現実離れした話だったのである。この後から「モータリゼイション」という言葉が生まれ、徐々にご家庭にクルマが広がっていくわけだ。

この全日本自動車ショウが“東京モーターショー”と名称を変えたのは、昭和39年に開催された第11回から。昭和40年4月から乗用車の輸入自由化が予定されており、それに合わせてインターナショナルショーにしようという主催側の狙いがあった。会場は第6回より東京・晴海にあった東京国際見本市会場に変更されており、出展車も乗用車が多くなっていた。

ちなみに第11回の出展車の目玉は「スバル360」や「ダットサンS211」だった。東京オリンピックの直後ということもあり、さぞ盛り上がったに違いない。

日産ブースに出展されている「ID-xフリーフロー」。かつて我々を熱狂させたクルマが、姿を変えて新たな価値観を世に問う。

'80年代から'90年代にかけてのバブル期は、国内メーカーのみならず海外メーカーも日本市場を重視して大いに盛り上がった東京モーターショーだが、その後の景気後退と共にショーの様子も徐々に変わっていった。バブル期は裸同然のコンパニオンがいたり、何だか自動車のショーだか何だか分からなかったものだ。

リーマンショックによって決定的な打撃を受けた日本だが、この頃になると海外メーカーのアジアのメイン市場は中国となり、東京モーターショーに出展をやめるメーカーが続出。ガラーンとした幕張メッセ会場の様子に、涙を禁じ得なかった当時を思い出す。

2011年の第42回より、都心から遠いと不評だった幕張メッセから都内の東京ビッグサイトに会場を変更。自動車ショーとしての再起を図った。今回は出展車が前回の402台から426台に増え、ワールドプレミアは乗用車40台/二輪車24台、ジャパンプレミアは乗用車40台/二輪車33台と、前回よりも活況を呈している。

時代とともに変わる“ショーの華”

いまや日本のショーコンパニオンも欧米人なみのサイズ。911がボクスターに見えます。

モーターショーを彩ってくれるのが、ショーコンパニオンだ。一時はコンパニオンだけを狙うアマチュアカメラマンが大挙して、ちょっとした問題にまでなったこともある。前述したように一時はハイレグで半ケツ状態のコンパニオンが登場したような時代もあるが、不景気と共に衣装も落ち着いてきて、ここ数年は逆に地味めだ。

日本の女性の平均身長が変わったということもあるが、コンパニオンさんも本当に大きくなった。今回のショーでは身長180cm以上の人もわんさかいて、大きなクルマが小さく見えるというよく分からない遠近法も。かつて某軽自動車メーカーは自社のクルマを大きく見せるために、身長150cmクラスの女性ばかりを集めた…なんてこともあったが、最近はどうやら違うらしい。

大きな女性を使うのは海外メーカーに多く見られ、一緒にいる外国人コンパニオンさんと比べてもまったく遜色がない。日本のクルマが海外メーカーと当たり前のように肩を並べるようになったように、コンパニオンの世界もまさに「肩を並べる」ようになったと思うと、モーターショー歴40年の僕としてはちょっと感慨深いものがある。

スズキブースで商品説明をしてくれる北原華織さん。今回でモーターショー3回目のベテランです。

さて、華やかな雰囲気を振りまいているコンパニオンさんだが、実はその生活はハードだ。スズキブースでコンパニオンを務める北原華織さんは、東京モーターショー3回目というベテラン。そのすべてをスズキブースで過ごしてきた。北原さんにコンパニオンの生活を聞いてみた。

コンパニオンさんは2シフトで早番、遅番はあるようだが、ショー会期中はすべて出勤となる。かつてはショー会期中はホテルで合宿状態…という時代もあったようだが、やはり予算の関係もあるようで、10日間毎日有明まで出勤なんだとか。“サラリーマンなら当たり前だ”という向きもいるだろうが、彼女たちはショーの前にミーティングがあるので、かなりの早朝出勤になる。

ちなみにスズキブースのコンパニオンさんは総勢40名。ショーはチームワークが大切なので、40名の結束は固く、コミュニケーションも密だという。ライバルの制服にまち針を仕込むなどという、映画ばりの愛憎劇はないらしい。

コンパニオンさんの中には舞台に立つだけの人もいるが、北原さんのようないわゆる“制服組”は、自動車の説明もできなければならない。僕でさえジムニーの詳細スペックが頭に入っているわけではないので、結構大変なことだ。北原さんのように3回目のベテランともなると、スズキ愛が強いので日常でもスズキ車をチェックするようになるらしい。頭が下がります。

北原さんにモーターショーで何が一番うれしいですか? と聞いたら、「東京モーターショーでお会いした方が大阪とか他のモーターショーに来てくれることです」と100点満点のお答えをしてくれた。いずれにせよ、明るくていいお嬢さん方が一生懸命働いているので、皆さんも会場でぜひねぎらってあげてください。

知られざる世界「プレスデー」

東京ビッグサイトの一角にあるプレスセンター。ここから世界に情報が発信される。

皆さんが東京モーターショーが観られるのは11月23日だが、20、21日の両日はプレスデーとなっている。その名の通り、報道関係者だけが入れる取材専用の日のことだ。

実はこのプレスデーも東京モーターショーの歴史の中で変化が起こっている。かつてはプレスデー当日に、誰でも名刺を差し出せば入場できた時代があった。ところが、'90年代にコンパニオンのいかがわしい写真を撮影するために来るアマチュアカメラマンが大挙してやってくるようになったのである。

この連中、プロのしきたりなど知らないからやりたい放題。報道関係者がまともに仕事ができない状態になり、各方面が苦情が出始めてしまった。そこで主催者もアマチュアの入場を規制するために、10年ほど前のショーから登録制を導入。原則、事前に登録していないとプレスデーには入場できないようになった。

審査も回を追うごとに厳しくなっており、フリーのライターやカメラマンなどは、媒体で仕事をしている実績がないと許可が下りなかったりする。審査もかつては1週間程度だったが、今回は1か月近くかかり、報道関係者を少々戸惑わせたくらいである。

上)カメラマンが写真をプリントしたりするブース。下)国内外への宅急便も無料だ。

さて、審査が通過すると晴れてプレスパスが送られてくる。このプレスパスを持っていると、会期中は入場無料で、プレス専用の駐車場も2回まで無料で駐車することができる。プレスパスにはICチップが貼り付けてあり、これで入場を管理する仕組みとなっている。

ICチップに別な働きもある。まずプレスにはプレスルームで1回だけランチが提供される。無料でいただけるので文句を言えた義理ではないが、この通称プレスメシも回を追うごとにコストカットされて寂しいものになっている。今回はサンドイッチとお茶だったが、かつてはシチューとか入ったケータリングが提供されていた。チップをかざすとカウントされ、次は自費で食べてくださいということになる。

ショー会場で売られている自動車ガイドブックも1人に1冊配布される。かなり高額な書籍だが、僕は持って歩くのが重いのでもらわないことが多い。プレスセンターには宅急便コーナーがあり、重い資料を国内外問わずに無料で送ることができるのはすごい。センターにはキャノンとニコンのプロサービスも来ており、急な故障やメンテナンスに対応してくれる。

もちろん各ブースでもプレスデーに限って取材特権がある。まず壇上に飾られたコンセプトカーなどの撮影や内部見学が可能になる。皆さんには申し訳ないが、これはプレス最大の特権だ。車両によっては座ったりすることもできるのだ。コンセプトカーは大抵、特別なパーツで作られた展示専用車なので1分の1プラモみたいなものだが、何十分も座っていじり倒している謎の海外プレスもいたりする。

さらにターンテーブルで回転しているクルマを都合のいい位置で止めたり、コンパニオンさんをクルマの脇に入れたりと、何かと撮影に便宜を図ってくれる。

東京モーターショーを楽しみにしている報道関係者は多いが、実際の取材は決してラクなものではない。重い機材をかつぎながら広い会場を行ったり来たりと10km近く歩き、ともすると食事にもありつけない。自画自賛になってはしまうが、皆さんに東京モーターショーの情報をいち早くお届けしているプレスも結構大変な仕事だったりする。

>>パート2はいよいよショー注目車種をクローズアップ! 

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