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11.09.02

【尾上レポート・その2】ゴビ砂漠最南端、小さな町で修理決行

[ 尾上レポート・その2] ゴビ砂漠最南端、小さな町で修理決行

text by TEAM APIO 尾上 茂 photo by A.akamatsu


ラリーも後半に突入。4日目のスタート、エンジンからの異音がかなり大きい。もしこのゴビ砂漠で走行不能になればここから脱出するのはかなり大変だ、何しろ中国の国境がすぐ近くで町まで最低200kmはある。何とかその日のキャンプ地ZOMODまでたどり着き翌日が休息日であるからそこでゆっくり修理を試みようとエンジン回転数を3500回転以下でゆっくり走ることにした。
それまでガンガン走ってきたが一度もパンクはしていない、ところがゆっくり走りになったらとたんにバースト・・。どうして・・?タラタラ走っていると気が緩んでしまうようで路面の鋭い岩等に気付かずタイヤにヒットさせてしまったようだ。
おまけにうんと遅い後続車に抜かれるは・・・気がめいるね~・・!

ようやく200km位走り最初のRCP(1時間強制休息のレストCP)に到着、1時間あるからここで修理しようとラジエターの冷却水を抜き作業を開始、ところがこの場では無理と判断し近くの修理工場に入れることに。ここはモンゴル最南端の小さな町、近所のお兄さん二人がバイクで見学に来ていた。ここで我がナビさん、その2人のお兄さんに何語とも分らぬ話で修理工場に案内してくれる話をつけた。そのうちの一人は自分の頭を指さし、「暑いから帽子が欲しい」のゼスチャー、よし「ここで恩を売っておこう」で貴重なTEAM APIOの帽子を彼の頭にかぶせた。 
RCPはいつまでも開設されている分けでは無い、決まった時間になれば閉鎖され、もしもCPのスタートスタンプをもらわないと大きなペナルティーとなる。結果まずはこのRCPをスタート。100mほど走りUターンして彼らのバイクの後を追った。


ゴビ砂漠最南端、小さな町で修理決行

■ 左からバルサン,尾上,バター

最初の修理工場はピット満車でだめ、次に民家のガレージの扉を開けて中へ入った。最初は修理工場と思ったが様子が違う、そこは彼の自宅ガレージであった。
ここで彼らの手を借り作業開始。二人の名前はバルサン君とバター君。
庭に日野レンジャー4トン車があった、バター君はこのトラックで運送屋さんをやっているとの事。モンゴルのドライバーは自分で修理するのは当たり前、そんな訳で俺の工具を取り上げるように作業をしてくれた。バルサン君は家から冷たいコーラを、そしてテイクアウトのピザみたいで油ギラギラな食べ物を買ってきた、それをご馳走になり昼飯となった。けっこう美味しかったな~。

しかしジムニーのウオーターポンプってすごく取り外しが難しい・・。持参しているどの工具使っても一箇所だけボルトが外せない・・?

ではボックスレンチのコマをカッターで切断し、スパナが使えるよう削ることで特殊工具を作った。バター君と近所の鉄工所に行きサンダーを借りて製作。どうにか取り外すことが出来た、次はそのポンプを持参し別の工場に行き分解・・。

■ 尾上が現地で作った工具のイメージ

いや~この時は2度と元に戻らないかと思った、だってろくな工具や機械も無いんだ・・・!近所の部品屋に行ったがジムニーの部品はさすがに無い・・。イチカバチかベアリングにカッターで小さな穴を空け、その穴からデフオイルを少しずつ注入・・、デフオイルってすごい・・!だんだん滑らかに・・。
穴はシリコンを塗り組み立てた。

何とも表現のしようが無い感覚でとりあえずまずまずの状態に戻り組み立てて約3時間、作業終了・・・。液状シリコンガスケットは部品屋に売っていた、ロシア製で約250円。
彼ら二人にお礼として現地通貨の10000ずつ渡したらすごく喜んで「また来年も来い」であった実にいい人たちで嬉しかったな~。でも来年はお世話になりません・・多分。

その後完全に音が止まったわけじゃないが最後まで壊れないで走れた事に我ながらビックリ・・!!
モンゴルもアフリカも同じだが店の入り口は小さく一体何屋なのか全く分らない事が多い、表の看板文字も全く意味不明でどうしよも無い。素早く現地の友人を作って協力してもらうのがコツだろう。その点我が石原ナビさんは偉い・・!

ジムニーで大きな砂漠超えに挑戦

今回は今迄に無い3回の砂漠超えがあった。最初の砂漠はアフリカのテレネ砂漠と同じような肌色の砂で軟らかくタイヤが潜ってしまう、一つ一つのデユーンがかなり大きく斜面が急で、軽自動車の660ccジムニーにはかなりきつかった。俺のナビ石原さんは過去パリダカにカローラやパジェロで走りクラス優勝もしている超ベテランで、パリ・北京ラリーにスバル・ビビオで走ったりと砂漠の超ベテラン。
そのナビさんが色々指示を飛ばす・・。だが頑張ってその走りをしようと思うのだが、なにせパワーが・・・、大きなデユーンをあと少しのところで直登出来ず停止。こんな時ジムニーが斜面に向かって直角方向にいれば倒れないからそのまままっすぐにバックし手前の斜面にバックで勢いよく行ける所まで上り、次は加速をつけて一気にアタック。何回か試みたが残念ながら上れない。そこにトヨタFJクルーザーが現れ同じデユーンに挑戦・・、だが彼らもクリアー出来ず断念。

その後ナビさんから「斜面を斜めに上り最後にハンドルを切って乗り越えろ」、「もし無理なら斜面でUターンし加速を付けてやり直せ」の支持が・・!いや~これにはヤバイと思ったが「ま~やってみるか・・」とアクセル全開で挑戦・・。アクセルは全開で7000回転くらいなんだが、なにせ軽自動車・・、どんどんスピードが落ち、ここらでUターン・・と思うが既に遠心力に勝つだけのパワーが足りない、「ヤバ~イ転倒する・・」何とか斜面を横向きの転倒寸前でとまった。こんな時って冷や汗がドッと出るね~・・そして喉がカラカラに渇く。「左斜面で右に乗ってる俺が先に下りたら左側に転倒するからナビさん先に降りてスコップ出して右側の砂掘って車の角度少し変えて~・・」でなんとか転倒だけは免れた・・。

でもそのコースが本当のONコースなのだが、誰も走った跡がない、近くでは菅原照さんのパリダカ・カミオンもスタック・・。
こりゃヤバイって事で元来たコースを引き返した。
その後コースを外れデユーンの外側に大きく迂回して乗り越えた。どうやら皆さんデユーンは走らないでショートカットで行ったようだ。正直者が悔しい思いをしたデユーンであった。しかしナビさんもジムニーの走りが少しは理解出来たよだ。
教訓、ジムニーは車高が高く幅が狭いので極力キャンバー走行はしないほうが良い・・。

つづく。

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