ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.42「山梨県・山梨市」
Traveling alone with jimny.
甲府盆地をぐるりと巡るグルメ旅
そして、天空のキャンプ場へ
日中の気温は高めだが、夜になれば涼しげな風が吹いてくる季節。
美しい夜景を見下ろしながら、小さく揺れる焚火の炎を愉しんでみた。
Photo & Text / 山岡和正 SPECIAL THANKS / ほったらかしキャンプ場
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。
日本の林道の有識者とも言われ、四駆でのオフロード経験値も高い。
ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
SNS:Facebook
森の新緑が眩しい初夏。 木々の間を吹き抜けてくる風の匂いで、季節が変わったのだと気付く。短い期間だが、キャンパーには最高のシーズンとなった。 焚火にも丁度良い気温なので、星空や夜景をプラスして小さな光の共演を堪能しながら心地よい時間を過ごせるだろう。 真っ先に脳裏に浮かんだのは、山梨市にある『ほったらかしキャンプ場』である。そこは、『車中泊ひとり旅』の第一回目で行った、記念すべきキャンプ場なのだ。その時は営業を始めてはいたもののまだ発展途上だったが、今では施設も充実してキャンパーの聖地と言われるほどの大人気キャンプ場となっている。 キャンプ場に予約を入れた後、その麓に広がる甲府盆地の情報を収集していると、いくつもの名産が浮かんできた。せっかくなので、キャンプ飯と一緒に地元グルメも満喫したいところだ。
中央自動車道を西へ向かい、山梨市へ入る。すり鉢状の地形の斜面にはブドウと桃の畑が広がっていた。タイミングが良ければ、桃の花があたり一面をピンクに染めた桃源郷のような景色に出会えるかもしれない。 そろそろ昼食の時間という頃だったので、地元で評判の蕎麦屋で舌鼓をうち、キャンプ用の食材を仕入れてから近くの林道へ向かう。
ダートへ入った途端、雨が降り始めた。さっきまでの晴天はどこへやら、むしろ遠くの空は晴れているようだ。頭上に停滞している雨雲から、JB74を狙っているかのようにピンポイントで銀の雨が落ちてくる。それも、だんだん強くなってきた。 ゆっくりと進んで行き、左右に暴れるワイパーの隙間から前方を見ると、大きな倒木が見える。直径30〜40㎝くらいはあるだろうか、根元から折れて道を塞ぐように横たわっていた。幸運なことに山側の隙間を潜り何とか進めたが、隙間が狭ければ林道の入口まで引き返す事になっただろう。 太陽はずっと雨雲に遮られていて、雨は降り続いている。けれど、芽吹いたばかりの新しい葉や草のおかげで光が透過してくるのだろう。林道全体に光が回り、まるでライトグリーンのフィルターをかけたように明るかった。 その先は下りとなり、ほどなく舗装路に出た。いつの間にか雨は止んでいて、ふとドアミラーを見ると、水滴を纏った車体から水煙が尾のように伸び、消えていった。
キャンプ場に到着して空を見上げれば、雨雲は何処かへ消え去り、青空の中を白い雲がゆっくりと流れている。林道の途中では雨が降っていたせいでコーヒーブレイクが出来なかったので、キャンプサイトにあるデッキでコーヒーと景色を愉しむことにした。 眼下に広がる街並みは爽快で、その向こうには遠く雄大な富士山が残雪を被り鎮座している。ここは間違いなく特等席だなとしばらく悦に入っていると、いつの間にか虹まで現れているではないか。こんな夢のようなシーンがあるだろうか。あまりの奇跡的な瞬間に言葉を失い、しばらくその場に立ち尽くして絵画のような景色を眺めていた。