JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン

CATEGORY MENU

  • すべて(506)
  • ジムニー車中泊・ひとり旅(41)
  • ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪-(2)
  • ジムニー探検隊NEXT -祭り、その街-(10)
  • ナローシエラで林道探訪(28)
  • ジム知る(13)
  • ユイカメjimny(24)
  • ジムニーを話そう(13)
  • 湯 あみ旅 / 木村亜美(6)
  • 森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶(19)
  • TSジムニーのトリセツ(8)
  • ビヨンド・ザ・フィールダー(15)
  • ジムニーで行く林道旅(92)
  • 山下晃和のアピオジムニー旅暮らし(37)
  • ON THE STREET BURGER(47)
  • 日本再発見ジムニー探検隊(82)
  • ジムニーライフ トップへ戻る
ON THE STREET BURGER
VOL.017
ラストは風のように~Lighthouse [神奈川・佐島] 後編

CATEGORY MENU

  • すべて(506)
  • ジムニー車中泊・ひとり旅(41)
  • ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪-(2)
  • ジムニー探検隊NEXT -祭り、その街-(10)
  • ナローシエラで林道探訪(28)
  • ジム知る(13)
  • ユイカメjimny(24)
  • ジムニーを話そう(13)
  • 湯 あみ旅 / 木村亜美(6)
  • 森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶(19)
  • TSジムニーのトリセツ(8)
  • ビヨンド・ザ・フィールダー(15)
  • ジムニーで行く林道旅(92)
  • 山下晃和のアピオジムニー旅暮らし(37)
  • ON THE STREET BURGER(47)
  • 日本再発見ジムニー探検隊(82)
  • ジムニーライフ トップへ戻る
ラストは風のように~Lighthouse [神奈川・佐島] 後編

夏休み特別企画!
前後編でお届けする拡大版!
ついに電話の謎が解き明かされる……

※記事中に登場する店の名称、営業内容、場所等は全て事実に基づく正しい情報ですが、登場する人物の行動については全てフィクションです。

四足獣

1988年創業の市来さんの店、クアドロペット。居並ぶカスタムカーの姿はまさに四足獣

佐島から20分ちょっと。三浦半島も内陸に入り込んだ北久里浜駅の近くに、ライトハウスのオーナー・市来さんの本業である四駆屋「Quadruped Customs(クアドロペット)」はある。


"quad"は英語で「4」。イタリア語なら"quattro"。"ped"とは足の意。つまり4つの足。四つ足。四肢を持つ動物全般を意味する。四足獣とはなるほど、前後四輪ぶっといタイアを履いて、大地を噛むように佇立するコノ店のクルマにふさわしい言葉だと思った。あのカマロまでがバギー仕様になって車高が上がっている。そのイカツイ面々の間に、我らがハンバーガー号は小さくなって収まった。

上は象色のフォード・ブロンコと砂色のフォード・レンジャー。下は1999年式カマロバギー
それにしてもイカツイ。そしてゴツイ。スタッフも肩の辺りの盛り上がった巨漢揃い。敷地の角、部品取りの車が投げてある一角などは、映画のセットのような、絵になる荒れ様だ。 創業は1988年。今年で26年。それこそ四本の足を一歩一歩しっかと地につけ、歩んできたような凄味がある。店の中がまたスゴイ。市松模様のフロアの上に、ゴミからタイアから、応接セットからバイクから、あらゆるものが無造作に投げてある。だが居心地の悪さを感じないのは、オーナーが好きで、心から楽しんでやっている店であり、空間であるからだろう。 「帰りについ遠回りしたくなる車」が造りたいと市来さん。また「ここまでいじっていながら、これほど運転のクセのない車も無いだろう」とも。後でGAOさんが「派手に見えて、やっていることは基本に忠実な、実に正統なカスタム」と教えてくれた。
野獣がノドを鳴らすが如き声で続く市来さんの話に聞き惚れて、GAO・坂上両氏は眼を爛々と輝かせ、こちらまで野獣のようになりかけている。これではテコでもジャッキでもとても動きそうにない。と、そこへ市来さんの方から、さっきのメモの一件について触れてくれたので、それを潮に、バイク屋のおよその場所を訊いて、店を辞した。 四つ足の獣……またも"暗示"めいたものを感じながら、凄まじい引力を放つその一大基地を後にし、衣笠のインターに危うくハンドルを切りかけたGAOさんをどうにか留めて、バイクショップへ向かってもらうようお願いした。奇しくもラジオからは"Call On Me"、パトリース・ラッシェン。
看板のないバイクショップ「MOTOGITA」。出窓の多い建物の一階部分全てがガレージに
湘南国際村は、三浦半島の背骨を成す山がちな地形の、中でも見晴らしの好い高台にある研究・会議施設である。そこから内陸側に坂を下り切った麓に、その店はあった。 店と言っても看板が無い。だから店名も判らない。恐る恐る訊いてみると、「MOTOGITA(モトジータ)」という名の店だという。外出の支度をしていたオーナー枡本さんは、しかし私たちを快く迎え入れてくれた。

Lighthouse [神奈川・佐島]

最初は世田谷など都内でやっていたが、2007年に藤沢、次いで葉山へ移転。3年前、さらにこの山あいに移った。最近流行りの"トライク"はじめ、国内外、何でも取り扱うが、中でもお気に入りは、"DUCATI"、"GILERA"などのイタリア製。どれも個性的なデザインの車両が、奥の事務所スペースに至るまでギッシリと詰めて並んでいる。 それはある種異様な空間だった。一番奥の部屋は、薪ストーブを中心に左右対称に食器棚が並び、それらを前に応接セットが置かれて、オフィスと言うよりダイニングである。そんな居住空間の中にまで多数のバイクが入り込み、当り前のように並んでいるのだ。湿度を帯びた重たい冷気が、ひんやりとその静かな室内を支配していた。 この部屋で枡本さんは愛車を眺めながら、夜な夜な酒を飲むのだという。みごとな「ガレージライフ」だ。と思った瞬間、薪ストーブの前の黒い椅子に、ふと松田優作の姿が浮かんだ。あれは『蘇る金狼』か。それとも『野獣死すべし』か。
下は枡本さん憧れの一台「DUCATI MHR MILLE NCR レプリカ」、1984年製
とそこへ、ふらり外から女性が入って来た。「開いてたので、居ると思って寄ってみたの」と快活な声。夕飯の買い物帰りといった風だ。この店の主は旅で何週間も居なくなることがあるのだとその女性。だからいつでも出発できるよう、定休日なし、営業時間なし、看板なしにしていると枡本さん。 「お茶でも飲むか?」と枡本さんが訊くと、「わたし今日、車で来てるの」と話が噛み合わない。どうも普段は酒を呼ばれているらしい。時には友人を招いて夜会を開くのだと、そう言って枡本さんは会の面々を指折り挙げ始めた。その一息ついた合間に、女性が継いだメンバーの名が、私の耳にミョウに留まった。  「いま、ダイイング(dying)何とかって言いました?」  「あぁ、COOK & DINE(クック&ダイン)さん。もう8年の付き合いになりますね」 と代わって答えたのは枡本さんである。何食わぬ様子で応じるその横で、「そうよ、次はそこよ」と女性が私に目で合図している――間違いない。次の目的地はそこだ。 またも帰る気でいるGAOさんをどうにかなだめて、その店へ向かってもらった。この日最後の目的地へのBGMはボズ・スキャッグス、"Lowdown"。
住宅街の細道をさらに入り込んだ奥の奥

家庭用の鉄鍋をこれだけもの数取り揃えた店はまず無いという

Lighthouse [神奈川・佐島]

― shop data ― 所在地: 神奈川県横須賀市芦名1-17-8 アクセス: 横須賀横須賀道路・横須賀ICより坂本芦名線経由7km 駐車場: あり TEL: 090-7243-3033 URL: http://ameblo.jp/lighthouse0602/ オープン: 2009年6月2日 営業時間: 11:30~23:00 定休日: 火曜日(要確認)

上下とも1993年製フォード・レンジャー
オーナー市来さん。大学4年から今の商売を始めて一度も就職してないという経歴の持ち主
バイクの館のバイク群とジムニー
下の2001年製「KAWASAKI W650」は、枡本さんが「絶対に手放さない」3台中の1台
オーナー枡本さん。北は礼文島から南は足摺岬まで3万kmを下道で行く「全国居酒屋紀行の旅」を成し遂げた偉人
まずはこの辺が入門というロッジのスキレットと中蓋
家庭のガスコンロで燻製できる超有能小型スモーカー
オーナーにして鉄鍋伝道師の山口さん。三浦のおいしい野菜・魚に魅せられて、15年前、程近い横浜市金沢区へ移転
こちら千葉県・九十九里産の「緑茶豚」をダッチオーブンでじっくり焼き上げた、ローストポーク
夕暮れの森戸海岸にて
そして葉山マリーナの夕陽