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ジムニーで行く林道旅
VOL.019
~長野県・湯沢林道・後編~ 後編
~長野県・湯沢林道・後編~ 後編

2日目は秋鹿大影林道を走って法師温泉『長壽館』に宿泊する予定。
与謝野晶子を始めとする著名人が利用している由緒ある歴史を誇る温泉宿だ。
温泉の他に、この宿を選んだ理由はもうひとつある。それは河野さんが描いている『トラベラーズノート』。
情緒ある河野さんのイラストと風情豊かな長壽館がベストマッチ! 素晴らしい作品ができあがったのだ!!

川崎さんジムニーの虜に!

凸凹が大きいため、前回JA11で走った時は走り甲斐を感じたが、JB23だと非常にスムーズに走れた。

万座温泉では晴天だったが、西へ進むほどに天候が崩れてきた。1日目に湯沢林道が通り抜けできなかったこともあり、秋鹿大影林道が通れるか不安に…。まぁ走れなかったとしても迂回すれば良いのだから、迷うことなく入り口を目指す。

筆者は昨晩、アウトドア雑誌『Fielder』の編集長・川崎さんとのふたり部屋だったのでジムニーについての正直な感想を聞いてみた。
筆者:「ぶっちゃけ、ジムニーに乗ってみてどうでした?」
川崎さん:「想像以上に楽しいクルマでしたよ!」
筆者:「良かった〜。今何に乗っているんですか? ジムニーに乗り換える気ありません?(半分以上冗談にのつもり)」
川崎さん:「シトロエンに乗っています。でも古いから故障が多くて…。実は冗談抜きにジムニーは気になっていたんです。スタイルはJA11みたく角張ったのが好みだな〜。リーフリジッドって乗り心地とかどうなんですか? やっぱりコイルリジッドの方がイイんですかね?」
筆者:「おっ! ジムニーに興味がある? マジっすか? リーフリジッドはですね…」
など、ジムニー談義に華を咲かせたのであった。

Yカメに「チェンジ!」を告げて青島さんを隣に乗せた河野さん。林道の楽しさは二人の笑顔が物語る。

そんな川崎さんは昨日の林道走行で四駆のコツを掴んだ様子。まだ雨は降っていないが、前日までの雨の影響なのか秋鹿大影林道の路面はかなり湿っている。入り口からしばらく走り、勾配が急になったコーナーでスタック。すると間髪入れずに四駆へシフトして難なく登って行った。

また気分転換で編隊のトップを川崎さんにチェンジ。その走りを後ろから見ていたが、ワダチをトレースするか跨ぐかの選択も無難にこなし、見事な走りを見せた。好きこそ物の上手なれ! ではないが、すっかりジムニーと林道にハマったみたい。同乗の青島さんも昨日に続いて凸凹走行を楽しんでいる。途中から雨に見舞われたが秋鹿大影林道は無事に走り抜けられた。

河野さんが平成の巨匠に?

与謝野晶子が宿泊した部屋でトラベラーズノートを描く河野さん。なんでこんなに絵になるんだ?

秋鹿大影林道を走ったら、いよいよ今回の目玉となる法師温泉『長壽館』だ。

長壽館は前回でも触れたが、40代半ば〜50代半ばの人なら懐かしむであろう、片岡義男原作の映画『彼のオートバイ・彼女の島』で主人公の竹内 力とマドンナ役の原田貴和子が再会した温泉のロケ地。一般的にはJRが国鉄時代に造った、上原 謙と高峰三枝子によるフルムーンのポスターで広まった温泉である。

さらに古くは歌人&作家・与謝野晶子や歌人・若山牧水、小説家・川端康成などの文人がこよなく愛したとこでも有名。道の行き止まりにある一軒宿、そして本館と別館、法師乃湯が国登録有形文化財に指定されているなど、とにかく素晴らしいロケーションを誇る。Yカメはこれまでにバイクや四駆のツーリングで何度も訪れ、筆者も『彼のオートバイ・彼女の島』を観て以来4、5回ほど訪れている。個人的にベスト3に入るお気に入りの温泉だ。

Yカメと河野さんペアが泊まる部屋は、かの与謝野晶子が利用していたという特等室!(ちなみに筆者と川崎さんの部屋は、故・夏目雅子さんが夫婦で宿泊したと書かれていた) それを知って『トラベラーズノート』に恒例の旅絵日記を描く河野さんはいつも以上に気合いが入る。浴衣を羽織って下絵なしに万年筆を走らせる姿は、まさに『平成の巨匠』といった貫禄。あまりにピッタリな印象にその場ではみんなで冷やかしていたが、写真を撮ると素晴らしい絵になっていた。カメラマンの腕が良いのか、モデルが良いのかは置いておいて、河野さんの作品も「お見事!」のひと言であった。

女性専用時間? それは知らんぞ!

法師乃湯の建物は明治28年に完成したという。100年以上の歴史を誇る、名湯中の名湯だ。

長壽館には『長寿乃湯』と『玉城乃湯』、そして『法師乃湯』、3つの湯が備わっている。『法師乃湯』は弘法大師が巡錫した際に発見されたと伝わり名付けられた。建物は明治28年に建てられた100年以上もの歴史があり、鹿鳴館超のデザインが特徴であり魅力となっている。最近では珍しい混浴だ。『長寿乃湯』は檜の柱とヒバ張り造り、『玉城乃湯』は総檜造りの内湯と露天風呂を備えた湯で、いずれも時間によって男湯と女湯に切り替わる。

我々男性陣4人は迷うことなく(卑しい気持ちもなく!?)法師乃湯に浸かる。昨日の万座温泉とは打って変わって、ここの湯は無色透明。温度もぬるめだが、下に敷き詰められた玉石の間から自然湧出している源泉により、浸かっていると身体が芯から温まってくる。入浴後もしばらくの間汗が引かないほどポカポカ状態だ。

この湯の魅力は他にもある。入浴客はこの湯の歴史を知っており、また温泉でのマナーを熟知した人達ばかりなのだろう、大勢が入浴していても静寂が保たれている。心身ともに癒やされる、最高レベルの温泉なのだ。

さて、本題(?)に移ろう!
青島さんとの混浴を目論んだ我々であったが、20〜22時は女性専用となっているのを知らなかった(汗)。詰めが甘かった、甘すぎた…(笑)。まぁ、今のご時世、若い女性のためにも専用時間を設けているのは仕方のないこと。この悔しさを胸に「今度こそ完璧な混浴ツーリングだ!」と健全なる(?)目標を立てた我々であった。

「山のいで湯の丸太の枕に…」という与謝野晶子の歌を彷彿とさせるシーン。この湯に浸かると本当に気持ち良くて眠くなる。

日進館は一般的な和室の他にご覧のような洋室も設定している。好みで選べるのがGOOD!
日帰り入浴(¥1,000)の他、昼食プランも実施中。詳しくはHPを参照。http://www.manza.co.jp/
秋鹿大影林道の鬱蒼とした森の中を駆け抜ける。約13kmのダートが続くのは魅力だ。
かつて与謝野晶子が宿泊した部屋。もちろん当時のままの造りで、情緒溢れている。
いかにも山奥の温泉宿! といった感じの夕食。こだわりの食材で、大人好みの薄味だ。さすが人気宿の美味しさ!
常務取締役の岡村国男氏。心温まるお笑顔の持てなしが、当館の人気のひとつ。
郵便ポストの奥が長壽館の本館入り口となっている。この風情は筆舌に尽くしがたい。
河野さんが描いた今回の旅絵日記。下絵なしに仕上げるセンスの良さは少し分けてもらいたいぜ!(切実)