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ON THE STREET BURGER
VOL.003
世界に誇るアメリカの伝統料理、それはスモーク ~ WHITE SMOKE [東京・麻布十番]
世界に誇るアメリカの伝統料理、それはスモーク ~ WHITE SMOKE [東京・麻布十番]

テキサス出身のCraigさんが麻布十番に始めた「スモークハウス」。
グリルでもローストでも無い、テキサスが誇る伝統料理「スモーク」とは
一体どんな料理なのか――。

『ON THE ROAD MAGAZINE』Vol.35

『ON THE ROAD MAGAZINE』Vol.35

三たびの東京――これで4月に出た『ON THE ROAD MAGAZINE』Vol.35巻頭のハンバーガー特集とそっくり同じ並びになった。


『ON THE ROAD MAGAZINE』はイラストレーターGAO NISHIKAWA(ガオ・ニシカワ)氏が発行する車好き、バイク好き、その他あらゆる"Wheel Junkie"のための無料誌、フリーマガジンである。発行27,000部。全国800ヶ所以上の協力店で配布している。


今年2013年で創刊10周年。Vol.35はその記念号の第一弾として制作され、「アッと驚かせることがしたい」とのGAO氏の意向により、目くるめく車輪だらけの雑誌の巻頭を、車輪も原動機も付かない「ハンバーガー」が飾るという、極めて異例な一冊となった。


その特集記事を書いたのが、不肖、この私である――。

インテークについて語る監督とNameghさん

折角の機会、ただ漫然と店を紹介するだけの陳腐な記事にはしたくない。そこで、都内にある「アメリカ人がオーナーの店」のハンバーガー特集を思いついた次第。


高円寺「FATZ'S」、神楽坂「MARTINIBURGER」、そして今回の麻布十番「WHITE SMOKE(ホワイトスモーク)」、いずれもオーナーはアメリカ人である。しかも、彼らの店へ乗り付ける車は日本車・ジムニーという、期せずして二重に「ひねり」の利いた巻頭特集が生まれたワケなのだが、その上さらに「おまけ」が付いたのは、ジムニーを見たときの彼らの「反応」である。中でもWHITE SMOKEのゼネラルマネージャー・Mehrdad Namegh(メヘルダード・ナメグ)さんの食いつきは最高だった――。


オーナーはテキサス出身のアメリカ人・Craig White(クレイグ・ホワイト)さん。しかし残念ながらこの日は不在。Nameghさんについてはどこの国出身のナニ人なのか、実は私はよく知らないのだが、ともあれこのNameghさん、店の前に停めたジムニーに一方ならぬ関心を示したのである。


何だかじっと見ている。尋常でなく見ている。何をそんなに見ているのかと思ったら、ボンネットの上の「インテーク」がカッコイイという。


今や技術が進み、こんなカッコイイ形のものが容易く作れるようになったが、自分が作っていた頃はFRPなんてまだ無かったとかどうとか……スイマセン、実はよく聞いてませんでした(笑)……そういった話をオンザロード編集・鈴木洋一さん(通称「監督」)を相手に随分と熱心に語っていた。そのうち配達に来た八百屋の兄ちゃんまで捉まえて、「見てみろ、この車……」なんてまたイチからやりだす盛り上がり様――ところで兄ちゃん、配達は??

Pit Master

これが看板メニュー"Big-D Dinosaur Ribs"。

ハンバーガーは今や世界の食べ物。今さら自分が紹介するまでもないだろう。一方、地元テキサスはバーベキュー、つまり肉を「スモークする」料理が全米一盛んな土地である。このsmokeこそ世界に紹介するにふさわしい、アメリカを代表する伝統料理ではないか――Craig Whiteさんはそう考えた。


ガスも電気も一切使わず、"low and slow"、低温で長時間、薪を燃やして起した熱と煙だけを使い、食品を保存の効く状態に加工する料理法がsmokeである。テキサスには"Smokehouse"と呼ばれる専門店が幾千とあり、各店やり方も違えば味も違うゆえ、贔屓の店がそれぞれにある。全家庭の四分の一には"pit"があるだろうとCraigさん。

Craigさん設計の"pit"

初来日は1994年の夏。金沢工業大学に短期留学した。専攻は機械工学。自動車のエンジン制御のプログラムが専門だ。その流体力学の知識を活かし、総重量1.8tの巨大なバーベキューピットを自ら設計。牛・豚・鶏・羊、あらゆる肉をスモークしている。Craigさん自身、全米で最も有名なSmokehouseに学んだ"Pit Master"である。

Big-D Dinosaur Ribs

表面に摺り込んだシーズニング(Dry Rubs)が内側まで滲み込み、独特の芳香を放つ

店へ行ったら、まずは自慢の肉料理から食べたい。牛の特大骨付き肉 "ダイナソーリブ!!"4,000円~、ビーフブリスケット1,750円~、ベイビーポークスペアリブ1,700円~、ターキーブレスト1,800円~、スモークチキン2,500円などなど。これらを盛り合わせたサンプルプレート3,500円もある。


5kgの塊が3kgに減量するという15時間にも及ぶ燻煙で、内側までじっくりと熱が入り込んだショートリブは、余分な脂は全て落ちて、刃を当てれば自重でスッと切れ込んでゆく極上のやわらかさ。グリルともローストとも違う、これがテキサスバーベキューの真髄だ。

麻布十番商店街の終わりも近くにWHITE SMOKE

ハンバーガーは「Big-Tex Smoked Cheeseburger」1,900円、現在これ1品のみ。パティはUSと国産牛のミックス、175g。そのパティそのものをスモークしている。どれだけ濃厚なスモーク臭かと思いきや、実に穏やかなやさしい香り付け。肉の味を妨げないフレーバーがじんわりと香る一品である。


ピットマスターCraigさんによる卓越したスモークの技術で肉の国・アメリカが心ゆくまで堪能できる、日本国内随一のスモークハウス。テキサスが誇る伝統料理の評価は、きっと"Lone Star"では終わらない筈である。

< 文:松原好秀 写真:松原好秀、鈴木洋一 >

WHITE SMOKE [東京・麻布十番]

― shop data ―
所在地: 東京都港区元麻布3-11-2
アクセス: 東京メトロ・都営 麻布十番駅歩3分
駐車場: 店舗斜め向かいににコインPあり
TEL: 03-6434-0097
URL: http://thebettertable.com/
オープン: 2011年11月11日
* 営業時間 *
朝食: 土日祝 9:00~14:00LO
ランチ: 11:30~14:0LO
ディナー: 平日 18:00~22:00
 土曜日 17:00~22:00
 日曜日 17:00~22:00(21:00LO)
定休日: 無し(要確認)

六本木ヒルズにも程近い、麻布十番商店街の一角
Craigさんの故郷サンアントニオは「アラモの砦」がある街
机椅子の材はホワイトオーク。テキサス州に多い木である。ピットで燃やす薪もホワイトオーク
「ハンバーガーに合うドリンクは?」と聴くと「Tequila!」とCraigさん。国境の向こうはメキシコである
週末限定「The American Classic」2,500円。テキサスでは土曜日においしいbreakfastを食べるのが習慣
ガスも電気も一切使わず、低温で長時間、薪を燃やして起した熱と煙だけを使って燻煙
燻煙の結果がこちら、「ベイビーポークスペアリブ」1,700円~
「スモーク ポーク&ビーンズ」800円。チリには非ず。テキサスのチリに豆は入らず、ビーフのみ
デザートに「バーボンピーカンパイ」バニラアイス付き780円。ピーカンの木はテキサス州の州木
店主Craigさん。その日の天候に応じてピットの温度を細かく調節するが、温度計は使わず、煙突に手を当てて判断するのがPit Masterの実力
ずっと話し込んでいた配達中の八百屋とNameghさんの前景にジムニー
店の前で