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13.12.02

【Vol.8】富士山麓日帰りドライブ、林道付き~MOOSE HILLS BURGER [山梨・河口湖]

富士の麓の別荘地で大人気のハンバーガーショップがこちら。
レジャー、ドライブの行きに帰りに心強くも重宝な一店。
「黄色いヘラジカ」の看板が目印。

ジムニーと共に東富士五湖道路を併走する裾野の富士もよい

小春日和の秋の一日を、都心を離れ、日帰りのドライブ旅行で楽しんだ。訪ねた時分の楓や蔦はもうすっかり枯れ落ちてしまっているだろうか――。

富士に紅葉に湖に

国道138号線を須走の料金所に上ってゆく途中の富士もよい

「ひとめ見て、狼狽し、顔を赤らめた」「これは、まるで、風呂屋のペンキ画だ」と富士山を評したのは太宰治だが、いやいやどうして、文庫本から目を上げて実物を前にしてみれば、何度見ても、何十年見続けても、何と立派な姿だろう。「註文どおりの景色」で大いに結構。風呂屋の富士は入湯料を払わねば見られぬが、本物は"タダ"だ。


東名酒匂川(さかわがわ)橋から見た正面に望む富士もよい。国道138号線を須走(すばしり)の料金所に上ってゆく途中の富士もよい。ジムニーと共に東富士五湖道路を併走する裾野の富士もよい。徐々に近付く富士の威容と気持ち好く晴れ上がった秋空とが成す天と地の間に、今日はどうやら"月見草"の出番は無さそうである。


富士吉田ICで降りた後は盛りの紅葉を求め、河口湖周辺を回った。その間いろいろなものに出合った。紅葉のトンネルに出合った。馬に出合った。ゴルフ場の芝刈り機にも出合った。最後に秋の夕日に出合った。そして途中、林道に出遭った――。

馬に出合った。ゴルフ場の芝刈り機にも出合った。最後に秋の夕日に出合った。

紅葉台(こうようだい)の山裾で迷い込んだものである。途中からどうにも行く手が怪しかったのだが、乗っている車がジムニーなだけに構わず進んで行った。するとその行き止まったところに右から左へ、轍すら無い、有るか無しかの道なき道が薄っすら前に横たわっている。同行のオンザロード編集・坂上さんが収めたのが以下の写真――OTSB初の「林道旅」だ。


§ §


この日の我々は紅葉狩りと写真撮影に明け暮れたが、無論釣りよし、ゴルフよし、乗馬よし、テニスよし。その他あらゆるレジャー、行楽、ドライブ、ツーリングを満喫した後にこんな"ごちそう"が待っている――というのが今回紹介する店、「MOOSE HILLS BURGER(ムースヒルズバーガー)」。


国道139号線、富士パノラマライン沿い。中央自動車道のICから真っ直ぐ1本。とにかく場所が好い。週末には20~30台連ねてハーレー乗りがやって来る。これからの時季はスキー客がスキーウェアのままやって来る。河口湖屈指の人気店だ。

田舎に暮らすということ

そして途中、林道に出遭った――。

店主・井口さん夫妻は東京・原宿に住んでいた。都内で転居を考えるも余りの土地の高さに馬鹿馬鹿しくなり、一転気持ちが郊外に向いて、河口湖に住むことに。


初めて来た時、「あぁ、生きてるんだなぁ」と実感したという。今も週に1、2度仕事で都内に出かけるが、終ると一刻も早く「帰って来たくなる」。そして富士山を見ると「ふっ」となる……と奥さん。


地鎮祭を済ませた帰り、ふと見た「貸し店舗」の文字に心惹かれたのがムースヒルズバーガーの始まり。井口さんはカナダに暮らしていたことがあり、店をやる上で「カナディアン」は重要なテーマだった。その貸し店舗はログハウス風なばかりでなく、薪ストーブまで付いている。「註文どおり」とはまさにこのこと――即決した。

その物件はログハウス風であるばかりでなく、薪ストーブまで付いている

店の周りも家の周りも野生の宝庫だ。モミの木はそこら中に生えている。リスやタヌキ、ウサギ、キツネはもちろん、店の上をモモンガが飛び、家の玄関までイノシシがやって来る。居ないのはヘラジカぐらい。熊注意報も出る。店内にある鹿の角は落ちているのを拾ったもの。リースも全て拾い集めた小枝や蔓で作った。「お金を出さなくてもいくらでも『ゆとり』というものは出来るんです」と奥さん。


ではその『ゆとり』とは何だろう――。


東京に住んでいた頃、四季は全てスーパーやデパートの催事により知らされた。今は自らの意思により感じ取るものである。冬が近付けばモミの木の香りが良くなる。春はタラの芽を天ぷらにしたり、味噌にしたり……。四季を感じるのは全て自然から。そんな当たり前のことがしかし東京では一切働かなかった。


田舎に暮らすと全てにおいて『ゆとり』がある。そうした目に見えないものがこの店の空気となり、その居心地の好さとなって表れている、店中に溢れている――ムースヒルズバーガーとはそんな店である。

ドライブの「締め」にバーガー

目に見えないものがこの店の空気となり、その居心地の好さとなって表れている

バーガーメニューは全部で24品。中からボリュームと迫力の「ダブルチーズバーガー」1,650円を。


パティは豪州産牛のモモ肉に甲州牛の背脂を合わせた110g。これが2枚。チェダーチーズは4枚。バンズはブドウ種で発酵させた天然酵母バンズ。肉と野菜にはっきりとした"温度差"がある。焼いた肉は熱く、生野菜は冷たい。それが好いアクセントになっている。そこへ粒マスタードの酸味とレリッシュの甘味。オニオンは生。パティはさすがダブルの噛み応え。コリコリ・ミシミシと時折り当たる肉片が好い。見た目そのままにガツッ! とパワフルなバーガー。レジャーの後にふさわしいボリュームだ。

国道139号線、富士パノラマライン沿い。中央自動車道のICから真っ直ぐ1本

湖畔はこれから冬を迎える。1月、2月は山道の凍結に注意。他所から来た車がよく大事故を起こしているのを見るとのこと。地元の人は11月の終りにはスタッドレスに履き替える。


確かに冬は厳しい。でも四駆があれば大丈夫! いや、四駆じゃないと生きていけないのが河口湖だ――と奥さん。つまりこの富士山麓・河口湖周辺の暮らしこそジムニーを必要とする、まさにジムニーに打ってつけの環境であるというワケだ。太宰に敬意を表して、この記事の最後を私はこう締め括りたい――河口湖には、ジムニーがよく似合う。

< 文:松原好秀 写真:松原好秀、坂上哲也 >

MOOSE HILLS BURGER [山梨・河口湖]

― shop data ―
所在地: 山梨県南都留郡富士河口湖町勝山3290-1
アクセス: 中央道河口湖ICより約10分 国道139号バイパス沿い
駐車場: 店前に約40台駐車可
TEL: 0555-72-6691
URL: http://moosehills.jp/
オープン: 2008年4月4日
* 営業時間 *
平日: 11:00~20:00(19:30LO)
土日祝: 11:00~21:00(20:30LO)
定休日: 無休(要確認)

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