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13.08.26

【vol15-1】日本再発見ジムニー探検隊>>遊・食・走の小豆島2日旅

エメラルドグリーンの瀬戸内海に浮かぶ小豆島。
「二十四の瞳」や「八日目の蝉」の舞台であり、オリーブや素麺の産地として知られる。
今回のジムニー探検隊は、瀬戸内海2番目の島・小豆島を行く。

画像をクリックすると拡大&情報が見られます(スマホ、タブレット一部機種を除く)。

瀬戸内海に浮かぶ緑の宝石

新岡山港から小豆島までは両備フェリーで70分。快適な船旅だ。

小豆島はその温暖な風土ゆえに、古より人が住む島だった。古代では吉備国(岡山県)の国司に管理され、平安時代からは皇室御料地、その後細川氏、豊臣氏、小西氏などの支配を経て、江戸時代には天領となっている。小豆島は豊かなだけでなく瀬戸内海の海上交通の要衝であるため、時の権力者はみな支配したがった。

小豆島の総面積は153.3k㎡、海外線の総延長は126kmというそこそこ大きな島だ。ちなみに日本の島では19番目の大きさなんだとか。某自動車のCMで「あずきじま」と読んで子供に正される場面があったが、古代には「あずきじま」、中世では「しょうずしま」と呼ばれていた。

河野隊長も僕も、実は島好き。島は閉鎖的なようで、海と空に囲まれた開放的な土地だからだ。特に隊長は倉敷出身で幼少から瀬戸内海に馴染みが深い。小豆島には子供の頃に行ったというがあまり記憶がないということで、今回の探検場所と相成った。

さて、淡路島は橋で渡れるが、小豆島に渡る手段はフェリーだけ。神戸、高松、宇野、日生、岡山など本州の6箇所から計9路線のフェリーが小豆島に向かっている。島側の到着地は別々だが、土庄(とのしょう)港か池田港が大きくて、島内交通の便もいい。ちなみに本州からだと新岡山港からの両備フェリーが一番便数が多く、乗船時間も70分と手頃だ。

年間を通して穏やかな日が多い瀬戸内海。凪いだ日は湖のようだ。

関東からジムニーを走らせること8時間。探検隊は新岡山港に到着し、そこから70分のゆったりとした船旅を楽しむ。瀬戸内海地域は年間を通して晴天率が非常に高く、春から秋にかけては穏やかな海なことが多い。太平洋航路や日本海航路のフェリーに比べると船が揺れることはほとんどなく、船に弱い人でも安心して島に渡ることができるはず。

新岡山港からの両備フェリーに、ジムニーを乗船させた場合は5610円。これはドライバーの乗船料金込みだから、意外とリーズナブルな値段だ。関東方面からジムニーで自走して行く場合、高速代とガソリン代も含めても片道2万円以内で行ける(休日ETC料金の場合)。

土庄港に探検隊が上陸したのは午後7時半。土庄は想像以上にひらけていた。というよりも小豆島はかなり都会。島にはコンビニや大型ドラッグストアがあるし、土庄から池田港にかけてはどこにでもある地方の町といった様子。だが、島の東や北側はまったく様子が異なり、なんとものんびりとした漁村になる。つまり高松側は栄えていて、本州側は田舎町。この島が香川県だからなのか、それとも住みやすい南側に人口集中しているからなのかは分からない。いずれにせよ、そんな土庄から小豆島探検はスタートした。

日露戦争と小豆島オリーブの意外な関係

島の南側に多く見られるオリーブ畑。まるで地中海沿岸の風景のようだ。

小豆島の名産はいくつかあるが、やはりオリーブは外せない。昨今、日本人の食生活にも欠かせなくなりつつあるオリーブ。オリーブオイルやピクルスなどは、イタ飯好きの日本人にはお馴染みとなった。日本にあるオリーブオイルのほとんどが輸入物だが、小豆島産のオリーブオイルは高級品として知られる。

なぜ高級品なのかというと、まず「手摘み」だということ。ギリシアあたりでは機械でガンガン実を落としてしまうのだが、小豆島は1粒づつ収穫時期を見極めて摘んでいくのだという。オリーブは熟しすぎると、木になっている段階から酸化が進んでしまうらしい。ちなみにオリーブオイルは抗酸化作用がある食品だと言われているが、酸化したオリーブオイルを摂取すると、かえって老化を進めることになるのでご注意。

小豆島産のオリーブは酸化率が少ないことでも知られている。バージンエキストラオイルの酸化規定値は0.8なのだが、島で穫れるオリーブオイルはすべてが0.1〜0.3。これを聞くと、小豆島のオリーブが高いのも納得できるというものだ。

ところで、以前からなぜ小豆島がオリーブの産地なのか不思議に思っていた。日本にオリーブが入ってきたのは安土桃山時代で、宣教師が持ち込んだと言われる。江戸時代には将軍家典医がフランスから輸入し、横須賀で薬用として育てたこともあるようだ。明治になってからは和歌山で栽培が試みられたが、これはうまくいかなかった。

そして日露戦争後。戦争の勝利で広大な漁場を手に入れた日本は、そこで穫れた大量のイワシを保存する方法を考えなければならなくなった。イワシの保存で一般的なのが「オイルサーディン」。たくさんのオリーブオイルが必要になった政府は1908年に、小豆島、三重、鹿児島の3箇所を栽培試験地に選んでオリーブの実験栽培を開始した。そして唯一、実がなったのが小豆島だったのである。

カフェ忠左衞門の「海老と鶏肉のアヒージョ(800円)」。オイルが美味い!

小豆島には多くのオリーブ農園があるが、中でも有名なのが井上誠耕園だ。オリーブ畑を見たいなら、ここか小豆島オリーブ公園に行けば、間近にオリーブの樹を見ることができる。オリーブの実は美しく、まさに畑のエメラルド。井上誠耕園では、このオリーブを使った様々な製品が売られていて、オリーブオイルをはじめ、化粧品、ドレッシング、塩、スイーツとバラエティに富んでいる。

これらは小豆島のお土産としてもうってつけだが、すぐにオリーブオイルを味わいたいという人は「カフェ忠左衞門」がオススメだ。この店は井上誠耕園の直営店で、井上誠耕園のオリーブ畑の中にある。国道436号から脇に入り、ジムニーで本当に良かった…と思える細い農道をクネクネと走ると、見晴らしのいい場所にポツンと建っているのが同店。駐車場は20台も駐められるのに、客席は14席しかないというアンバランスなキャパシティ。

カフェ忠左衞門はパスタなどイタリアン的なメニューがメインだが、探検隊のオススメは「海老と鶏肉のアヒージョ」。新鮮なオリーブオイルをたっぷりと使ったアヒージョで、都内でもこれほどのオイルを使っている店はそうそうない。小豆島のオリーブオイルは酸化率が少ないだけあって、アヒージョを作ってもサラサラ。隊長と「まるで0Wだ」と笑ったのだが、味も申し分ない。

普通はバケットにオイルを染み込ませて食べるものだが、もうスプーンでごくごく飲みたくなるほど美味しい。よく、おいしいオリーブオイルはコップで飲めるというのが、それは本当だった。暑くてだれまくりの真夏でもおいしいのだから、四季を通じて美味いはずだ。

このカフェでは小豆島名物の「ひしお丼」も味わえる。ひしお丼とはご飯の上に島で穫れた野菜をのせ、最後にもろみをかけたヘルシーメニュー。肉食の僕には考えられないご飯だが、野菜好きな方はぜひチャレンジを。

小豆島が大きな美術館に!

ジェームス・ジャック作「夕焼けハウス:言葉が宿る家」。古い採石場の番小屋を再生した。

2013年は多くのアート愛好家たちが瀬戸内海を注目している。なぜなら現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」が開催されているからだ。瀬戸内国際芸術祭は小豆島をはじめとする瀬戸内海12の島と高松、宇野を会場に開かれる芸術祭だ。3年に一度開かれており、今年で2回目となる。この芸術祭は年3回の会期に分けて開催されている。夏期は9月1日までだが、秋期は10月5日から11月4日までの1ヶ月間。

とにかく広域で開催されるため、とても全部の作品を観るというわけにはなかなかいかない。小豆島だけでも6エリアがあり、86もの作品が展示されている。作品は鑑賞が無料なものもあれば、300円かかるものもある。隊長と僕は4500円のパスポートを購入しようとしていたのだが、地元の方に聞いたところ“島々を巡るのでなければ作品作品でお金を払ったほうが安い”というなので、アドバイスにしたがうことにした。

瀬戸内海にはアートの島として有名な直島があるが、この芸術祭を仕掛けているのも、直島と同じベネッセコーポレーションの会長である福武總一郎氏とアートプロデューサーの北川フラム氏のふたりだ。福武氏は、アートが過疎化した場所を活性化することを確信し、直島や豊島、犬島にベネッセのアート施設を造っていった。この芸術祭も、同じ狙いで仕掛けられている。

ヤノベケンジ作「スター・アンガー」。坂手港の灯台跡地に創られた。

この芸術祭の特徴は、作品と展示方法にある。新たなに施設を造るのではなく、島にある古い施設や家、自然を使ってアートを創造し、そして展示していくのである。小豆島は前述したように古来から人が住み、そして産業も発達してきた。そのため、日本が本来持っている様々な魅力に溢れている。今は斜陽となってしまった産業の施設や過疎の地域はあるが、そうした場所にアートを融合させることで、そこが不思議と光り輝き始めるのである。

現代アートというと小難しそうに聞こえるが、遊園地のアトラクションのようなものだ。僕も初めは興味がなかったが、直島を訪れてからすっかりハマってしまった。アートというのは趣味性が強く、ゆとりのある人間だけが楽しむような印象が強いが、アートが社会に寄与する多くの可能性があることを気づかされたからだ。読者諸兄も瀬戸内国際芸術祭の作品を観れば、きっとアートの違う側面を感じると思う。

まあ小難しい理屈はヌキにして、何かおもしろいものとして楽しんでみてはいかがだろうか。小豆島の展示エリアに行くには非常に狭い道を通ったり、急な坂道を登ったりなので、まさにジムニーにはうってつけのドライブコースでもある。

<その2に続く>

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