ジムニー探検隊は川崎〜横浜の夜景を求めてドライブ。
工場マニア垂涎のスポットから、ドラマで有名なあのスポットまで
京浜湾岸地帯に隠れた夜景スポットを引き続き紹介。
行きたかったあの場所を発見し、納涼どこからボルテージアップ!
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昨今、工場に萌えるマニアが結構いて、はとバスなんて工場の夜景ツアーなんていうのを作っている。それにしても工場というのは不思議な魅力がある。工業製品を造るための施設にすぎないのだが、配管などの構造物がまるで有機物のように取り回されていて、工場自体が巨大な生物のように思えてくる。そしてひとつひとつに個性があって、それがまた人を惹きつけるのかもしれない。
工場と言えば、やはり川崎の湾岸地帯が有名だ。浮島、千鳥町、浜川崎あたりにはたくさんの工場が集まっており、昼夜を問わず稼動し続けている。当然ながら工場の敷地内は立ち入り禁止のため、夜景観賞は道ばたから行うしかないが、それでも工場が間近に観られるスポットが結構存在するのだ。
まず浮島だが、浮島には東西に向かって走る道路は2本しかない。その北側の道が、工場ファンには有名なスポットになっている。この辺は東燃ゼネラル石油や日本合成アルコールの工場があり、夜の照明が妖しく工場を照らし出している。夜間はほとんどクルマが通らないので、ちょっとジムニーを駐めて見学するのには絶好のポイントだ。
扇島から一度橋を渡って小島新田駅のほうに向かい、再度千鳥橋を渡って千鳥町に行ってみる。この辺も工場ファンが多くやって来る地域で、はとバスツアーにも組み込まれている。ちなみに千鳥町は川崎三大工場スポットの中で、もっともディープだと言われている。
何がディープなのか僕にはよく分からないが、行ってみるとすごーく暗い。でもその暗い所に工場マニアが何人かうごめいていて、たしかにディープな感じはする。
千鳥町には日本触媒千鳥工場があって、それに沿って走る北側の道がプラントに近くて楽しいスポットだ。この辺でもっとも夜景が美しいと言われる地域が、その名も「夜光」。特に夜光三丁目あたりの水江運河対岸に見える東亜石油製油所は、もはや工場夜景の芸術のようだ(トップの写真)。
煙突から出る炎、囂々と音を立てながら吹き出る水蒸気など、まるでリドリー・スコットの映画を観ているようである。
ちなみに工場付近は、かなり化学臭が強いので、臭覚が敏感な方は気をつけていただきたい。またアレルギーなど過敏症をお持ちの方は、やめておいた方がいいかもしれない。
たしかに夜景は美しいのだが、臭いが服に付いて、家に帰ってもそれが漂っていた。規制で基準値以下に排気が抑えられているとは言え、そこは工場。自分の体質や体調を考慮して行っていただきたい。
探検に夢中で食事を忘れていたので、浮島や千鳥町からすぐ近くの川崎コリアンタウンに寄っていくことにした。川崎区浜町3、4丁目あたりの目抜き通り付近は、戦前より在日コリアンの人々が住んでいる地域。通称セメント通りと呼ばれる道の脇には、数軒の焼き肉屋さんが並んでいる。
今回訪れてみると焼き肉屋さんがずいぶん減っており、ちょっと寂しいコリアンタウンになっていた。やたら大きな店が1軒と小さな店が3軒並んでおり、今回は一番古そうな渋めの店に入ってみる。以前も感じたのだが、この辺は工場が多い土地柄ゆえなのか、全体的に味が濃い。
さてここでカルビやらロースを楽しくいただきたいところだが、今回はスピーディに冷麺で済ますことにした。冷たくてシコシコ感抜群の冷麺をおいしく堪能して、再び探検に戻る。
ジムニーは国道15号線をひたすら横浜方面に走る。20分も走ると、首都高の東神奈川ランプのある神奈川二丁目という交差点がある。ここを右折してしばらく行ったところに、次の立ち寄りスポットがある。
皆さんは70年代、80年代の刑事ドラマなどに良く登場した「ポーラスター」と「スターダスト」というバーをご存じないだろうか。「あぶない刑事」や「探偵物語」など多くのハードボイルド系ドラマに必ずと言っていいほど登場してきた。
そもそもこの千若町には米軍施設があり、ここで働く米兵を相手に商売をはじめたのが、ポーラスターとスターダストだったらしい。この2店は同じオーナーで、残念ながらポーラスターは数年前から貸し切り専門のスペースになってしまった。ポーラースターは運河沿いの角地に建てられており、店内はガラス張りで夜ともなると美しい夜景を眺めることができる。
ちなみにポーラスターは40名程度が収容できて、持ち込み自由で8万円で貸し切りができるという。ハードボイルドなパーティをお望みの方にはおすすめのレンタルスペースだ。
隣のスターダストも渋い60年代風のお店で、窓際の席からは横浜の夜景を眺めることができる。店内にある古いジュークボックスで音楽をかけながら、ソフトドリンクでも飲みながら夜景を楽しむなんて、ちょっとハードボイルドの主人公みたいで楽しいかもしれない。
バー・スターダストの周辺は、横浜の夜景のビューポイントが集中している。まずスターダストのすぐ脇にある瑞穂橋は、みなとみらいや山下公園方面などを一望できるスポットとして有名だ。
千若町から橋を一本渡り、橋本町、山内町付近のコットンハーバーも夜景スポット。ここには海沿いにデッキウォークがあって、夕刻から夜にかけて非常に気持ちのいい場所にある。以前はみなとみらいの夜景が非常に美しかったが、現在はそこに向かう道路ができてしまい、眺望の妨げになってしまった。
コットンハーバーから北側にある星野町あたりも、運河とみなとみらいの夜景コントラストが美しい場所だ。この近辺は運河にかかる小さな橋が何本かあって、そうした橋の上で風と夜景を楽しむことができる。
ジムニーはみなとみらい、横浜の街を抜けて、大黒ふ頭へと向かう。ここが今回最後の納涼夜景スポットだ。大黒ふ頭にある大黒ふ頭中央公園は、海釣りのスポットであると同時に、ベイブリッジの眺望ポイントして知られている。
この公園は全然整備されておらず、草が生えまくって荒れ放題。ニューヨークのブロンクスぽくて、ちょっとコワイ。でも頭上をドドーンとベイブリッジが通っており、右に横浜市街、左に本牧ふ頭の夜景が美しく広がっている。
潮風がとても気持ちいいので、キャンピングテーブルとチェアを持っていき、ここでアウトドアご飯を楽しむなんていうのもオツだろう。
さて今回の探検はここで終わりだが、横浜にはまだ本牧ふ頭や山手など、夜景スポットがまだまだある。時間のある方はぜひ探してみてほしい。
それにしても、東京から横浜の湾岸地帯には実におもしろい場所が多い。日常生活でまず行かない場所ばかりだが、その非日常性が探検心をくすぐるのかもしれない。都市部からわずか1時間程度で行けるわりに開放感抜群の場所が多い京浜湾岸地帯、夏の暑さでだれた身体をクールダウンするにはうってつけだと思う。