JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン

CATEGORY MENU

  • すべて(506)
  • ジムニー車中泊・ひとり旅(41)
  • ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪-(2)
  • ジムニー探検隊NEXT -祭り、その街-(10)
  • ナローシエラで林道探訪(28)
  • ジム知る(13)
  • ユイカメjimny(24)
  • ジムニーを話そう(13)
  • 湯 あみ旅 / 木村亜美(6)
  • 森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶(19)
  • TSジムニーのトリセツ(8)
  • ビヨンド・ザ・フィールダー(15)
  • ジムニーで行く林道旅(92)
  • 山下晃和のアピオジムニー旅暮らし(37)
  • ON THE STREET BURGER(47)
  • 日本再発見ジムニー探検隊(82)
  • ジムニーライフ トップへ戻る
ジムニー探検隊NEXT -祭り、その街-
VOL.005
ジムニー探検隊NEXT /// VOL.5

CATEGORY MENU

  • すべて(506)
  • ジムニー車中泊・ひとり旅(41)
  • ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪-(2)
  • ジムニー探検隊NEXT -祭り、その街-(10)
  • ナローシエラで林道探訪(28)
  • ジム知る(13)
  • ユイカメjimny(24)
  • ジムニーを話そう(13)
  • 湯 あみ旅 / 木村亜美(6)
  • 森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶(19)
  • TSジムニーのトリセツ(8)
  • ビヨンド・ザ・フィールダー(15)
  • ジムニーで行く林道旅(92)
  • 山下晃和のアピオジムニー旅暮らし(37)
  • ON THE STREET BURGER(47)
  • 日本再発見ジムニー探検隊(82)
  • ジムニーライフ トップへ戻る
ジムニー探検隊NEXT /// VOL.5

ジムニー探検隊NEXT -祭り、その街-
『伊雑宮・御田植祭』三重県志摩市
日本で格式の高い神社といえば、紛れもなく伊勢神宮の名が出てくるはずだ。その伊勢神宮に備える神饌を集める場所として創建されたのが、志摩市にある「伊雑宮(いざわのみや)」である。その神社の神事は、やはり日本人には欠かせない食べ物に関わるものだった。

文・写真/山崎友貴

リアス式海岸と島の土地「志摩」

伊勢志摩と言えば、2016年5月にG7サミットが開催された場所として、まだ記憶に新しい。伊勢志摩という言葉は一般的になったが、これは伊勢神宮と志摩半島に限定した地域を指すらしい。

今回の舞台になるのは、志摩市だ。つまり志摩半島である。志摩半島は小さな入り江が入り組んだリアス式海岸の地として知られている。あまりに沿岸の地形が複雑なため、伊能忠敬が測量を行うのに大層苦労したようである。

内海になった場所が多いことから、ノリ、カキ、真珠、アオサなどの養殖が盛んで、非常に食が豊かな土地として知られる。飛鳥、奈良時代には「御食国(みつけくに)」として、皇室と朝廷に海産物を献上した土地のひとつであった。

伊勢志摩には、走るには絶好の道が多い。特に「伊勢志摩スカイライン(現e-POWER ROAD)」は最高だ。宇治山田側からゲートをくぐると、軽快に走れるワインディングロードを登り続ける。今回の相棒であるAPIO TS4は、ハイフローターボ装着とECU書き換えを行っている車両なので、おもしろいように急峻な山道を駆け抜ける。
一宇田展望台では、伊勢市街のパノラマが一望できる。ここから観ると、伊勢市が実に都会なことに驚かされる。朝熊山頂展望台を越えると、いきなり眼前に志摩の美しい海が広がる。この日はあいにくの天気だったが、晴天ならきっと紺碧の海が望めるはずだ。 
「パールロード」もまた、走って気持ちのいい道のひとつだ。見晴らしスポットもいくつかあるだけでなく、賢島方面まで軽快に走ることができる。
伊勢志摩はとにかく海岸線が美しく、どこを走っても静かな海面なのが特徴だ。やはり複雑な地形ゆえに、内海と変わらないのだろう。朝夕の時間帯は、まるで海が鏡のようになって、異世界のような空間となる。ジムニーのエンジンを切ると、辺りには静寂が戻り、音のない音が身体に心地いい。 
海と島、そして山が人々の生活に非常に近い、それが志摩というクニなのだ。

伊雑宮という特別な伊勢別宮

冒頭で記したが、志摩市にある伊雑宮は、伊勢神宮に備えるための神饌を集積するための神社であったという(諸説あり)。この地が朝廷の御食国であったことを考えれば、それも頷ける。伊勢神宮によると創建は約2000年前だという。
祭神は「天照大神御魂」となる。伊勢神宮に天照大神が祭祀されているので、ここには御魂が御座すということなのだろう。しかし、これは明治以降の話で、それ以前は伊佐波登美命と玉柱命の二柱、玉柱命のみが祀られたなど、諸説ある。
境内はさほど広くないが、さすが伊勢神宮の別宮だけあって、やはり神々しさは格別である。凜と空気が張り詰めた参道を100mも歩くと、伊勢神宮のような様式の社殿が建つ。さらに横には同じ広さの土地、いわゆる「古殿地(新御敷地)」があり、ここでも伊勢神宮と同じく式年遷宮が行われていることが分かる。
ここは海山から神饌が集まることから、古来より海女さんや漁師から崇敬を集めてきた。こうした背景もまた、いかにも志摩という土地柄を表している。
社殿の南側に、今回紹介する神事が行われる御料田(ごりょうでん)が広がる。この地域は磯部地区と呼ばれており、その名から「磯部の御神田(おみた)」と言われている。
御神田は田んぼ三枚程度の狭いものだが、周囲は広大な水田地帯だ。神社が創建された当時は、この磯部でしか米が獲れないという貴重な場所であったようだ。たしかに周囲を走ってみると、志摩半島はほとんどが起伏に富んだ地形で、平野部というのがほとんどない。この磯部も周囲を低い山に囲まれているが、この辺りだけ珍しく平らだった。
地図を見てみると、伊雑宮がある辺りは神路川と野川に挟まれた扇状地で、水が引きやすい上に肥沃な土地であることが分かる。しかも海が近く、物流拠点に適した場所でもあったのだろう。いわば伊雑宮は、伊勢神宮の台所というべき神社なのである。
志摩は海の幸の宝庫で、地魚などが非常に旨い。ただ、伊雑宮の近隣で何か旨いものが喰えないか探したら、なんと伊雑宮の鳥居の前にあった。それが「う御料理旅館 中六」だ。かつては旅館を営んでいたようだが、今は鰻専門店となっている。
調べたところ、中六という名前は伊雑宮の御師であった中六太夫から取っているだという。
磯部の上流では昔から鰻が獲れることから、この辺りは名店と言われる鰻店が多い。この中六もそのひとつ。ご存じの通り、関東では蒸してから焼くが、中六の鰻は蒸さない関西風。だから表面がカリッとしていて、中は弾力性がある食感だ。タレは辛口で、これが実に美味い。
御田植祭当日は弁当のみの対応だったが、普段は丼で食せる。価格は鰻の枚数で異なってくるが、最高の5切れでも2770円(肝吸い付き)なので、実にリーズナブルだと言えよう。ちなみに弁当を冷えてから食べたが、それでも絶品だった。鰻好きなら絶対に寄りたい店だ。
2つ目の旨いものは、御田植祭に関したグルメ。その名も「さわ餅」。神社の近くにある「竹内餅店」という店のオリジナルなのだが、これを楽しみにしてくる客も多いようだ。
詳細は後述するが、御田植祭りの中には「竹取神事」というものがあって、そこで使う竹をモチーフにして創った餅だという。白と緑の二色の餅で、薄く伸ばしたものを折り曲げてこしあんを包んでいるシンプルな和菓子。祭りの出店や近くの酒屋で売られていたので、試しに買って食すと、これが何とも旨い。
赤子の頬のような食感、あっさり上品なこしあん、これが相まってクセになる味に仕上げている。祭り当日はあっという間に売り切れてしまったが、店に行けば他日でも買えるようなので、これもぜひお試しいただきたい。