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ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪-
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ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪- VOL.1
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ジムニー探検隊NEXT -聖地探訪-
『第3村』 静岡県浜松市

日本には"聖地"と呼ばれる場所が多くある。それは、宗教的な拠点だったり、作品の舞台だったり。「ジム探」新シリーズは、そんな全国に点在する聖地を巡ってみたい。

文・写真/山崎友貴

“あのジムニー”も登場した名作アニメの舞台

「庵野秀明展」に展示された「第3村」の模型。ドローン映像や写真などを基に作られ、さらに庵野監督の感性で詰められていった。©カラー

昨今に“聖地”と言えば、それはアニメや映画などのロケ地となった場所を指し示す。アニメの場合は、舞台設定となった場所というのが正確だろうか。こういう場所を巡るのを趣味にしている人は実に多く、ジムニーユーザーも例外ではないのではないだろうか。

アピオの広告写真などでお馴染みのYカメラマンも、大好きな「ゆるキャン」の聖地を数多く訪れているようで、ロケの最中に聖地に巡り会うと訳もなく興奮している。

それはさておき、今回の目的地は天竜浜名湖鉄道の『天竜二俣駅』だ。天竜浜名湖線は掛川駅から新所原駅までを走る私鉄で、かつては国鉄二俣線と呼ばれた鉄道である。そんな地方の一駅が何のかと言えば、実はアピオとも関わりがある。この駅は「シンエヴァンゲリオン劇場版:| |」内で登場する『第3村』のモチーフになった場所なのである。

ジムニー博物館所蔵のSJ30。劇中では相田ケンスケがEV化して乗っているという設定になっている。ナンバープレートを「1701」というスタートレック・エンタープライズ号の艦番号するなど、マニアならでは隠れエピソードもある。

第3村のシーンでは、キャラの一人である相田ケンスケがEV化したSJ30に乗って現れるのだが、このジムニーを作画するために協力したのがアピオ。ロケハンには日本ジムニークラブ会員所有のSJ30も使われたようだが、「ジムニー博物館」にあるアピオ会長・尾上茂所蔵のSJ30も大いに参考にされたのである。

そんな縁もあって、この新シリーズの第一回目は、エヴァファンの聖地のひとつである天竜二俣駅に決めた次第だ。

サービス満点の天竜二俣駅ツアー

劇中でも重要なアイコンとなっていた転車台。かつての蒸気機関車のために造られたものだが、前後運転席のディーゼル車の現代でも現役だ。

都内からジムニーを走らせること約4時間。新東名・浜北ICから10分ほどで、天竜二俣駅に着く。近くには城址以外はこれといった観光スポットはなく、どちらかと言えば近隣に住む住民のための駅という感じだ。だが、かつてはこの近くで名産の天竜杉を運搬するためのハブ駅としての役割が強く、昔は貯木場や貨物用の引き込み線があった。

現在は天竜浜名湖鉄道の車両基地、夜間宿泊基地があるが、その施設のほとんどが昭和初期のものだ。そのため、プラットホームを筆頭に、駅舎、事務舎、転車台などほとんどの施設が有形文化財に指定されるという、実に貴重な駅なのである。

そんな駅をつぶさに見学することができるツアーが、ほぼ毎日開催されている。下記に詳細が記されたURLを張っておくので、参考にしてほしい。 

天竜二俣駅 車両基地を見に行こう!
https://www.tenhama.co.jp/events/5018/

平日は600円というツアーは、思いの他、サービス満点だ。ガイドさんが駅施設の案内をしてくれるだけでなく、なんと名物の転車台に列車を載せて、実際に回して見せてくれる。

診療所として描かれていた車庫も、もちろん現役。左手奥には鉄道博物館が併設されており、懐かしいヘッドマークなどを観ることができる。

鉄道ファンには最高のツアーだが、やはりエヴァファンにはその景色に目を奪われる。映画を観ていない人のために解説すると、第3村というのはニアサードインパクトという厄災を逃れてきた生存者たちが暮らしている村で、そもそも駅を改装して使っているという設定だ。

もちろん作画では、これに様々なフィクションが書き加えられているが、実際に訪れてみると、鈴原トウジの家はそのままだし、診療所として描かれていた列車車庫もそのままである。監督以下スタッフがよほどここを気に入ったのか、ほぼオリジナルのままで使われているのである。ここに立つと、まるでアニメの世界の中に自分がいるような錯覚さえ覚える。エヴァファンには、実に満足度の高い見学ツアーだ。

ちなみに、劇中に出てくるシーンを求めて、こちらはJB74で周囲をドライブしたが、それといった場所は見つからなかった。それもそのはず、ケンスケがSJ30で回った第3村周囲の風景は、そのほとんどが山口県宇部市周辺のものを参考にしている。ちなみにエンディングは「宇部新川駅」で撮影されており、ここも聖地となっているので訪れてほしい。映画そのままだ。

加えて、シンジやレイがいた棚田は、鴨川市にある「大山千枚田」がベースになっている。都内から近く、しかも風光明媚な所だ。(かつてジム探で訪れた際の記事はコチラ→https://www.apio.jp/jimnylife/rediscovery-005-2.html) ここも様々な映画で使われている聖地のひとつなので、ジムニーでぶらりと出かけてみて欲しい。

プチ探検ドライブが満喫できるエリア

蕩々と流れる天竜川。緑の水が心まで洗い流してくれるようだ。河川敷は割とフラットなダートだが、4Hに入れないと不安が募る。割と長く走れるダートロードだ。

そもそも天竜区は、二俣城、鳥羽山城が置かれた地域で、戦国時代には徳川、武田両氏が壮絶な争いを繰り広げた場所である。後の徳川氏の所領となり、二俣城で家康の長男・信康が織田信長の命で切腹と余儀なくされた悲劇の場所でもある。

二城は非常に近い場所にあり、徳川、豊臣時代には、鳥羽山城は住む場所、二俣城は要塞という役割が当てられていたようだ。この二城は天竜川に囲まれた要害の地にあり、城址からわずかに走ると、天竜川のほとりに出ることができる。

河川敷は車両の通行が可能で、割と大きな石と砂の道は4WDに入れないと不安になるほどのプチオフロードだ。ティータイムやランチを楽しむにはうってつけの場所なので、4WDドライブと共に楽しんで欲しい。

本田宗一郎ものづくり伝承館は、二俣町役場だったところ。ここも文化財に指定されている。中にあるオートバイも文化財クラスだ。

天竜区には、「本田宗一郎ものづくり伝承館」なる興味深い施設もある。同氏がこの地域で生まれだという縁らしい。取材時には閉館で観られなかったが、館内には本田宗一郎の足跡を見せる展示や、ホンダの原点とも言える歴代オートバイの展示がなされている。入館は無料なので、ちょっと寄ってみるにはいい場所だ。

さわやかの炭火焼きハンバーグは絶品。レアが嫌いな人は、事前に「よく焼き」を指定しておいた方がいいくらい中は生焼け。

さて、浜松のグルメは鰻が相場と決まっているが、ここは敢えて「さわやか」をオススメしたい。さわやかは静岡県下にだけあるファミレスで、ここの「げんこつハンバーグ」は県民のソウルフードになっているほどだ。牛肉100%の肉をレアで食べるハンバーグは独特で、これを目的に県外から来る人も多い。数時間待ちの店舗もあるが、浜松周辺は店舗数が多いので、意外と待ち時間が短い。知らなかったという人は、ぜひ一度体験してほしいグルメだ。

というわけで、新シリーズ1回目は天竜二俣駅を紹介させていただいた。まだ転車台が残っている駅は他にもあるが、毎日気軽に見学できる場所は少ない。鉄分が少ないという人でも、産業遺跡として興味深く観られるはずだ。訪れる際は、ぜひ事前に「シンエヴァンゲリオン劇場版:| |」に鑑賞することをオススメしたい。改めて、日本のアニメーションの素晴らしさを実感できるはずだ。

天竜二俣駅

〒431-3311 静岡県浜松市天竜区二俣町阿蔵