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日本再発見ジムニー探検隊
VOL.057
博物館めぐりで日本の研究開発を知る [筑波]

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博物館めぐりで日本の研究開発を知る [筑波]

筑波研究学園都市という街は、実に不思議なところだ。筑波山の麓の広大な平野に、研究機関や大学だけが集まっているのである。一体、ここで何が行われているのかを知る人は多くないだろうと思う。そんな筑波を調べていたら、意外と多くの機関が自らの仕事や研究成果を公に見せている博物館がいくつもあることが分かった。今回はそれらの博物館を巡り、筑波研究学園都市で何が行われているのかを探検しよう。

<画像をクリックすると拡大します。>

宇宙ファン垂涎の博物館

日本が世界に誇る宇宙技術を間近に観られる「筑波宇宙センター」。

1950年代に人口過密となった首都東京。そのため政府は首都機能の一部を地方に移転させる計画を練った。その中には大学や研究機関を移転させるというものもあった。いくつかの候補地の中で、条件が合致したのが筑波であった。筑波は霞ヶ浦からの水供給が容易で、平坦な地盤、土地買収が容易などというファクターが重なり、移転場所に決まったのである。

1967年に6省庁36機関の移転が閣議で了承され、1980年に機関の移転が終了した。1985年には筑波の認知度アップと民間企業の誘致を目的とした「科学万博(つくば博)」が開かれ、多くの来場者を集めた。

2012年の統計によると、筑波研究学園都市には約300の研究機関・企業と20185人の研究者が集まっている。まさに筑波は日本の頭脳なのである。集まっている企業を見てみると、風呂好きの僕には「バスクリン研究所」が目に止まった。ここでは毎日何回風呂を沸かしているのだろうか。

僕が今回の探検で最も楽しみにしていたのが、宇宙ファンの聖地である宇宙航空研究開発機構、通称JAXAの本拠地「筑波宇宙センター」があるのもここだ。かつては見学に面倒な予約が必要だったのだが、一般見学用の施設ができてからは予約なしでも見学ができるようになった(月曜日など一部定休)。

奇しくも10月7日に最新の気象衛星「ひまわり8号」が打ち上げられたこともあり、どうしてもこの施設が観たくて、急遽筑波に向けてジムニーを走らせた。やはりひまわり打ち上げというトピックもあってか、筑波宇宙センターは見学客で盛況だった。

「きぼう」の実験機。これと同型のものが軌道上にある。
さて、筑波宇宙センターにはスペースドームとプラネットキューブという二つの見学施設があるが、目玉はスペースドームだ。ここにはJAXAが宇宙開発で製作した実験機が展示されているのである。中でもイチオシなのが「きぼう」と「こうのとり」である。「きぼう」はご存じの通り、国際宇宙ステーション(ISS)に接続された日本の実験棟。2006年から3回に分けてスペースシャトルで宇宙に運ばれた。開発は三菱重工やIHI、川崎重工、NEC東芝など日本の蒼々たる技術企業が参加している。 ここで星出さんや若田さんが長期滞在したことは記憶に新しいが、そのきぼうと同型の実験機の内部を見学することができる。中に入ると、様々な機械がぎっしり詰まっており、人間の居住スペースはごくわずかだ。若田さんは4か月半もここにいたらしいが、僕の仕事場のほうがちょっとだけ広い。まあ宇宙に行けるなら三畳間でも我慢できるが。 ここにはその他に、きぼうに設備や物資を運ぶ無人補給機HTV「こうのとり」や「はやぶさ」「かぐや」などの実験モデル、つまり本物を観ることができるのだ。予約すれば管制センターや宇宙飛行士訓練施設などを見学するツアーに参加することも可能だ。すべて無料なので、一度は日本最高の技術を間近で観てほしい。日本の底力に感動するはずだ。

地味におもしろい実験植物園

筑波実験植物園の温室。世界中の植物が育てられている。
次に訪れたのは国立科学博物館「筑波実験植物園」だ。ここは上野にある国立科学博物館の分園で、同博物館が植物の研究を推進するために建てた施設だ。 入場料310円が必要だが、まあ物は試しで入ってみることにした。園内は「常緑広葉樹林」や「温帯性針葉樹林」など生態や種類などで植物が分けられ、12のエリアで展示されている。展示されていると言っても、まあ生えているわけで、そこに展示用の看板などが付けられている。 とにかく中は広大で、つぶさに観ていたら半日は必要だ。まあ、散歩にでも来たと思って入園すればいいのかもしれないが、生えている樹木を観ていると意外に面白くなってくる。園内には精魂を込めて手入れしている職員や研究者がいて、観光植物園とは一線を画していることが分かる。

筑波探検ギャラリー

水生植物のエリア。春から初夏にかけては様々な植物の花が咲くはずだ。
中でも面白いのが温室で、季節はもう秋だというのに花が咲いている植物まである。バナナやカカオなどお馴染みの植物が果実を付けていたが、こうして改めて観るとこれを最初に食べようと思うのは、ビジュアル的にはかなりの勇気が必要だ。やはり熟していい香りがするから食べようと思ったのだろうか。まあ、カカオなどは今でこそチョコの原料だが、最初は強壮剤・興奮剤として使われたようだが。 サボテンコーナーでは実験中の植物が多くて、実験中の札が砂に刺してある。育てて観察するのが実験だと思うが、その生態を知ることで、どんなことが分かるのか非常に興味深い。サボテンは砂漠化する土地で食料問題を解決する植物とも言われているから、そんなことも調べているのかもしれない。 この施設、とにかく観るものは植物しかない。植物に興味のない人には、ただの広い公園でしかない。しかも広大なのに、トイレや自動販売機などの設備がほとんどないのだ。ということから考えても、この施設は真面目に植物たちと向き合う場所なのである。一説によると植物はコミュニケーションを取る能力を持っているらしいから、真剣に向き合えば話ができる、かもしれない。
地図と測量の科学館には地図にまつわる様々な展示品がある。とくに古地図はおもしろい。
国土地理院と言えば、カーナビを使ったり登山をしたりする人にはお馴染みだ。日本を正確に測量して地図を作る官庁である。国土地理院の地図帳には、高校生の時にお世話になったものである。いま考えると、あの地理という授業は何だったのだろうか? 日本列島の形はおおまかに覚えたものの、未だに島根と鳥取の位置関係がわからない。なんてことを国土地理院に悪態づいても仕方がない。 国土を知るというのは施政において重要であり、同時に国防上も大切なことだ。だから明治維新以降は軍と密接な部署が担当し、途中からは陸軍が管轄していた。戦後は陸軍から内務省に移管され、1960年に建設省(現在は国土交通省)の関係機関である国土地理院となった。元々は目黒にあったが、1979年に筑波に移転している。 その国土地理院の敷地内に1996年に造られたのが「地図と測量の科学館」だ。地図と測量について国民に広くしてもらうことが目的で設置されたのだが、まあ省庁予算が余っていたのだろう。入場は無料ということなので、遠慮なく拝見することにした。
遠い星からの電波をキャッチして地球の地形を知るVLBIのアンテナ。
敷地に入ると、いきなり目に飛び込むのがVLBI(超長基線電波干渉法)のアンテナだ。VLBIとは何十億光年も彼方の星から飛んでくる電波を地球の複数箇所に設置したアンテナでキャッチし、その到達時間の差を精密に計算して世界を計測するというものだ。日本には筑波の他に4箇所のアンテナがあって、世界の中の日本を正確に測っているんだという。まあ、超ダイナミックなGPSみたいなものだ。 やたら礼儀正しい守衛さんの前を通り、建物の中に入ると、床面には巨大な日本地図が描いてある。3D眼鏡で見ると立体的に見えるらしいが、もしやこれは典型的なハコモノ行政…という嫌な予感。メインの展示室に入ると、意外やその不安は払拭された。展示は非常に地味だが、江戸期からの測量と地図の歴史がおもしろく展示されている。 中には映画「剱岳 点の記」に出てきた測量用の櫓などもあった。また伊能忠敬以前の日本地図などもあり、当時の日本人が想像以上に優れた測量技術と世界観を持っていたことが理解できる。江戸の地図などもあって、工学系の人でなくても十分に楽しめる展示となっている。 普段、何気なくカーナビやスマホの地図を使っているが、実はたくさんの人の努力と技術によって、僕ら迷わずに目的地に行けるのだ。この博物館を観ると、改めて地図を作ってきた人々の偉大さが認識できるはずだ。
ターミネーターは日本で造られていた? サイバーダイン社のショールームにはこんなものも。

サイバーダインスタジオに展示されているHAL。残念ながら一般人は体験することができない。

地質資料館には膨大な量の化石が収蔵・展示されている。

これまで運用されていた気象衛星ひまわり。意外と小さいので驚く。
これが「きぼう」の内部。軌道衛星を回っているのと同じかたちだ。
HTV「こうのとり」の実験モデル。相当な大きさで、中の容量もかなり大きい。
H-Ⅱロケットの2段目部分のノズル。その美しい造形に息を飲む。
一見、退屈そうな地図と測量の科学館だが、展示は意外と面白い。
これが日本列島の部分の地球の丸さなんだとか。かなり湾曲している。
日本の測地原点の上に建てられた測地観測塔。
筑波実験植物園にあるダーツみたいな「根っこ」。まるで幹のようだ。