越後妻有とは十日町市、津南市、川西町、松代町、松之山町、中里村の約762㎢の地域を言う。ご存じの方も多いと思うが、越後湯沢や塩沢など上越地区に比べるとスキー場が少なく、観光資源の少ない場所でもある。一方で自然が豊かで、よく手が入った里山は、まさに日本の原風景そのものだ。
1990年代に広域の活性化と連携を目指した「ニュー新潟里創プラン」が制定され、それに沿って当時の新潟県知事がアートディレクターの北川フラム氏に、大地の芸術祭総合ディレクターが任された。北川フラム氏は上越市出身で、「ベネッセアートサイト直島」や「瀬戸内国際芸術祭(vol15.参照)」などのディレクションも手がけた人だ。
2000年に第一回目の「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ2000」が開催され、以降、3年に一度アートの祭典が北の大地で行われている。今年で第5回を迎える同イベントだが、4回目からアート好きで有名なベネッセ会長の福武總一郎氏が総合プロデューサーとして参画。ますます盛況なものとなり、その年は37万5311人もの来場者が訪れた。
それを考えると大変な経済効果であり、過疎に悩む農村地域の活性化という目的な達成されたと言ってもいい。瀬戸内国際芸術祭も然りだが、北川氏にしても福武氏にしてアートイベントの主眼は「人間の自然への回帰」。かつて僕はご両名のインタビューをさせていただいたことがあるが、アートという人間の力と自然の力が融合した時の力が、人間に元気を与える…というようなことを言っていた。
実際、このようなイベントに参加すると自分自身が活性化しているのが分かるし、ボランティアなどで活躍している地元の老人が生き生きとしているのが印象的だ。
さて越後妻有地区は信濃川沿いに広がる農村地帯で、実に広域だ。冬は恐ろしく雪深く、クロカン四駆ユーザーたちがスノーアタックに出かける秋山郷も同地区に含まれる。夏は水田が青々して美しく、うまい米ができるだけあって水が美味い地域でもある。