東京に住む筆者にとって、山梨と長野の林道はホームゲレンデのようなもの。
そこそこ距離のある林道はすべて走破したつもりでいた。
しかし、10km以上もあるミドルダートなのに知らない林道を発見!
最近になって走れるようになったようだが、これがまた素晴らしい林道だったのだ!!
我々の林道旅は、冬場になるとひとつの問題が発生する。それは『12 月になると降雪のあるなしに関わらず冬期閉鎖される林道が多い』ことである。特に近年は山中でのトラブルを防止するため、ゲートもしくは頑丈な鎖で入り口が閉鎖されてしまうから、どうしようもできない。
『走れなくなる前に、いつもの信州方面も行っておくか!』と地図で林道と温泉を探す。そこで目に止まった林道が、長野県と山梨県の県境にほど近い『林道 横尾山線』だった。
約13kmのフラットダートで、すぐ近くには約5kmの砂利ダートの『松平林道』も通っている。トータルで約18 kmも走れるのだから申し分ない。とても魅力的な林道なのに今まで詳しく調べた覚えがない。山梨や長野の林道は、我々にとってホームゲレンデのようなもの。距離のある林道はほとんど走破したつもりでいたし、なんで候補に挙がらなかったんだろう?
筆者:なぁなぁ『林道 横尾山線』って知ってる? 増富温泉の北にあるんだけど。
Yカメ:あまり聞いたことないな〜。あれっ? オレの地図だと通行止めになってるよ?
筆者:それ何年の地図?
Yカメ:2013年度版。
筆者:オレのは 2014年度版。そうか! 走れるようになったんだ!! 通行止めが記載されていたら、候補に挙げるワケないもんな。聞き覚えがなくて当然だわ!
詳しく調べてみたところ、問題なく通過できることが分かった。やはり最近まで通行止めになっていたため、「こんなに良い林道があったのを知らなかった」とか「走れると教えてもらって来たけど、すごくイイ林道で感動した!」という感想がほとんど。これは期待できそうだ!
林道が決まればあとは温泉宿だ。近くには増富ラジウム温泉がある。筆者、Yカメともにお気に入りの温泉なのだが『写真で見せる』ことを重視すると正直味気ない。我々が基本としているのは露天風呂だからだ。
増富ラジウム温泉の源泉は山腹に建てられた小屋の中にあり味わい深いのだが、幼児用プールほどの大きさ&深さしかない。さらに冷泉なので、今の時期だと寒くて無理。だから却下した。
八ヶ岳の山嶺には立派な露天風呂を備えた日帰り入浴施設はたくさんあるのたが、残念ながら情緒豊かな温泉宿は少ない…。さてどうしようか? そこで信頼しているいつもの旅行情報サイトで検索。すると情緒ある温泉宿ではないが、非常に気になる宿を発見した。夕食のメニューがイタリアン風 料理で、風呂はガラス張りの岩風呂。評価がほぼ満点という人気の宿…それは『銀の森』というペンションだ。
男ふたりでお洒落なペンション! 傍から見るとミスマッチ以外の何物でもないか、ゴーイングマイウェイな我々ふたりは そんなことはち〜っとも気にしない。ペンションは過去にも3 回ほど利用しており、いずれも素晴らしいサービス&料理で感動したモノだ。
筆者:美味そうなステーキが食えるぞ!
Yカメ:デザートも美味そうだな〜
人気のペンションなので部屋が取れるか心配だったが、連休後の平日のため完全にスポット。我々だけの完全貸し切り状態で泊まれることになったのだ。
筆者とY カメはともに『晴れ男』なので、この『ジムニーで行く林道旅』は、かなりの確率で晴天に恵まれている。今回も数日前 までの予報だと『 雨 』で、降水確率か高かった。
しかし、東京を出発した時こそ曇っていたが、中央道で西へ進むほどに空が明るくなり、青空が広がってきた。これはイイ写真が期待できそうだ!
林道 横尾山線へのアプローチだが、須玉ICか長坂ICで降り、国道141号線で北上するのが一般的だろう。しかし、筆者は2年ほど長坂町に住んでいたし、 八ヶ岳や清里は学生時代からよく遊びに来ているで、国道141号線を飽きるほど走っている。
Y カメも車やバイクで散々走っていることもあり、県道 23 号線を走ることにした。時間はかかるだろうが、 ゆったり&まったり走るのがオトナの旅ってもんでしょ。走り慣れていない道だから、何か新たな発見があるかも知れないしね!
ほ〜ら、その通り! 林道まであと数kmの地点で左側を見たら、見事な段々畑が広がっているではないか。真ん中を作業道路が走り、周囲の森は紅葉をまとっている。青空も手伝って『絵』になるので、 しばし撮影タイム!「イイ写真が撮れた〜」と満足して先を急ぐ。
県道 23 号線から県道 610 号線、クリスタルラインを走って林道 横尾山線の入り口に到着! ゲートはしっかりと開いており、『この先通行止め』の看板も立っていない。さぁ、約 13kmのダート走行を 楽しむとするか!
路面は整備が行き届いたフラットダートのために衝撃が少なくて非常に快適。舗装路のように特別気を遣うことなく普通に走れる。ただし、落葉広葉樹が多いため、木々に覆われた中を走っていても視覚的に少し寂しい…。まぁその代わりに日射しが差し込んで視界は明るいし、道幅も広いか ら気分良く走れる。さらに平日ということもあり、我々が乗るJB23の他にクルマの姿は見えない。クルマを停めて耳を澄ましても、聞こえるのは風と木々の擦れ合う音だけ。大自然を独占だ!
高度を上げて稜線に出る。そのまましばらく走ると視界が開け、綺麗に紅葉した周辺の山々が目に飛び込んできた。正面には岩肌が剥き出しで荒々しい『瑞牆山(みずがきやま)』 が望め 、さらに右側に目を向けると富士山がクッキリと! 風景写真が好きな人にはタマらないだろう。
我々もこんなに素晴らしい景色が拝めるなんて想像していなかったから、何とも嬉しい誤算である。10km以上のダートが走れるだけでも魅力的なのに景色が素晴らしく、さらに切り通しが多いなど、撮影ポイントも多数。林道ビギナーであれば、感動すること間違いなし! 林道横尾山線は個人的林道ランキングの中で、かなり上位にランクされる。12 月中旬から4月末までは冬期閉鎖となるのが残念だが、これからも何回か走りに来るつもりだ。非常に気に入った!