クルマのチューニングメニューにはいろいろありますが、中でも花形とも言えるのが「マフラー交換」です。いわゆる排気系チューニングと言われるものですが、それにはどんな効果があるのでしょうか?
文・山崎友貴
エンジンから出た排気ガスを、車体後方に導いて排出するのが「マフラー」です。バイクのマフラーもさることながら、クルマでも替えたくなるパーツです。交換によるメリットで一番大きなのは、やはり愛車のイメージアップ。マフラーは、車体後部にわずかに見えているに過ぎませんが、リアビューがグッと引き締まり、レーシーに見えます。
アフターパーツのマフラーには、いくつかタイプがあります。JB64は3気筒、JB74は4気筒ですが、エンジンから出ている3本のエキゾーストマニホールドが1本にまとまり、そこからマフラーのセンターパイプを経て、サイレンサーを介して後方に出ているのがノーマルの状態です。ノーマルマフラーは非常に目立たないように設計されており、それだけにつまらないと言えます。
アフターパーツの場合、サイレンサー部分、つまりマフラーエンドが1本のものと、2本のもの、そして稀ですが4本のものがあります。レーシングマシンと違って、多くのマフラーはノーマルエンジンに適合するように造られているので、この違いはほぼ見た目だけと言ってもいいと思います。
またサイレンサーが見えるようにパイプを取り回しているものもあれば、斜めを向いているもの、ノーマルと同じ様に真っ直ぐ後ろに向いているものもあります。これも、見た目に大きな違いを与えるための差違と言えます。
ただ、市場に出回っているマフラーの中には、ノーマルバンパーのままで装着できるもの、できないものがありますので、その確認が必要です。さらに、各社は自社のバンパーとのマッチングを考えてマフラーをデザインしているケースもありますので、自分の愛車に取り付けたら、見た目がイマイチだってということもがあります。
さて、メーカーやモデルによって個性が出るのが、「音」。エキゾーストノートとも言いますが、この排気音の好みでマフラーを選ぶ人も多いのではないでしょうか。アピオにはバイク用マフラーの老舗メーカー「ヨシムラ」とコラボした『サイクロンシリーズ』マフラーがありますが、チタンかステンレスかという材質の違いは音質の違いにも繋がっています。
多くの交換マフラーは、ノーマルよりも音量が大きく、音質も低くなります。JB64/74の場合は、車内に音が響く傾向にありますので、装着後に“思っていたよりも音が大きい…”と思うことも。できるなら、購入前に装着車両で見た目、音質などを確認した方がいいでしょう。
マフラー交換の本当の目的は、排気効率の改善です。ノーマルマフラーというのは、製造コストや騒音、排ガス浄化性を考えて、必ずしもエンジンの性能を効率よく引き出すようには造られていません。いわば、「平均点」といったところでしょうか。
排気ガスの抜け具合を良くするということは、ガスを引き出す力=負圧を高くするということ。負圧が高まると、エンジンが働きやすくなり、結果的にパワーがアップするという理屈になります。しかし、排気効率がアップしすぎる(抜けが良すぎる)と、エンジンが高回転まで伸びるようになる一方で、中低速トルクが無くなって運転しにくくなってしまうのです。
そこでマフラーメーカーは、そのバランスを考えながら、パイプの長さや取り回しをデザインしていきます。つまり、排ガスの抜けがノーマルよりも向上し、抜け過ぎない状態を模索していくわけです。もちろん、サイレンサーの音量も法律に抵触しないように調整します。
ちなみに交換マフラーには、センターパイプからすべて替えるものと、サイレンサー、つまりテールエンドだけ替えるものがあります。排気効率を大幅に改善するならセンターパイプから替えた方が効果はありますが、サイレンサーの交換だけでも排気、音質改善に効果があります。
マフラーを選ぶ時は、「JASMA(平成22年3月31日までの生産車両対応)」や「JQR(平成22年4月1日以降の生産車両対応)」などの認証プレートが付いている商品を選びましょう。このプレートが付いていないと、車検に適合しないことがあります。
なお、エンジンフィーリングの改善をさらなるものにしたいなら、エアクリーナーを高効率のものにして、吸気効率も改善させるという手もあります。ただ、排気効率をきちんと改善するだけでも、十分に効果を体感できると思います。
長年、ジムニーチューニングを手がけてきたアピオは、2シリーズのチューニングマフラーをリリースしています。1本は、アピオ伝統の「静香御前」シリーズです。このマフラーの特徴は、通常はジェントリーなサウンド、アクセルを踏み込んだ時はスポーティなサウンドを響かせます。
住宅密集地では、早朝や深夜の時間帯に大きな音を出すのは憚られます。そんなシチュエーションでも、静香御前マフラーであれば安心して使っていただけると思います。
もちろん、エンジンフィーリングのアップも十分に体感できます。サイレンサーの内部に「ジェットストリームフィン」を内蔵。低回転域では抜け過ぎを防止すること、低速トルクをアップ。中回転域では排気ガスにスワール流を発生させることで流速を上げ、良好な吹け上がりとレスポンスを実現します。
ノーマルバンパー、アピオ製タクティカルバンパー、どちらにも装着可能。ノーマルとは違うマフラーエンドが、愛車のリアビューを光らせてくれます。
バイクファンなら、誰でも知っていると言っても過言ではない名門「ヨシムラ」。そのヨシムラとアピオのコラボレーションで誕生したのが、「APIO×YOSHIMURAサイクロン」シリーズです。
リーズでは、素材の異なる『トツゲキR-77Jチタンサイクロン』と『ステンレンスサイクロン』の2タイプを用意。チタンサイクロンでは焼き色が美しい「チタンブルー」と、ロービジカラーで多様なボディカラーへのマッチングを考慮した「チタングレー」を設定しています。
チタン製マフラーらしく、乾いた音質が魅力のチタンマフラー。一方、ステンレスマフラーは低めのサウンドが特徴です。音量も抑えめで、多くの人に受け入れられるエキゾーストになっています。ユーザーフレンドリーなプライスも、ステンレスサイクロンの美点です。
どちらも、ヨシムラが徹底的にこだわって造った逸品。唯一無比なサイレンサーのデザインが、愛車の後ろ姿を彩ります。サイクロンシリーズも、ノーマルバンパー用とタクティカルバンパー用の2タイプが設定されています。
以上、今回はマフラーチューニングについてお話してきました。タイヤ&ホイールを替えるのと同じくらい、チューニングの中では対費用効果の高いマフラー交換。交換後の愛車に乗ると、満足感がググッと来るはずです。
商品名:ヨシムラマフラー トツゲキR-77J チタンサイクロン(JB74用)
適合:スズキジムニーシエラJB74(MT/AT対応)
品番:
2004-7T (純正バンパー用チタンブルー)
2004-7S (タクティカルバンパー用チタンブルー)
2004-7TX (純正バンパー用チタングレー)
2004-7SX (タクティカルバンパー用チタングレー)
商品名:ヨシムラマフラー ステンレスサイクロン(JB74用)
適 合:ジムニーJB74(MT/AT対応)
品 番:ノーマルバンパー用 2004-7NS
タクティカルバンパー用 2004-7AS
商品名:静香御前マフラー(JB74用)
適 合:スズキジムニーシエラJB74 純正リアバンパー対応(MT/AT対応)
品 番:2004-03S