見事な晴天だし、日も延びてきたので、昼食後も林道へGO!
Yカメがダウンロードしたスマホ用の登山地図を見ながらルートを選ぶ。
七ヶ岳林道からとある支線に進むと、山焼きしてまもない場所が現れた。
非常に荒涼とした光景で、そこだけが別世界のよう。
目的地のことを詳細に調べないで臨む、行き当たりばったりならではの感動だ!
筆者:「何食べる? オレはなんでもイイよ〜」
Yカメ:「そうだな〜。あっ、福島で一番のラーメン屋だって!」
筆者:「何? ラーメン? 福島で一番? はい決定! 多少遠くてもそこに行く!!」
Yカメ:「ナビだと15分。これなら時間的にも問題ないな」
Yカメがスマホで検索した結果、選んだのは『ラーメン まりちゃん』。店名を効いた時に一瞬不安に襲われたが、福島で一番だから大丈夫だろう! って、ところで何が一番なんだ? 味のことだよね?
店構えは昭和を感じさせる造りで、表には『味自慢ソースカツ丼』の看板がデカデカと貼られている。もしかして一番はソースカツ丼のことなの? ソースカツ丼も好きなので、とにかくチャレンジすることにした。
すでに13時半を過ぎていたので我々以外に客はいない。そして何が一番かが分かった。食べログでソースカツ丼が福島の1番に輝いたというのだ。しかし、店主のまりちゃん(非常に愛想の良いおばあちゃん)にオススメを聞くと「ソースカツ丼もそうだけど、ラーメンも人気ですよ」。そこで筆者はソースカツ丼と半ラーメンのセット、Yカメは味噌タンメンを注文した。
気になる味だが…これがまた非常に美味いのだ! ソースは甘すぎず、濃すぎず、程よくスパイシーかつフルーティ。カツの衣はサクサクのパリパリで、肉はとても軟らかてジューシー。飽きさせない味だが、まりんちゃんが「これも試してみてね」という付属の『キムチ唐辛子』を付けると、これがまたソースカツの甘さと旨みと絶妙にマッチ。これ、クセになるわ〜。
ラーメン(醤油)は中太の縮れ麺で、昔ながらのサッパリ風味なのだけど奥深い。食べることに夢中になってしまう味付けで、これまた非常に美味。かなりのボリューム(これも人気の理由かな?)だったが、苦も無く完食!まりんちゃんの人柄も合わせて、福島人気ナンバー1は思い切りの納得であった。
お腹と気分が存分に満たされたところで再び林道アタック! 今度は支線ではなく、七ケ岳林道からアプローチした。
3年前の記憶を辿る。すると河原に下りられる場所があったことを思い出した。「ここだココ!」。下りてみると以前と変わらぬ景色で、何故だか安心した。
Yカメ:「思い出した! あの時のウッチー、腹の調子が悪くて何回もトイレタイムを取っていたよ(笑)。ここに1時間近く居たんじゃない?」
筆者:「そうそう! 5分置きに草むらに消えていたな〜。手持ちのティシュを全部使って、最後は葉っぱを使ったもんな〜。あの時はマジで辛かった。まぁ今となっては良い思い出だ」。
七ケ岳林道は今でも林業に使われているために路面整備が行き届いており、とても走りやすい。約16kmものダートが続く、走り甲斐のあるとても素晴らしい林道だ。そのまま本線を進んでもいいかな〜と思っていたら、左に支線を発見。通行止めされていなければ再び七ヶ岳林道と合流するので、迷うことなく進むことに。
さすがに支線は使われていないのか、倒木はそのままで道脇の草木は伸び放題。ゆっくり走っても「キィー、キィー」とJB23のボディを引っ掻く。ボディが凹んだり、横転の危険性が高いのならば回避するところだが、スクラッチ程度で引き下がるのは何とも悔しい。しかし自分の愛車ではないから、傷付けるのは心苦しい。
「でも、こればかりは仕方ないよな? ワザとキズ付けているんじゃないから、JB23も分かってくれるさ!」と無理矢理な言い訳で、その後もいくつかの支線をアタック。思っていた通り、どこも荒れ放題でJB23のボディは悲惨な状態になってしまった…。
いい加減JB23が可愛そうだから…と七ヶ岳林道に戻ろうとしたら、今度は道幅が広そうな支線が現れた。ここまでスクラッチが付いたんだから、もう行くしかないだろ! その判断は大正解であった。
稜線に出て視界が広がり、さらに進むと山火事現場のような荒涼とした景色が現れたのである。「うわっ! なんだこれ?」。「まるで地獄だな」。鮮やかな緑に包まれていた状態から一転、真っ黒に焼けた山肌が広がる光景を見て、筆者、Yカメともに驚いた。山焼きを行ったばかりのようで、こんなロケーションに巡り会えることなど滅多にない。なんとも稀少な体験ができて大満足であった。
その後も支線を走り継ぎ、国道に近くなったら見覚えのある場所に辿り着いた。そう、本日最初のスタート地点だった『古桧峠線』と『富貴沢線』の分岐点である。まだ走っていない支線があるかもしれないが、これでほぼ一周が完了。陽も傾いてきたので宿に向かうことにした。走行距離、走りの内容、ロケーションとも十分に満足。心置きなく温泉に浸かって寛ぐぞ!
ちなみにJB23のスクラッチだが、そのまま借りることになったYカメが帰宅後にコンパウンド入りワックスで消してくれた。まぁ同乗者だから責任は同じだしね。
今回の温泉地は福島県南会津郡下郷町にあり、奈良時代からの歴史があると言い伝わる『湯野上温泉』だ。『猿湯』と『上ノ湯』、『姥湯』、『舘ノ湯』そして『舘新湯』と5つの源泉があり、大川の渓谷沿いに18軒の旅館・民宿が建っている。また湯野上温泉駅の駅舎は茅葺き屋根の日本家屋で、敷地内には無料の足湯が設置されるなど観光スポットとしても有名。待合室には茅の虫除け用の囲炉裏が備えられ、有人時間帯には火が入れられている。
そんな『湯野上温泉』の中から選んだ宿は『民宿 紫泉』。もちろん決め手となったのは、温泉のロケーションと料理、そして接客サービスだ。
温泉は内風呂と露天風呂を備えていて、24時間入浴可能。いずれも源泉かけ流しだ。露天風呂の脇には大川が流れていて、宿の反対側には緑の森が広がっている。明るい時間帯も良いが、オススメの時間帯は夜だ。聞こえるのは川のせせらぎと源泉が流れ込む音、そして風が吹いた時の木々のざわめきのみ。この自然音の三重奏に加えて、都会では絶対に見ることの出来ない満点の星空が心を癒やしてくれるのだ。そして1時間に1度だけ、電車の走る音が聞こえてくる。車両が短いのですぐに消え去るのも田舎ならではで、旅に来ていることを実感するだろう。
夕食のメニューは地元の旬の素材を活かした郷土料理。梅肉風味のカレイの煮付けや岩魚の唐揚げなど、見たことがあるようで趣向を凝らしている。とても丁寧に調理されているのが良く分かり、味付けも申し分なし。民宿のレベルを超えた料理だ。
何より驚かされたのが、その料金。いつもの感覚から、ひとり最低1.3万円と思っていたら、なんとふたりで約2万円!湯野上温泉はそれが相場だというのだから、コストパフォーマンスが高い! 是非ともまた訪れたい温泉地である。