翌朝、長野にいた。
サイコロキャラメルを振って出た目の結果である。
薄ら寒い冬空だった。せっかく長野まで来たんだから善光寺でもお参りするか。「牛に引かれて善光寺参り」と言うが、こっちは「牛の肉を挽いて」毎日食べている身。どうか牛に祟られませんようにと必死にお参りした後、ふと「
権堂(ごんどう)」という地下駅を見つけた。
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一転、秋の信濃の鉄道旅になった。思いつくまま途中の「
須坂(すざか)」で降りた。とりあえずエリンギとしめじを買った。ちょっと歩いてみた。あぁ、須坂駅は12年で廃線になった
屋代線の終点だったんだな。廃線になった線路の脇にコスモスが咲いていた……ここにこの角度でハンバーガー号をこう置いて……気がつくとそんなことを考えていた。そのうちにハンバーガー号のことばかり考えるようになった。ジムニーのない旅はさびしい。
つまらないので、すぐまた駅に戻った。すると、いま通り過ぎた横の公衆電話が突如鳴り出した。誰も取らない。し、鳴りやまない……恐る恐る受話器を上げた。
「隊長のGAOでーす! 今どこ? 権堂で待ってるから。あ、あと『
TSURUYA』のりんごバター買って来て」
どうして居場所がわかったのだ。ワケの解らぬまま権堂へまた引き返した私は、しかしついに待望のハンバーガー号との再会を果たしたのだった。