雑誌『ジムニー・スーパースージー』に連載中の『林道パラダイス』との連動企画。
2024年4月の初旬、残雪を求めて新潟県村上市の林道をナローシエラで旅してきた。
旅の一部を動画にしたので併せてご覧いただければと思う。
Photo & Text : 赤ぞう
1968年神奈川県生まれ。成城大学卒。日本ジムニークラブ神奈川支部所属。ブログがきっかけとなり2011年からジムニー・スーパースージーに林道ツーリング記の掲載が始まる。著書は「ジムニー林道アドベンチャー」(SSC出版)。千葉県房総半島の林道沿いの家に暮らしながら、日本中の林道を旅することを楽しみとしている。愛車はナローシエラ。
<YouTube赤ぞうチャンネル>
最初に目指したのは旧朝日村柳生戸にある才ノ神峠。県道208号を東へ走り、小揚に入ると小揚川沿いの林道を進む。
舗装が途切れほどなくして通行止のバリケードがあった。この先の路肩が崩壊しているとのこと。気を取り直して別の林道へ入ってみる。芽生えたばかりの若葉が眩しい森を登って行くとゲートが閉ざされていた。残念。場所を変えるべく県道349号で三面ダムの上流部へ行こうとしたが縄文の里の先でゲートが閉まっていた。まだ冬季閉鎖のようだ。残念無念。通行止ばかりで心が折れそうになりながらも林道を探し続けた末に林道平石線に行き着いた。
「伐採作業中注意」の立看板には「解除中」と貼ってあったので心置きなく入って行ける。ここでは地図にない脇道も探索して楽しむことができたのだが、集落に下りたところで「何して来たんだい?」と呼び止められた。「写真を撮ってきました」と素直に答えて事なきを得たが、山菜採り禁止の立看板があったから声を掛けられたのかもしれない。
続いては林道白滝日倉線へ入った。右に分岐する林道古蔵線には伐採作業の重機が停めてあったが作業員はおらず、その奥へと進ませてもらう。赤溝山へと登る方向のやや荒れ気味の脇道は草木の茂り具合が酷くなってきたところで撤退。戻って林道白滝日倉線で北方向へ抜けようとしたが立入禁止のバリケートがあったので引き返すことになった。
日本の滝百選の鈴ケ滝を見ようと市道鈴滝線を走って行くと災害復旧工事で通行止。引き返して天蓋山に向かうことにした。
林道天蓋線は砂利道。道端には何やら白い花が歓迎しているかのように咲いていた。日陰に残る雪を踏みしめながら登って行く。脇道にも入ってみたが深く掘れたV字溝で断念。別の脇道では雪面に残された鹿の足跡を辿るように進んでいるうちに雪が深くなりズッポリはまってスタックした。電動ウインチをセッティングしてワイヤーを巻き上げたが1mも進まぬうちにモーターが苦しい音を出してストップ。湿った残雪がかなりの抵抗になっているようで、滑車を使ってダブルラインにしてみたがワイヤーを巻き上げることはできない。進行方向の雪をアルミスコップで掻き出すとウインチは復活。ワイヤーを巻き上げてくれて脱出できた。
天蓋線に戻って標高320m付近まで登ったが、その先は崩れた土砂が堆積して道を封鎖。頑張ってそこを越えたとしても残雪が続いていたので戻ることにした。他のルートでも天蓋山を目指したが、どの道も深い残雪に阻まれて断念。それでもウインチを使ったスノーアタックを心行くまで楽しめた。
旧山北村の海沿いでは勝木から碁石川の谷筋に伸びる林道へ入った。奥に進むにつれて砂利道には枝葉が堆積し滑りやすい路面となっていく。道幅が狭くなってくると倒木が立ちはだかった。どかすには太くて重そうな倒木だ。山側に乗り上げるラインで車体を斜めに通して倒木の下をギリギリ通過。
ところが進んだ先は土砂が崩落しており行く手は塞がれていた。戻って大久保山の方へ北上すると高速道路工事の道と並走。工事用道路はやたらとキレイな砂利道だが使われていない様子だった。いつ開通するのやら?そんなことを考えながらナローシエラを撮影中に、左のテールランプが切れていることに気付いた。予備球を積んでいたので林道脇で交換することに。バンパー裏にたっぷり付着した泥を拭いながらの作業。手は泥だらけになってしまったが交換できた。その先の間ノ内川の近くでは椿の花が路面に散乱。散り落ちてもカタチが崩れない綺麗な花である。
その後は国道7号を北へ走り林道大須川線へ。こちらは舗装されていたが日本海を見渡すことができた。
旧山北村の雷では県道52号で山形県との県境にある雷峠を目指した。期待していた残雪には遭遇することなく呆気なく峠に到着。
折り返して雷川の北側に続く林道へ向かった。砂利道で標高330m近くまで登ると草木が茂り始める。車両が走っている痕跡がなくなったところでUターン。引き返しながら目ぼしい脇道に入ってみると残雪が現れた。勢いをつけて思いっきり雪への突進を繰り返すスノーアタックを存分に堪能。残雪を乗り越えながら森の奥へと登って行けたものの、深い雪が延々と続くようになったところで更なる前進は断念せざるを得なかった。
続いては雷川の南側の山塊に伸びる林道に入る。やや幅の広い砂利道を登って行くと今回の最高点となる標高500mに到達。でもその先は辺り一面が深い雪に覆われていた。あまりの雪のボリュームにアタックすることなく撤退することに。
次に向かった標高386mの大日峠を越える林道雷山熊田線には倒木。幹を乗り越えて突破した先からは車両が通った形跡がなかったが割と難なく峠に着いた。峠から東へそれる脇道に入ってみたが残雪がたっぷり積もった急勾配。なす術もなく諦めることにした。
旅の締めくくりは蒲萄山塊の尾根を越える林道粕尾猿沢線だ。
急勾配を登って行くと新潟と山形の県境に連なる朝日連峰の雪山を臨む景色が広がった。でも標高280mほどの尾根を越えても良さげな脇道はない。このまま日本海へ走り抜けるだけでは面白くないと思っていたら林道海府南線を発見。能化山の山ひだをなぞるように続く舗装路で木々のすき間から日本海を見渡せて粟島も遠望できた。途中からは地図にない道になったので、このまま南へ抜けられるかもしれないと淡い期待が膨らみ始めたのも束の間、ごっつい倒木に行く手を阻まれた。ノコギリで切断するには太過ぎる。よくよく見れば根は付いてないので動かせるかもしれない。幹の端にワイヤーを掛けてローレンジに切り替えて引いてみる。重い感触ながらもズズッズズッと動いてくれた。散らばった枝を脇へ寄せて走行ラインを確保し突破。ここから先は誰も入り込んでないようで食べごろのタラの芽が多かった。食べる分を摘んでお土産にしたのは言うまでもない。
気を良くしていると突如として行き止まり。まあ仕方がない。引き返すだけのこと。ここは全てに渡って舗装されていたが倒木を引っ張ったりと楽しめた。陽が傾き始めたので帰途につくことにしよう。さて次回はどこら辺に行こうかな。