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ON THE STREET BURGER
VOL.025
港の春、迷宮の常夏~ALOHA DINER DUKE'S [千葉・船橋]
港の春、迷宮の常夏~ALOHA DINER DUKE'S [千葉・船橋]

船橋でハワイアンと言えばココ!
今秋10周年を迎える常夏の店は
表通りから100m入った一本道の彼方――。

サッポロビール千葉工場前で

その頃、B班、「ハンバーガー号」は……。


3月半ば過ぎ、春が来てるんだか来てないんだか、まだはっきりしない頃の話である。その模糊・混沌、モヤモヤとした世の気分を映すかのように、この日の天気は優れなかった。


私は風邪が治らず、「味覚」「嗅覚」「聴覚」、五感のうち"三感"までをヤラれて職務に重大な影響を及ぼしていた。よりによってそんな折、本部より至急の出動命令が下ったのである――。

千葉港警備

東関東自動車道、かもめ大通り、北バース通り

その用向きが「千葉・房総に春をさがして――」などといった如何にも暖かなものならまだよい。受けた指令は「京葉コンビナートに不穏な動きあり、警備せよ」という、文字通り穏やかならぬ内容だった。


出がけに弟子のひとりが裾にすがって私を止めた。「先生! その御身体で任務など、とても……」「案ずるな、竜之進。ハンバーガー号のシートは暖かい。それに船橋はかつて川端康成が遊び、太宰治が療養した保養地ぞ。歓楽地ぞ。土産は何がよい。ふなっしーの御守か?」「いえ……ピーナツクリーミーを……つ、つぶ入で」。


§§


『仮面ライダー』の昔から、いや、はるか『ゴジラ』の昔から、どうしてコンビナートはこうも悪に狙われるのか。その警備の任にAPIOジムニーコンプリートカーTS7、我らが「ハンバーガー号」が当たるワケだから、持ち場は自然、「食品部門」ということになる。


そこで我々は「京葉食品コンビナート」の南バースへとまず向かった。退役した南極観測船「しらせ」が係留されている場所である。埠頭に面してサッポロビールの巨大工場。その手前でしばらく様子を窺ってみることにした。風が強い。そしてまだ寒い。

京葉食品コンビナート・北バースにて

窓を開けるとさすがは食品コンビナート、その冷たい浜風に乗ってコーヒーにチョコレート、和菓子・洋菓子、すき焼き、カステラ、カスタードクリーム……あらゆる食品の「匂い」が漂い、押し寄せてくる。嗅覚が落ちている私にさえソレははっきり感じることができた。


次いで北バースへも回ってみたが、だが特に異常はない。五感のうち三感までをヤラれたこの私にも、「寒さ」と「」と「匂い」を感じることは容易く出来たが、しかし「危険」だけは、結局最後まで感じとることが出来なかった。本部からの指令は一体何だったのか……。

入口2ヶ所

これが噂の一本道、袋小路

「そろそろどっか、あったかいとこ行こうよ」とGAO隊長が言い出した。即ちこれは「退避」の合図である。退避場所は私が決める。「あったかいとこ」というリクエストに応え、船橋の"常夏"に逃れることにした。それが今日の店「ALOHA DINER DUKE'S(アロハダイナーデュークス)」。


ここを使うに当たっては注意点がある――。


表通りである千葉街道、国道14号線をあるところで曲がると、曲がった先に店が見えるのだが、その店へと至る道――今回測ってみたら100mはあった――その途中に、右左折できる横道・脇道が一切ないのだ。つまりこの道は100m直進して行き止まりになる一本道、袋道なのである。その最も奥の突き当たりにデュークスはある。


途中一ヶ所だけ「犬走り」のような場所があり、歩行者ならば隣の通りに抜けられるが、クルマの場合はUターンするより手がない。"地図"を拡大して見るとよくお解かりいただけるだろう。どうしてこんな道が出来てしまったのか……コンビナートよりこちらの方がよほど"謎"である。

千葉街道の側から来る客はよい。問題は反対方面からの客。120mほど歩いて千葉街道まで出た後、また100m逆戻りすることになるのだ。しかもその"反対方面"に駅があり、駅前の繁華街がある。つまり反対から来る客の方が圧倒的に多いワケだ。


そこで、表と裏、店には入口が2ヶ所設けてあり、駅から来る際には裏口を使うようになっている。これで250mは距離が縮まる計算。250mの近道……それが同じ小さな店の表口と裏口の話なのだから、何とも奇妙な造りの店である。ちょっと香港か上海辺りの迷宮都市ででもあるかのような。


その"ラビリンス"の果て、入った店内の造りもまた面白い。表裏2つの入口を結ぶ通路。「白い画用紙に絵を描く」如くに壁に配されたテレビモニターやポスター、サインボードの数々。それらを照らし出す間接照明。ペールグリーンのボックスシートには特等席の風格が漂う。

第4金曜日はフラショーの日

ハワイと言えば超定番の「ブルーハワイ」。オリジナルカクテルも11品と豊富

店主・伊藤さんは学生時代、カナダのバンクーバーで2年ほど過ごしたが、旅行で行ったハワイの方が断然気に入り、以来ハワイの虜に。空港に降り立った時の空気、あのニオイが堪らない。海から見た時、白いビーチの向こうに聳え立つ高層ビルの、その風景のアンバランスが何とも好きだ。ワイキキは日本人が多いから嫌いという人もいるが、僕はあのにぎわいが好きなんです……。


ハワイ料理を中心に「アロハピザ」「ダイヤモンドヘッドロール」「ハワイアンヴォルケーノチキン」「サンセットカレー」など興味を引く名のメニューが多数。ハワイの夜には欠かせない"カクテル"もオリジナルが11品あり豊富。「うちはハンバーガー屋ではないですから」と言いながら15品もあるバーガー。今日はハワイらしいトッピングでBBQパインチーズバーガー1,134円を。


パティはオージービーフの赤身に和牛脂を混ぜた115g。ほぐれると言うよりやわらかく「ほつれる」という感じが適当な、独特な食べ口。バンズは地元パン店が作る特製。かなり強くトーストされており、セサミが焦げてプンプンと芳ばしい風味を放っている。マヨネーズ・BBQソースとも量多く、こってりと味は濃い目。そこへパイナップル――。

これは缶詰でなくフレッシュ。生のパイナップルを分厚く切って鉄板の上で軽く熱し、「ほっくり」させてからパティの上へ。ほのかな酸味と「しゅるっ」と溶けて無くなるような自然な甘味が、まるで宝石でも食べているかのようなおいしさ。一方でそれを取り巻くソース・調味料はこってり強烈に濃いという妙なバランスが特徴的。思いがけぬ迫力に出合える一品だ。


この秋10周年を迎える千葉・船橋のハワイアン。毎月第4金曜日にはフラショーを開催している。風邪の治癒と保養に効果覿面! ハワイキャンペーンは3月で終わらず、船橋ではとこしえに続く――。


§§


という春の京葉・船橋の旅――。折角の4月1日更新なのに、嘘ひとつない記事を書いてしまったことが今更ながら悔やまれる。年にたった一度の好機、活かせずして何がハンバーガー号か。だから最後にひとつだけついておこう……OTSBが映画になった! ハートフルでちょっぴり切ない24のストーリー。この夏全国ロードショー!

< 文と写真:松原好秀 写真:GAO NISHIKAWA >

# ALOHA DINER DUKE'S [千葉・船橋]

― shop data ―
所在地: 千葉県船橋市本町2-10-29
アクセス: 京葉道路・船橋ICより国道14号線5分
      JR・東武鉄道 船橋駅歩7分、京成船橋駅歩5分
駐車場: コインPあり(病院となり)
TEL: 047-433-4671
URL: http://dukes.blog59.fc2.com/
オープン: 2005年9月13日
* 営業時間 *
ランチ: 11:30~14:00(13:30LO、土曜休み)
ディナー: 18:00~22:30(21:00LO)
定休日: 日曜日、月曜日(要確認)

北バースにてAPIOジムニーコンプリートカーTS7「ハンバーガー号」
オートレース発祥の地・船橋オートにて。惜しくも本年度末の廃止が発表された。前回に続き登場の「IKEA」はここ船橋が国内1号店
ふなばし三番瀬海浜公園。今年の潮干狩りは4月17日から
「白い画用紙に絵を描く」如くに、白壁にはテレビモニターやポスター、サインボードが多数
一段上がってバーカウンター
夜のデュークス。こちら正面。2階の「川菜味(かわなみ)」は船橋で一番の呼び声高い中華の名店
こちらが裏口。駅から来る際は断然近道
ペールグリーンのボックスシートは特等席の風格
置かれた雑貨の数々がポップでカラフル
こちらベーコンエッグチーズバーガー。荒っぽいぐらいのこの派手さがデュークスのバーガーの特徴でもある
店主伊藤さんはサーファー。九十九里の片貝(かたがい)辺りによく出かける
噂の一本道を店側から。ジムニーならUターンも楽々、苦は無し!