房総半島と言えば、かつては都内からアプローチするには丸一日かかあり、まさに“陸の孤島”のような場所だった。だが、東京湾横断道路や館山道、圏央道の開通によって、片道2時間ほどで館山にも到達できるようなり、房総半島は身近な“非日常空間”になっている。
とは言え、房総半島で人気の観光スポットと言えば、館山や鴨川、勝浦など海沿いに集中しており、養老渓谷や亀山湖を除けば、なかなか内陸部に遊びに行く人は少ない。ジム探でもvol.5で千葉のディープスポットをご紹介したが、内陸部にも楽しい場所がたくさんある。
例えば、温泉。これも鴨川や安房小湊など海沿いの温泉地が有名だが、内陸部にも温泉ファンを唸られせる名湯が多く存在する。ちなみに、環境省の調べによると千葉県内の温泉は97箇所。その数は全国でも11位という、おんせん県なのである。
東京が気温20度を超えた翌日、春の陽気に誘われるがままに、ジムニー・シエラで房総に向かった。つい数日前に首都高山手トンネルが全通になり、23区から東京湾横断道路まですぐにアクセスできるようになった。東京湾を渡り、そのまま圏央道を直進。木更津東ICで下りて、国道417号を南下する。
途中、久留里という城下町がある。ここには久留里城があり、かつては上総武田氏、その後は里見氏、そして江戸に入って久留里藩が支配していた。ちょうど早咲きの桜が満開で、ゆったりと城跡見物といきたかったが、何せ今日だけで5箇所の温泉を巡る予定なのだ。後ろ髪引かれながらも、とりあえず先を急ぐことにした。