『師走』の言葉通り、年の瀬は何かと忙しい。特に雑誌の編集は例月よりも7〜10日も締め切りが早いため、筆者は3〜4時間睡眠が続き、最後は貫徹して年内の仕事を納めた。帰宅したのは朝の5時半過ぎ。シャワーを浴びる元気もなく、すぐにベッドに潜り込んだ。「今日一日寝れば、明日からツーリングだ! 楽しみだな〜」と考えながら深い眠りの世界へ…。
「なんだか騒がしいな」夢の中で深い眠りを邪魔する様々な音が鳴り続けていた。「うるせ〜な〜。違う夢にしてくれ!」と願ったが、それは夢ではなかった。「んっ? ドアホンが鳴ったのか? 早朝から誰だよ〜。今度鳴らしたら怒鳴り散らすぞ!」。すると今度は携帯が鳴った。表示された名前は『Yカメ』である。
筆者:「なに?」
Yカメ:「やっと起きたか! 何回電話しても出ないし、ドアホンを鳴らしても返事なしだから死んだかと思ったぞ(笑)」
筆者:「だから、なんなんだよ!」
Yカメ:「何って、ツーリングだよ、ツーリング! まだ寝ぼけてるんか?」
筆者:「えっ!」
確か出発は水曜日のハズ…。帰宅したのは火曜日の早朝だから、もしかして25時間も眠り続けていたのか? やっちまったか? いや、ありえない。疲れが全然とれていない。今日は何曜日なんだ?
筆者:「今日は何曜日?」
Yカメ:「何曜日って、火曜日じゃん」
筆者:「おいおい、ツーリングは水曜からだろ!」
数秒の沈黙が流れる。
Yカメ:「あ〜〜〜〜っ! ごめん、オレ1日間違えてたわ〜」
筆者:「んじゃ、明日よろしく〜。おやすみ〜」
やっと眠れる…と思いきや、再びYカメからの電話が鳴った。
筆者:「なに?」
Yカメ:「宿を間違えて予約しちゃってさ〜、今日から行けない?」
筆者:「マジか? オレ一睡もしてないから運転できないぞ!」
Yカメ:「林道まではオレが運転するからさ!」
筆者:「仕方ないな〜」
という嘘のようなトラブルで今回の旅が始まった。