前回の林道旅は念願だった『栗原川林道』を訪れた。
5、6年越しの目的を叶えたのだが、実はもう1本まだ走れていない林道がある。
それは長野県伊那市にある、約12kmのダートが続く『町道高嶺線』。
さらにどうしても行きたい場所を見つけたので、中央道を西へと向かった!
月日が経つのは本当に早いもので、気が付けば2015年も師走を迎えてしまった…。年内最後の林道旅である。筆者には、冬季閉鎖される前に走っておきたい林道がある。長野県伊那市を南北に通っている『町道高嶺線』だ。
実は当コーナーでもこれまでに二度チャレンジした。一度目はVol.21で紹介している『諏訪箕輪線』を訪れた時である。2日目に走る予定にしていたのだが、大寒波が襲来して初日から大雪に見舞われ途中で引き返した…。
二度目は今年の4月、Vol.32で紹介している『女沢林道』に行った時のこと。例年なら残雪があったとしてもジムニーなら余裕で走れるのだが、深い残雪により通行止め…。『栗原川林道』と同じく、どうやら相性が悪いようだ。
とは言えさすがに残雪はないだろうし、今年もまだ通行止めになるほどの大雪は降っていない。念のために調べたら通行可能となっていた。ならば行くしかないだろう! 筆者の意見にYカメも賛同してくれた。
さらに、どうしても行きたい場所がある。様々な林道や旅情報をネットで調べていた時、とても素晴らしい1枚の風景写真に目を奪われた。
「ここに行きたい!」。その写真が掲載されているHPには、詳細な場所が記載されていなかったため真剣に調べた。すると長野県某所であることが判明。『町道高嶺線』からは離れているが、時間的に不可能ではない距離にあるので訪れることにした。天気が良ければ、非常に素晴らしい絵が撮れるハズだ! 頼むぞYカメさんよ !!
『町道高嶺線』へは国道152号線の杖突峠から別れている道でアプローチするのだが、途中にいくつもの林道入り口がある。しかも「何だか楽しそう!」という雰囲気が漂っており、つい入ってしまうのだ。そして思いの外距離が長く、さらに多くの支線があるので、走り応えは十分。それで結構満足してしまうのだ。思えばVol.21の時もそうだった。「今回は寄り道なしで!」と心に決めていたのだが…。
Yカメ:今の林道イイ感じじゃね?
筆者:やっぱりそう思った?
Yカメ:少しだけでいいから入ってみようぜ。
筆者:お、おう。少しだけな。
何度も言うようだが、我々二人に学習機能など備わっていない。旅は本能のままに楽しむのが一番だからだ!
実際にその通りで、イイ感じの撮影ができて『町道高嶺線』へ向かおうと先に進むと「ちょっと待った!」とYカメ。先ほどよりも雰囲気の良い写真が撮れそうだと、再び支線に入り込む。その判断は正しく、広々とした俯瞰写真が撮れたのだ。合計で30分以上のタイムロスであったが、そんなことは気にしない。
今年の4月に来た時は深い雪に阻まれた『町道高嶺線』だが、入り口に『通行初め』の看板や柵は見当たらない。見事に三度目の正直が叶ったのだ。今回は間違いなく走れる! さて、どんなロケーションなのだろう? 非常に楽しみだ !!
植生のほとんどは落葉樹のため、見た目の景色や雰囲気は『冬』そのもの。雪こそ積もっていないものの、寒々としていて物悲しい。これなら積雪があった方が、見た目はイイかな? しかし、見上げると青々とした空が広がっていて気持ちが良い。
正直言って、景色は今ひとつ…。葉を纏っていないので、木々の間から近くの山々は見えるけれども感動するレベルはない。しかし、走るのは楽しい!
冬期は大雪が積もるため、土質のほとんどの所は深くて幅のある溝が掘られている。ビギナーだと「どうやって走らせるの?」、「この溝を跨げるの?」と不安になるレベルだろう。でもジムニーならば心配は無用。グリップ走行を心がけ、ゆっくりと進めば難なく越えられる。場所によっては車体が傾くけれども、とにかくゆっくり進めば横転するほどの危険性はない。
溝に加えて水溜まりが多いのも『町道高嶺線』の特徴。雨上がりではないのに、全部で30箇所はあっただろうか? しかも道幅イッパイに広がっているから避けて通るのは不可能。泥が柔らかくなっているので、ゆっくり走ってもJB23の下回りどうしても汚れてしまう…。こりゃ帰宅してからの洗車が大変だ〜。まぁ、その作業はYカメの担当なんだけどね(笑)。
水溜まりや溝など凸凹が多いダートが12kmも続く『町道高嶺線』は、走り好きには堪らない林道だ。我々の足はアピオのコンプリートカーTS-7だが、標準体重より重い二人に加えてカメラ機材や宿泊荷物などを積んでいるにも関わらず、とても快適に走る。
TS-4との違いはサスペンションで、分かりやすく言えば、TS-7はラリー仕様、TS-4はオフロード仕様。全ステージにおいてTS-7の方が高い速度域で走ることができる。一般的な林道であれば、よりスピーディかつ心地よい乗り味を提供するのだ。走りに専念できる『町道高嶺線』だったから、TS-7の魅力が存分に実感出来たのだ。まだまだ走り足らないぞ!