ジムニー車中泊ひとり旅 Vol.16
Traveling alone with jimny.
小豆島の友人からメールが届き、今がオリーブの最盛期だという
紅葉ハイシーズンで混雑する山を避け、島へ行ってみることにした
Photo & Text : 山岡和正
姫路港のフェリーターミナルに到着したのは午後1時を廻った頃だった。旅の行程にフェリーを追加すると‘‘旅感‘‘が増し、普段の旅よりも内容の濃い充実感に満ちたものとなるのが不思議だ。車の待機場所へ移動すると、近くにいた乗船誘導員の方がジムニーに乗っているらしくプチオフ会的なノリで盛り上がった。これもジムニー旅の醍醐味だなとしみじみ思いながら話していると、ほどなくフェリーが到着した。
フェリーの中へ飲み込まれるように車両甲板へ移動してジムニーを止め、海の景色を見ようと急いで上部のデッキへと駆け上がった。凪いだ海の上をゆっくりと進んでいく船上からは、大小の島々が遠くにたくさん浮かんでいるのが見える。瀬戸内の海はいつも穏やかで、まるで大きな湖のようだと見るたびにそう思うのだ。
フェリーが小豆島の福田港に着岸した時点でもう夕方近かったので、その日は買い物ついでに街を見物してからキャンプ場へと入った。
翌日、せっかくなので小豆島観光をと思ったものの、たくさんのガイドブックやパンフレットに載っている場所を巡っても面白くないだろうと、いつものように林道や自然のランドスケープを探して回ることにした。
「二十四の瞳映画村」や「醤油記念館」「エンジェルロード」など、横目に見ただけで基本スルーである。
まずは「寒霞渓ロープウェイ」から下の県道へと抜けるほぼ石畳の細道を行く。途中にある目洗不動尊への取付け道か、寒霞渓へ向かうための古道なのだろう。周りには南国の海近くによくみられる植物で覆いつくされトンネルのようになっている。乾いた苔が足元を覆い、音もなく静かな森に木々や葉の隙間を縫って光が差し込み美しい。高原や北の森とは全く違う世界である。
その後、「四方指展望台」で休憩して「蛙子池」の林道に行ってみることにした。
「蛙子池」をトラバースするように伸びる乾いたフラットダートの先に林道の標識が立っていた。茂った草木を払い進むと、直ぐに枯れた倒木が横たわっている。何とか通過すると走りやすい道になり、安堵して走っているとまた茂みのエリアが現れる。そんな繰り返しと、草による車体へのダメージが心配になり先へ進むのは諦めることにした。地図で確認すると、この先はまだまだ電波塔の近くまで続いているようだ。
ふと時間を見ると帰るフェリーの時間が迫っている事に気づき、慌ててフェリー乗り場へと急いだ。最後尾の1台で何とか乗船でき、フェリーはゆっくりと島から離れていく。風に呼ばれ振り返ると、夕日に照らされて光るオレンジロードが小さくなっていく小豆島へと続いていた。
山岡 和正
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。