木漏れ日の差し込む森を抜けて 新緑に包まれたキャンプ場へ
いつもの「ひとり旅」は林道に重点を置いているために野営地では時間に追われているのが常だが、時期的にキャンプシーズンということもあり、今回は野営地での時間を多くとってゆっくりとキャンプを楽しむことにした。
早朝出発して、群馬県の北西部にある秋鹿大影林道へ入ったのはまだ午前9時を回ったばかりだった。
木々の隙間を抜けて差し込んでくる光の連なりが、先へと続くダートを照らしている。ウインドウを開けると冷やりとした空気が入り込んできた。ほのかに草の匂いが漂い、鳥の声も近い。
シエラをゆっくりと走らせて、明るい新緑の林道を行くのはなんと気持ちが良いのだろう。4つのMTタイヤが小石を弾く音を聞きながら、澄んだ空気の中を進んで行く。倒木や通行困難な崖崩れもなく、ガレ場も大して荒れていない穏やかな林道なので、オフロード走行としては物足りないかもしれないが、景色を堪能しながらのウッドランド・トレイルとしてはとても魅力的なエリアである。林道を抜ければゴールのキャンプ場は近い。
ジャークソースに漬け込んだチキンを炭火で焼く。簡単なレシピではあるが、美味過ぎる。猿ヶ京の温泉街を抜けて赤谷川へ下って行くと、森の中にぽっかりと芝で覆われたキャンプ場が現れた。先客は2組ほどいたが、平日のキャンプ場は静かでゆっくりとした時間が流れている。
予約したサイトにシエラを移動して、車中泊の準備をすることにする。もう昼をとうに過ぎていたので、とりあえずは昼食の準備に取りかかった。いつもはレトルトのスパゲッティかカレーでお茶を濁すところだが、今日は時間があるので少しだけ調理に時間をかけてみる。とはいえ、個人的にキャンプではのんびりとした時間に比重を置いて過ごしたいタイプなので、手間のかかる凝った料理は作りたくない。簡単に焼く、炒める、沸かすくらいで丁度良いのだ。用意してきたチキンとアスパラベーコン巻に、軽く焼いたバゲットでお腹いっぱいになり、後片付けもそのままに暫くはチェアーにもたれて、うとうとしてしまった。
涼しげな風に起こされてあたりを見渡せば、ずいぶんと影が伸びている。 併設されている温泉に入った後、暗くなる前に焚火を起こした。 見上げれば空の青は消えて、そこには満点の星が輝いていた。
激しくはないが、フラットダートや泥濘地、河原のように石の浮いたエリアなど路面状況が目まぐるしく変わり面白い。時折現れる崖崩れがアドベンチャーな様相を見せてくれるが、基本は整備の行き届いた走り易い林道である。
キャンプ場の側を流れる清流に入ってみる。日中は汗ばむほどの気温で車内ではエアコン無しではいられなかったが、川の上にはひんやりとした空気が流れ、手足をつけた澄んだ水は凍えるほど冷たかった。
ミルを新調した流れもあって、今度は珈琲豆を焚火でローストしてみることにした。焚火の火力が安定しないのも承知で、焙煎を試みた。雑な感じのアバウトブレンドだが、風味が良くて中々の仕上がり。
MONORAL(モノラル)の焚火台「ワイヤフレームソリッド」