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ジムニー車中泊・ひとり旅
VOL.031
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.31
ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.31


ジムニー車中泊ひとり旅 VOL.31 「長野県・大町編」
Traveling alone with jimny.


新緑のキャンプ場と       
初夏に消えゆく幻の池


春になると姿を見せる、淡い緑の木々に囲まれた小さな池
消え去る前に、その傍らで野営を楽しむ


SPECIAL THANKS/中山高原キャンプ場 https://miasa-camp.com/

Photo & Text : 山岡和正
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。
ウェブサイト:http://kaz-yamaoka.com/
SNS:Facebook

いつか、水際でキャンプがしたかった
水面にゆらゆらと揺れる焚き火の炎や、ランタンの灯を眺めながらのキャンプシーンで至福のひと時を過ごしたかったのだ。
とは言っても水位が不安定だと危険だし、諸々の事情で車の乗り入れはNGの場合が多いため、場所選びが難しく半ば諦めかけていた。
先日、SNSを彷徨っていると、池のすぐ側でキャンプをしている写真を見つけた。蕎麦の花や、菜の花の奥で水辺にレイアウトされたキャンプサイトと周囲の緑が美しい。
すぐにキャンプ場へ連絡し聞いてみると、池だと思っていた水面は一年のうち、今の時期だけ現れる大きな水たまりだという。なんと、ある意味「幻の池」といっても良いかもしれない。もうすでに少しずつ小さくなっているというので、慌てて準備をして長野県の大町市へと向かった。

青空と新緑のコントラストが美しい 心地よい風を感じながら光の森を行く

大町市周辺を調べていて分かったのだが、目的地のキャンプ場周辺は林道の宝庫のようだ。全てを走破するには時間的に厳しいので、今回はキャンプ場からアクセスの良い数本をメインに走ってみることにしよう。

最初の林道は入口の集落から北へと延び、ループしてほぼ同じ地点へと戻るルートだが、どこまで走ってもアスファルトが途切れない。

このまま出発点に戻ってしまいそうだったので、途中にあった支線へと入ってみた。こちらの道はすぐに未舗装路へと変わり、低山の明るい雰囲気のダートが伸びて行く。

気温はそれほどでもないが初夏の太陽は眩しく、折り重なる木々の葉を抜けて差し込む透過光の色彩が美しく光っている。緑の光に包まれたトンネルの中を走っているようで心地良い。これは林道の魅力の一つであり、走破性云々とは違うベクトルの楽しさなのだ。

次に入った林道はキャンプ場からストレートに南に数キロ延びていた。作業トラック用に整備されてはいるものの、原生林さながらのポイントがいくつもあり、風景として楽しみながらゆっくりと進んだ。林道走行はトランスファーを四駆に入れてダートを走るだけで楽しいものだが、自然と五感をリンクさせることによりさらに魅力的なものになるのだと実感する。

そろそろ良い時間になってきたので、キャンプ場へと急いだ。

敷地内に入ると、前方にあの池が見えてきた。周囲は高い木々に囲まれていて隠れ家的な雰囲気がある。シーズンオフのためかキャンプサイトは閑散としていて、バイクのツーリングキャンパーが1人テントを設営しているだけだった。同じ相模ナンバーということで、暫し湘南談義で盛り上がった後、暗くなる前にと、車中泊の準備に取り掛かった。

焚火に火を点けながら、ふと西の方角を見上げると、ちょうど北アルプスの向こうへと夕陽が沈んで行くところだ。差し込んでくるオレンジ色の光が周囲の白樺を立体的に浮き上がらせている。その様相が水面に反射してまるで異次元の世界を見ているようだ。不思議な感覚にとらわれながら夜の帳は下りて行き、光を失った池の上には数えきれないほどの星々が揺れていた。

そよ風の中、桜の木陰で小休止

アウトドアで飲む珈琲はなんでも美味しい。時間を優先するならパックで良いし究極はスティック状の粉になるのだが、面倒でも豆から挽いた珈琲を飲みたいと思う。

せっかくなので「地の物」を食べたいと思い、スーパーマーケットであれこれ物色したところ、地元の牧場産のウインナーを発見。ジューシーで朝食には最適だった。

枝の葉が淡い色の時期だということもあり、森は眩しいほど明るかった。木々の立ち並ぶ間隔も広く、遠くまで見通せる。時折現れる日陰にはシダが群生していたが、背後からくる光線で光り輝いていた。