蜘蛛の巣が張る、杉とカラマツの森の中にいた。
針葉樹の香りが心地良い。
音が無いと言っても過言では無い世界。
ふかふかの地面は足音を最小限に抑えてくれる。
冒険している高揚感と緊張が入り混じる。
耳をすましてみると、どこからか「かりかりかり」という何かを引っ掻くような音が聞こえてきた。
なんの音だろうか。
そう思い木の上をじっと見回していると、枝が動き、パラパラと杉の葉が沢山落ちてくる場所を見つけた。
光が当たり、その様子がなんとも幻想的だ。
何がいるのだろう。
ゆっくりと近づいてみると、素早い動きで縦横無尽に木の枝を走り回る野生のリスを見つけた。
彼らは警戒心が強く、すぐに逃げてしまう。
木が生い茂っているため、その姿を写真に収めるのがなかなか難しい。
リスのいる木の下に潜り込むと、今度は細かい木のゴミが沢山落ちてくる。
蜘蛛の巣に絡まりながらも必死に木々の隙間からピントを合わせシャッターを切っていく。
撮れてはいるだろうが、、、後でしっかりと確認しなければ。
上手く撮れていたら、いつか記事にアップしたい。
随分リスを追いかけることに熱中してしまったが、よくよく考えるとこの森もクマが住んでいる。
いたる所に爪痕があり、また足跡もある。
寝転がったのか、獣臭が残る場所まである。
日中でも薄暗い自分の周りに視線を移すと、不意に恐ろしくなってしまい、近くに停めてある相棒の黒蔵(ジムニーシエラ)まで早足で向かった。
黒蔵に乗り込むと、緊張が解かれていつも眠くなってしまう。。。
そういう時は15分ほど目をつぶる。
そんな私の相棒の黒蔵のルーフに新しい仲間が加わった。
以前使っていたルーフキャリアが壊れてしまったため、新しく「フロントランナー」のルーフキャリアをAPIOにて取り付けてもらったのだ。
これがなんともかっこいい。
そして何より、その上に乗っても問題無いほど頑丈だ。
写真を撮影する際に、どうしても人の身では撮れない角度というものが存在する。
もっと上から、、、と思っていても木に登るわけにもいかない。
もちろん脚立があれば別だが。
だがしかし、この頑丈なフロントランナー製のルーフキャリアを取り付けた事により、四メートル程の高さから撮影する事が出来るようになった。
広角で高い場所から撮れる喜びを噛み締めている今日この頃。
これから更に撮影の幅が広がる事だろう。
それにしても、、、
最近、撮影先での熊の気配がとても濃いように感じている。
どこに行ってもなんらかの痕跡、もしくは本体に遭遇してしまう。
林道に入るのは良いが、そこから車外で活動するのが怖くなってしまう。
警戒するに越したことはないが、兎にも角にも気をつけなくては。
一人で林道でスタックして動けなくなったらと思うとなかなかに恐ろしい。
とはいうものの、どんどん林道が閉鎖されてしまうこの時期はとても寂しくなる。
熊に遭遇以前に林道に入れない。
通るところ通るところほとんどに閉鎖予告の看板が立ててある。
このタイムリミットがある特別感が、なんとも言えない挑戦心と冒険心をくすぐるのだが。。。