JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン JIMNY LIFE ジムニーをとことん楽しむ僕らのライフスタイルマガジン

CATEGORY MENU

森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶
VOL.013
黒蔵と冬を駆ける
黒蔵と冬を駆ける

タイヤが雪を踏む音。
厚みのあるこの音を聞くと、冬を感じることができる。

凍りついたフロントガラス

朝、黒蔵(ジムニーシエラ)の中で起きると車内は冷え切っていた。
当たり前だ、外気は-10度以下になっているのだから。
フロントガラスには氷が張り付いており、すぐには出発できそうにない。
雪は降っていないようなので、とりあえず車内を温めるためにエンジンをかける。
冬場の夜間エンジン付けっ放しは怖いのでご法度だ。
しばらく冷たい風がエアコンから流れてきた。
水を飲もうにも凍っている。
厳しい、冬の朝だ。

気球が浮かぶ冬の朝

路面は綺麗に凍りついていた。
慣れているとは言えない状況のため、撮影場所を移動する間は要注意。
車間距離をいつも以上にあけ、後ろから接近する地元車には道を譲る。
臆病なくらいがちょうど良いと思っている。
さてさて、平地から山へとついに突入だ。
標高が高くなるにつれ、少しずつ雪が増えていく。
次第に、想像していたような冬景色へと変わってきた。
念願の雪の林道だ。

雪が舞い始め、世界が一変する

雪が積もった林道は、いつにも増して静かだ。
音が吸収されるらしいので納得だ。
そこに、静寂を壊すべくエンジンの音が響き渡った。
太く低く、そして力強い音だ。
ジムニーは雪の中でもぐんぐん進む。
行きたい場所へ行くためにこの車は欠かせない。
寝るときはちょっと狭いけど、美しい森を駆けるためには必要な存在だ。
林道を進んでいると、少しずつ雪が降ってきた。
雪のマークは出ていなかったが、ありがたい。

林道が雪に覆われてしまった

そう思っていたのも束の間で、、、、
だんだん前が見えなくなっていく。
山の天気は変わりやすいが、変わりすぎだろう。
こうなると心配になってくる。
写真を撮るために必要があってここにいるわけであり、私は決して怖いもの知らずというわけではない。
焦りながら、外に出て白く染まっていく光景にカメラを向けてみた。
しかし、寒い。
猛烈に寒い。
多分この雪もしばらくすれば収まるはずなので、ゆっくり走行しながら撮影をするとしよう。。。
車一台、無理は禁物だ。
そしてやがて雪は次第に弱まってきた。

どんどん雪が積もっていく。風も強い。

遠くの方では晴れ間が見え始める。
きっとこの様子だと、夕方は晴れそうだ。
せっかくの冬だ、満点の星が見たい。
この美しい世界のことをもっと知りたと、いつも思っている。
その望みの欠けらを、相棒の黒蔵は叶えてくれている。
道の端に車を止め、ヒーターの付いている座席に足を組んでしばらく外を眺めていよう。
積もった雪が風で散る姿が美しい。

皆様、いつも読んでくださりありがとうございます。
今年も、この黒蔵の旅をよろしくおねがいいたします。
次回は車中泊と冬の森の様子をお伝えさせていただきます、お楽しみに。

瀬尾拓慶ホームページ:takumichi-seo.com

黒蔵と美しい山々
車内で凍った水
雪と苔
雪降る森と川
木々の隙間から見える夕日が美しい