タイヤが雪を踏む音。
厚みのあるこの音を聞くと、冬を感じることができる。
朝、黒蔵(ジムニーシエラ)の中で起きると車内は冷え切っていた。
当たり前だ、外気は-10度以下になっているのだから。
フロントガラスには氷が張り付いており、すぐには出発できそうにない。
雪は降っていないようなので、とりあえず車内を温めるためにエンジンをかける。
冬場の夜間エンジン付けっ放しは怖いのでご法度だ。
しばらく冷たい風がエアコンから流れてきた。
水を飲もうにも凍っている。
厳しい、冬の朝だ。
路面は綺麗に凍りついていた。
慣れているとは言えない状況のため、撮影場所を移動する間は要注意。
車間距離をいつも以上にあけ、後ろから接近する地元車には道を譲る。
臆病なくらいがちょうど良いと思っている。
さてさて、平地から山へとついに突入だ。
標高が高くなるにつれ、少しずつ雪が増えていく。
次第に、想像していたような冬景色へと変わってきた。
念願の雪の林道だ。
雪が積もった林道は、いつにも増して静かだ。
音が吸収されるらしいので納得だ。
そこに、静寂を壊すべくエンジンの音が響き渡った。
太く低く、そして力強い音だ。
ジムニーは雪の中でもぐんぐん進む。
行きたい場所へ行くためにこの車は欠かせない。
寝るときはちょっと狭いけど、美しい森を駆けるためには必要な存在だ。
林道を進んでいると、少しずつ雪が降ってきた。
雪のマークは出ていなかったが、ありがたい。
そう思っていたのも束の間で、、、、
だんだん前が見えなくなっていく。
山の天気は変わりやすいが、変わりすぎだろう。
こうなると心配になってくる。
写真を撮るために必要があってここにいるわけであり、私は決して怖いもの知らずというわけではない。
焦りながら、外に出て白く染まっていく光景にカメラを向けてみた。
しかし、寒い。
猛烈に寒い。
多分この雪もしばらくすれば収まるはずなので、ゆっくり走行しながら撮影をするとしよう。。。
車一台、無理は禁物だ。
そしてやがて雪は次第に弱まってきた。
遠くの方では晴れ間が見え始める。
きっとこの様子だと、夕方は晴れそうだ。
せっかくの冬だ、満点の星が見たい。
この美しい世界のことをもっと知りたと、いつも思っている。
その望みの欠けらを、相棒の黒蔵は叶えてくれている。
道の端に車を止め、ヒーターの付いている座席に足を組んでしばらく外を眺めていよう。
積もった雪が風で散る姿が美しい。
皆様、いつも読んでくださりありがとうございます。
今年も、この黒蔵の旅をよろしくおねがいいたします。
次回は車中泊と冬の森の様子をお伝えさせていただきます、お楽しみに。
瀬尾拓慶ホームページ:takumichi-seo.com