久方ぶりに黒蔵のハンドルを握り、奥多摩へと赴いた
深い深い、森へ続く林道今回は写真家三人組という変わった構成での撮影。
夜明け前から、黒蔵の唸り声と共にリハビリがてらの短い旅がスタート。
数ヶ月ぶりの森。
いつのまにか時が過ぎ、すっかりと季節の変わり目に差し掛かっていた。
湿度を帯びる冷えた空気に肺を洗われているようだ。
奥多摩の空気は、独特な味がする。
森によって違いがあるのは、きっとその場所の植生(ある場所に生育している植物の集団
)によるものだろう。
杉の木と水の香りがアロマのように鼻をくすぐる。
ちなみに信州の辺りだとカラマツの香りがしたりと、とても面白い。
そんな些細な要素も、旅をする醍醐味の一つだ。
中心を水が流れている、この水がアスファルトの下に入り込む今年の大型台風の影響でほとんどの林道が崩壊していることを事前情報により把握はしていた。
なので無理はせずに、ある程度の場所からは徒歩を選択。
やはり危険な箇所があり、アスファルトの状態も車で乗ったら崩落しそうなほどに脆くなっている。
小石で軽く叩くと、空洞の音がした。
見慣れていた場所なのに、全く違う姿となった林道。
空気も以前とどことなく、変わったみたいだ。
以前よりも土の匂いが強い気がする。
とは言いつつも、やはり美しい。
特に朝の淡い色味の世界は幻想的だ。
木々の間を漂う深い霧を薄明が強調し、しだいに自分がその一部になるかのような錯覚を覚える。
完全復活を遂げた黒蔵同行したそれぞれの写真家達から、光を見る度に「光がやべえ!!」と喜びの声が上がり続けるほどだ。
ここは、私に写真というものを教えてくれた大切な場所。
とても美しい場所なのに特徴を発見するのが非常に難しい。
写真を始めた当時は、詳しい写真の知識もなく、ただひたすら光を探していた。
そしてその繊細な光を切り取る事に夢中になっていた。
初めて黒蔵で車中泊をしたのも奥多摩だ。
森の中で夜を迎える緊張感を今でも覚えている。
高揚する心と不安が入り混じる感覚。
慣れてしまうと大したことではないが、当時はその感覚がとても心地よかったのを思い出す。
繊細な光が美しい撮影と黒蔵での移動を繰り返し、昼時になったので奥多摩グルメをいただく。
オススメは鳩ノ巣釜飯、そして奥多摩駅二階のポート奥多摩、そば太郎カフェ。
ポート奥多摩では美味しい食事と自家焙煎のコーヒー、アウトドアグッズの購入が可。
私の写真が二点展示されています。
奥多摩は他にも多くの美味しい飲食店が点在しているので、食に関しても楽しめるスポットだ。
そんなこんなでその後も撮影を続け、何ヶ月ぶりかの撮影が終わりを迎えた。
今の時期はすぐに暗くなってしまうため、少々不完全燃焼なところもあるが致し方ない。
今後、今までの分を取り返すためにも撮影しなければ。
そんな焦りと高揚感が入り混じっている。
やっとこの連載を再開できることをこころより嬉しく思います。
これからも私と黒蔵の旅にお付き合いください。
よろしくお願いいたします。
ギャラリー入り口冬バージョン9月より私の常設ギャラリーImaging Gallery GLEAMが移転オープンいたしました。
現在は「静寂と冬」を開催いたしております。
内容は2018年4月に開催した「静寂の森」と2019年9月に開催した「Winter Scenery」を混ぜた作品展となっております。
ギャラリー外観も冬の景色へと模様替え致しました。
美しい、秋から冬にかけての作品をお楽しみください。
・場所 東横線日吉駅徒歩2分
・開館日 毎週火曜日-土曜日(月・日・祝は休館です)
・時間 12:00-18:00
12月22日(日)から1月6日(月)まで休館いたします。
https://www.takumichi-seo.com/imaging-gallery-gleam/