ジムニーが激しい地形のオフロードを走る姿は圧巻だ。そういうシーンを見たことのない人は「こんな場所をクルマが走れるのか!」と感動するはずだ。だが、いくらジムニーの悪路走破性が優れていたとしても、いきなり知識や技術なしでは不可能だ。オフロードを走るには、段階を踏んでテクニックを習得していく必要がある。
オフロードで最も難易度が低く、入門ステージと言えるのが「フラットダート」だ。ダートとはいわゆる未舗装路のことで、完全なオフロードではない。一応道はあるが、舗装されていない道路をダートという。その中でも比較的凹凸が少ないのが、フラットダートと呼ばれる。こういう道は、昨今では林業用の道「林道」にしか残っていない。
平らなら面白くない…というなかれ。舗装されていない道が、舗装路とこんなに違うのかというほど、走れば違いに驚かされるはずだ。クルマはタイヤと路面の摩擦μ(ミュウ)によって前進するわけだが、未舗装路ではこの摩擦μが極端に落ちる。通常のオンロードタイヤだとグリップ力やトラクションを失い、タイヤが空転したり、横斜め方向に滑ったりする。そういう状況を踏まえた上で、ダートは走らなければならない。
さてダートに入る前に、まずオフロード用のドライビングポジションというものを覚えておこう。通常のドライビングポジションだと、足を伸ばした時にブレーキやクラッチが踏める位置にシートを動かし、軽く手を曲げるくらいにシートバックとステアリングホイールの位置を調整するだろう。
だが、オフロードでは違う。激しい路面からショックを受けて揺れるオフロードでは、このポジションでは手足が操作系から離れてしまい危険なのだ。