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VOL.001
ジムニーノマドはこんなクルマだ!(前編)
ジムニーノマドはこんなクルマだ!(前編)

ジムニーノマド徹底紹介 前編

ついに日本でデビューした『ジムニーノマド』。ジムニーシエラの5ドアモデルという立ち位置だが、果たしてその性能はどのようなものか? いち早く、インプレッションをお届けしよう。

記事/山崎友貴
写真/スズキ株式会社WEBページより
   https://www.suzuki.co.jp/car/jimny_nomade_jimny_sierra/

ようやく登場したジムニーの5ドアモデル

2023年1月、インドから全世界に発信された「ジムニー5ドア」の姿に、日本でも多くのユーザーが胸をときめかせたと思う。海外ではロングボディも存在したが、歴代ジムニーにおいて前後に2枚のドアを持つモデルは存在していなかったからだ。

アピオスタッフからも話を聞いたことがあるが、ある層ではジムニーに乗りたくても乗れない…という事情があるというのだ。それはファミリー層。3ドアのジムニーは後席にエントリーするのに、いちいち助手席をずらさなければならない。加えて、開口部が小さいために、家族で使うには不便だというわけだ。そのため、奥様から購入の許可が出ないというのである。

こんな話も聞いた。キャンプを日常的に楽しむユーザーにとって、ジムニーやシエラのラゲッジスペースはあまりに狭く、ルーフラックを使っても十分な積載能力が確保できないというのである。こうした実用性を重んじるユーザーにとっては、ジムニーシエラの登場はまさに“待ちに待った”存在と言えるだろう。

さて「ノマド」というサブネームは、90年代にクロカン4WDの世界に足を踏み入れていた人にはお馴染みだと思うが、最近のユーザーには馴染みがないと思う。実はスズキがこのサブネームを使うのは2度目で、かつては初代「エスクード」の5ドアモデルに付けられていたものだ。エスクードは今でこそ5ドアがスタンダードだが、元々は3ドアのみで登場した。その実用性をアップさせるために追加設定されたのが、「エスクードノマド」というわけである。

ノマド(NOMADE)とは“遊牧民”を意味するフランス語で、たくさんの荷物を持って自由に移動するイメージから、同モデルに名付けられた。エスクードノマドは絶版になってしまったため、その名がジムニーに受け継がれたというわけである。

今後は、ノマドという呼び名が一般的になるだろうが、ジムニーファンとしては「JC74」という型式から、“ジェーシー”という呼び方も覚えておきたいところだ。

さて日本で販売されるノマドは、インドのグルガオン工場で生産される。世界にデリバリーされるすべてのジムニー5ドアが、すべてここで生産されている。ここから約1200knほど陸送されて、インドの港からコンテナ船で日本に来るというストーリーを聞くだけで、“旅するジムニー”という感じである。

ノマドは2023年1月にインドで華々しくお披露目されたが、日本仕様も基本的には同じだ。シエラとの違いはボディサイズ以外では、メッキカラーのグリル、安全装備、リアゲートのモデル名エンブレムとなる。メッキグリルはすでにSNSなどで賛否両論となっているが、いかにもアジア的な雰囲気だ。個人的には、購入後、アピオ製タクティカルグリルをはじめとするアフターマーケット品に交換する人が多いのではないかと思っている。

安全装備は、センサーがこれまでのシングルカメラ+レーダーからデュアルカメラ+レーダーに進化した。この恩恵を受けているのはATで、デュアルカメラを活かしたアダブティブクルーズコントロールが遂にジムニーにも装備されたのである。またATのみ、後退時ブレーキサポートと後退時誤発進抑制機能が装備されている。

ではMTは何が進化したんだ?というと、前方に歩行者や車両などを検知してぶつかる可能性がある場合、従来より手前でまず弱い制動力をかけて、次にこれまでのように段階的な自動で制動力をコントロールする。つまりブレーキ制御が2段階から3段階になったわけである。さらにノマドは「止まれ」標識も認識できるになり、それをメーター中央の液晶部に表示してくれる。

インテリアは、シエラとはそれなりに異なっている。基本的なデザインは一緒だが、まずメーター内の表示(警告灯など)が、安全装備の充実によって変更を受けた。MTでトランスミッションをバックに入れた時に、リバース表示がされるという地味な新機能も追加された。

後席のパッセンジャーのことを考えて、2スピーカーが4スピーカーになったというのもトピックスだ。純正スピーカーをアフターのスピーカーシステムに変更したら、かなりいい音場になるのではないだろうか。

快適性の向上という点では、後部座席周辺のトリムの追加も挙げられる。シエラでは壁が鉄板剥き出しとなっているが、ノマドではそれをトリムで隠し、見た目や触感といった部分を変えた。

もちろん座った時の居住性そのものも向上。後席のヒップポイントをシエラよりも後方50㎜移動し、足元の空間に余裕を持たせた。また後席のシートクッションの素材を見直して、座り心地を改善。その結果、ヒップポイントが20㎜アップしている。

ただし、後席については美点ばかりではない。シエラは後席を倒した場合、床下フラットになったが、ノマドはシートバックが斜めになったままなのである。その結果、前席を倒しても、荷室からダッシュボードまでのフルフラットが望めないのである。これは、ノマドで車中泊を楽しもうと考えていた人には、ガッカリポイントだ。また、シートバックがこのような状態になることで、積載性もかなり落ちる。

加えて、居住空間への壁面張り出しを抑えるという意図から、リクライニングのための金具が壁に内蔵できなかった。これが居住空間に残ることで、やはり積載性に影響が出てくる。

シートバックが斜めに残ることに対しては、フラットに改善する純正オプションが設定されている。開発者の話によるとセカンドシートは割と簡単に外せるそうなので(要工具)、2人しか乗らないというユーザーなら取っ払うというのも手だろう。

全体的に俯瞰すると、内外装の完成度はシエラと大差はない。高級感があるというわけではないが、チープさもない。むしろ平均的なクオリティだからこそ、アピオのパーツでカスタムする楽しみがあるのではないだろうか。

>>> ジムニーノマドはこんなクルマだ!(中編)