男のジムニー車中泊ひとり旅 Vol.6
Men alone travel by jimny
山頂でひっそりと水を湛える「天空の池」は
変わらぬ姿で迎えてくれた。
雨の降った翌朝、遠くの山の頂は白く染まっていた。
本格的な冬が訪れる前に山から見える広大な景色を楽しんでおこうと
ジムニーを駆り山へと向かった。
ガレ場を登り、尾根を抜けて聖地「天空の池」へ。
Photo & Text : 山岡和正
今年の秋、朗報が飛び込んできた。
水害で道が崩れ、ずっと通行止めになっていた「天空の池」へと続く林道「黒川線」の整備が完了して10月から通行可能だという。最後に行ってからもう3年が経過している。
道は申し分なく整備されているので普通乗用車でも到達可能だが、4駆なら楽勝だし断崖や急こう配のダートを走り心地よいスリルを味わいながらゴールすると素晴らしい景色が待っているという、4駆に乗っていて良かったと思わせてくれるドライブスポットなのだ。
麓の大鹿村に到着すると昼を少し回っていた。大鹿村は静かで小さな山村で、観光のキーワード「塩」と「鹿」があちらこちらで踊っている。
まずは道の駅にある食堂で腹ごしらえをしてから黒川牧場を目指した。黒川牧場エリアに入ると直ぐに小さなゲートがある。ここから先が「天空の池」へと続く農道黒川線である。
走り始めると以前来た時にはダートだったはずの林道が真新しいコンクリートで覆われていた。おそらく大雨で被害にあった場所なのだろう。まさか上までコンクリートやアスファルトで固められているのかと一瞬不安が過ったが、直ぐにダートに変わったので安堵しながら4駆へシフトする。牧場から山の稜線まで道の周囲にはほぼ木が無く見通しが良いので、下界を見ながら気持ちよくグングンと高度を上げていける。最後のコーナーを曲がれば開けた草地が見えてきて、その真ん中で静かに鎮座しているのが「天空の池」である。池としては小さく特徴もないが、この場所全体のシンボル的な役割を担っている。
到着した時には数台の4駆と景色を撮りにきたであろう人たちで賑わっていたが、夕刻になると1台また1台と下界へ消えていった。
西側に開けた広大な景色を眺めていると、遠くに横たわる木曽山脈の向こうへと太陽が沈んで行く。オレンジからブルーへと変わる空に心を奪われていると、ふいに冷たい風が頬を撫で、冬の到来を予感させた。
農道栗川線は黒河山の西側斜面を登り「天空の池」まで続くフラットダートで走りやすい。
林道自体は見通しも良く十分に整備されていて問題は無いが、牧場の延長だということもあり木が生えていないため転落の危険もある。ガードレールの無い場所やタイトコーナーも点在しているので慎重に走りたい。
景色が良く、注意して走ればビギナーでも安心してオフロード走行が楽しめる林道も希少だろう。池の広場の高度は2000m近くある。
鹿塩温泉 湯本山塩館
〒399-3501 長野県下伊那郡大鹿村大字鹿塩631
山深い土地にこんこんと涌き出る塩の温泉で、源泉に「塩」が含まれている原因は未だ解明されていない。ナトリウムー塩化物強塩冷鉱泉(弱アルカリ性高張性冷鉱泉)は無色透明だが数値的にはかなり濃い温泉のようで、今でも源泉を煮込んで「山塩」を精製している。神経痛や慢性皮膚病、切り傷などに効果あり。
浅めの湯舟に寝ころびながら対岸の山の景色を楽しむ。足元から力強く涌き上がってくる塩の湯は若干温めだが、湯冷めしない。
塩の里 食事処
〒220-0011 長野県下伊那郡大鹿村大字鹿塩364-1
道の駅にある、ご当地名物の鹿肉料理が堪能できる食事処。もちろん牛肉や豚肉とは違う風味だが、独特な臭みも無くて美味しい。大鹿村にある食事処のメニューには必ずと言っていいほど鹿肉料理がラインナップされているが、この店はバリエーションが豊富だ。以前食べた「鹿肉カレー」も美味しかった。
G-SHOCK MUDMASTER GWG-1000-1AJF
オフロード野郎のためのマッドモデル
土、泥、砂などが溢れる条件下での使用を想定したモデルで、温度計、気圧計、方位計、加えてソーラー発電や20気圧防水の機能もあり、とにかく軽い。耐衝撃構造であることは今更言うまでもないだろう。
大池高原キャンプ場
〒399-3501 長野県下伊那郡大鹿村大字鹿塩
標高1500mの大池高原にある小さなキャンプ場。大鹿村が管理しているためか、利用料金が大人400円とリーズナブルに設定されているのはありがたい。自然な林間の地形をそのまま活かした作りで、メジャーなキャンプ場とはまた違った魅力がある。期間は5月初旬から10月末までで、10サイトしかないため早めの予約が必要だ。
山岡 和正
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。