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森の光と黒蔵の旅 / 写真家・瀬尾拓慶
VOL.005
黒蔵と幻想の森
黒蔵と幻想の森

木々のトンネルを駆け抜けてゆく。
ふわりふわりと、光が代わる代わるに踊っていた。
窓から入ってくる風は、湿度を含んだ針葉樹と土の香りが混ざったものだった。

黒蔵とカスタム

「WILDBOAR X15」を装着した黒蔵と、お手製折りたたみベッド

しばらくの間ずっと忙しく、相棒の黒蔵(ジムニーシエラ)は駐車場でお留守番状態だった。
久方ぶりの撮影に出る前に、APIOにて「WILDBOAR X 15inch」(ホイール)を黒蔵に装着してもらう。
このホイールのコントラストが効いた美しいデザインには、なんとも男心をくすぐられる!
足回りのイメージが変わるだけで、強くなったような気がしてくるのが不思議だ。
初期はノーマルのジムニーシエラだったが、今では完全なAPIOカスタム。
ちなみに黒蔵の中には自作の折りたたみベッドを積んでおり、簡単に設置する事が出来るようになっている。
私の車中泊生活の必需品だ。
相棒が格好良くなって行く姿というのは、なんとも嬉しいものだ。
さて、そんなこんなでやっと黒蔵を森へと連れて行くことができた。

森をゆく

林道と黒蔵

久方ぶりの林道は、四月上旬と全く違う世界だった。
まず、雪がなくなっている。
もちろん雪の林道も美しく非日常感のある光景を演出してはくれるが、いかんせん走りにくい。
特に溶けかけで汚くなってしまっている雪道は写真的にも微妙なのだ。
私が林道に入る目的はあくまでも美しい森を撮影するためなので、なるべくは危ない場所は避けたいのが本音だ。
時には好奇心がに抗えず、少しだけトライしてみる時も無きにしも非ずではあるが、、、

霧が出てきた、幻想的な道

しばらく走っていると、静かに霧が広がってきた。
窓から入ってくる空気の香りが変わる瞬間は心が踊る。
辺り一面から霧の音が聞こえてくるようだ。
しばらくの間車を停め、誰にも邪魔されることなくその幻想的な光景を見つめる。
心が森に溶けてゆくような錯覚を覚える頃、リスが木を登って行くのが見えた。
こちらに気づいているのだろう、少し警戒しているらしい。
きっと見えていないだけで、多くの森の住民がこの辺りには住んでいるのだろう。
自然の中に身を置いた時に、自分の内側と対峙する時間が生まれる。
都会の喧騒の中では得ることのできない貴重な時。
心の輪郭が浮かび上がる。

森の奥へ続く道

咲き乱れる藤の花に夕日が当たる頃、下の方に流れる川で苦戦する釣り人を横目に、その日の寝床を探す。
夕方から夜にかけては動物が出やすいため、少しドキドキしながら周りを注意しつつ進んでゆく。
現れて特に驚くのは、上の方から急におりてくる鹿の群だ。
ドタバタと焦りながら、ものすごい勢いで目の前を通過して行く姿には圧倒される。
砂埃が引く頃までの間余韻を楽しみ、後続の鹿に注意しつつゆっくりと発進した。
ある時は猿達がお互いに毛づくろいをしている姿を観察し、そしてある時はキツツキが木を叩いている音に耳を傾ける。
人の心の中にある森への憧れ。
その欲求が満たされてゆく。

月と大樹

大体私が一晩を明かすために選ぶ場所は、運が良ければ広めの無料駐車場だ。
森の中で寝る際は、周りを完全に木に囲まれていて、落石や地滑りの心配がない平坦な場所を探すように心がける。
夜のうちに降った大雨の影響で鉄砲水が、なんて事も有り得るので水周りも避けるようにしている。
寝ている間に何か起こるというのは、想像するだけでも恐ろしい。。。
上で紹介させていただいた折りたたみのベッドは足を伸ばしてゆったりと寝ることができ、意外と安眠することが出来る。
これからどんどん暑くなり、そして間も無く雨季に突入していくことだろう。
窓を開けておくのも嫌になるくらいジメジメする熱帯夜も、実は今から少し楽しみだ。
霧の季節になる、そして緑が濃くなってゆく。
より奥深い、幻想的な森を撮ることができるはずだ。
月をしばらく眺めたら、黒蔵の中でゆっくりと休むとしよう。

6月は黒蔵を車検に出さなければいけない。
しっかりと検査をしてもらい、また鳥のさえずる森へ。
どんな出会いがあるだろうか。

次回も林道での黒蔵の様子をお楽しみください!

ガードレールと夕日
夜出会った子鹿、親と逸れたらしい。
霧が広がる、幻想的な森
桐の花。林道では沢山の花を楽しめる。