頭に巻いたタオルに、太い枝が引っかかる。
カメラを片手に、林道の片隅に停めてある相棒の黒蔵(ジムニーシエラ)を目指して藪をかき分けて進んでゆく。
林道を前にすると、心が踊る。
非現実的な空間、そしてあらゆるシチュエーションに出会った時の高揚感はたまらない。
しかしながら、いつも上手く最後まで通過出来るわけでは決してない。
美しさとは反対に、危険はいたるところに落ちているのだ。
落石、地すべり、路肩の崩落、多くの危険に遭遇する。
荒れている道は、車の底を傷つけていき、最悪行動不可能にしてしまう場合がある。
だからこそ、相棒となるジムニーのカスタマイズが必要になってくるのだ。
私の相棒である黒蔵は、今となっては完全なるAPIOカスタムになった。
今となってはという言い回しだが、元々はインチアップ目的の足回りカスタマイズだった。
チタン配合A2000Tiコイルスプリングと、減衰力調整がダイヤル式で簡単に出来るショックアブソーバーは圧倒的な走行性能を発揮してくれるため、林道での撮影生活を素晴らしくサポートしてくれている。
そこから更なる安全性を求め、林道の中で一つ一つ必要だと感じたパーツのみを黒蔵に取り付けていったのだが、、、
最終的には結局アピオのコンプリートカーと同じ装備になってしまった。
特に林道で1番重宝しているのは、車の底についているスキットガード一式だ。
林道に入る上で1番恐ろしい事は、車のダメージにより完全に走行不可能となってしまう事だろう。
車体表面が凹もうが傷つこうが問題は無いが、道の荒れにより底のパーツが障害物に引っかかり最悪部品が外れてしまう場合がある。
そうなると自分ではどうすることも出来ずに、暗くなってゆく林道で途方にくれるのみだ。
スキッドガードは、重要な場所にガードを取り付けているだけなのだが、障害物上を滑らせて乗り越える事ができるためダメージを無くすことが出来る。
走行不能になるリスクを大きく回避してくれる、この安心感はありがたい。
林道は、少し進むだけで状況が目まぐるしく変化してゆく。
その魅力に一度魅了されると、夢に見る程林道が恋しくなるのだ。
青空が木々の隙間から見える晴れの日、雨音が森全体を包み、霧が全てを包んでゆくあの光景。
鹿達は警戒しながらこちらの様子を伺い、リスは木の上を縦横無尽に駆け回る。
鳥達の歌声を聴きながら、車を停めてゆっくり目を閉じてみるあの瞬間。
全てが愛おしく、全てが美しい。