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山下晃和のアピオジムニー旅暮らし
VOL.019
OMM参戦記 その1
OMM参戦記 その1

ア・ジ・旅
海外サイクリスト兼モデル 山下晃和のピオムニー暮らし


1チーム2人で、地図読みが重要なため、スタート直後に真剣に地図を眺める2人。

先日、OMM(オリジナル・マウンテン・マラソン)に参戦して参りました。
OMMはイギリスで人気のアウトドアレースであり、47年の歴史誇るそうです、日本国内は初上陸。

 昨今、空前のトレイルランニングブームと言っても過言ではありません。山を走り、景色を眺め、バックパックは非常に軽量かつ機能的なトレイルランニング用バックパックを背負って、最低限の行動食と、水を入れます。レースだけでなく、ハイキングや縦走登山に行く時間は無いけれど、体力はあるという人にオススメのアウトドア・アクティビティです。

 シューズさえ買えば、走ることができるということで、比較的お金のかからないスポーツという点でも、その人気を牽引している要素と言えます。
 そのトレイルランナーたちが、今年、日本初開催されるOMMに集まりました。こちらのOMMは、地図を読みながらポイントを探すオリエンテーリングの能力と、1泊2日、山を走り回るトレイルランの能力を要する、いいところどりと言えます。
 ランニングの体力だけでもダメ、地図読みができないとダメ、というあたりが単なるトレイルランニングと一線を画しています。
 ルールとしては、CP(チェックポイント)をなるべく通過して、大きな得点を取って、ゴールした人が勝ちということになります。ストレートとスコアでレベルが違っていて、僕らはスコアという簡単な方にエントリーです。

 メンバーは、チーム・アルトラ(アルトラはトレイルランニング&ロードのランニングシューズブランド)で出場です。メンバーは僕とTKC代表(アルトラの代理店の代表です)。
 2人ともアウトドア大好きな点と体力が同じくらいという奇跡を感じざるをえないマッチングです。さらに、競争心が無いという点も。
 しかし、レース自体は競うものですが、僕らの中では自分たちがライバルであり、お互いのスキルがどれくらい通用するのかといったことに焦点を当てているので、問題ありません。

これがスタート時の集合したレース参加者。ストレート100組200名、スコア200組400名。合計600名も猛者が集まりました。

 場所は、伊豆は東伊豆の某フィールド。おそらく、今後は毎年場所を変えてくると思うので細かい場所は秘密にしておきます。

 初日はなんと大雨。小降りから本降りになり、ぐちゃぐちゃのマッドトレイルを走ることになりました。
 地図を読むことで、近道を進むか、それとも、安全にトレイルを進むかもチームの作戦によって決まります。今回のレースの地図を眺めると、トレイルを走ったほうが無難といったケースが多かったのです。
 
 しかしながら、初日に僕らはチャレンジングなことをしました。CPを取りに行くために沢を使ったのです。すなわち、沢下りです。
 沢はだんだんと険しくなり、最後は、人の身長大の岩がごろごろしているところを下りなくてはならなくなり、コケで滑るわ、岩から岩へと飛び移らないとならないは、命の危険を感じる場所になっていきました。

左:川を下れば下るほど、地図に書いてある等高線の幅が狭くなり、それは急斜面になるということを示していました。 
右:大雨が降っていたのですが、気温がそれほど低くなかったのが不幸中の幸い。カメラが曇ってしまい見づらくてスイマセン。なかなか視界も悪い場所でした。

 その後、30分ほど悪戦苦闘したあと、地図で示していた林道が見えたので、「TKCさん、道がありました!」と叫ぶと、砂防ダムが現れ、その下は崖になっていたのです。
 飛び降りると確実に死ねる場所。

 八方塞になってしまい、タイムロスにもなり、途方に暮れて、登って戻ろうとしましたが、左手に尾根があり、そこを這い上がれば、林道に行けるかもしれないと判断し、足を滑らせないように急斜面を登りました。木の根っこをうまくつかまないと、泥でぬかるんだ斜面には立っていることさえできません。ようやく登り終えると、全景が見えてきて、林道まで下りられる箇所を発見でき、ほっと肩をなでおろしました。

 しかし、この時点でゴールの時間まで間に合わないという計算になりました。1分遅れるごとに、5ポイントマイナス。この減点がかなり痛いと気づいたのは、この時だったのです。

左:こういったトレイルの方が歩きやすく、道も分かりやすいので安心です。ところが、これを無視して藪に入ったり、沢を下ったりするのがOMMの良さでもあります。 
右:地図とコンパスだけを頼りに、山の中に隠されているCP(チェックポイント)を探します。見つけにくい箇所や、標高差が激しくて登りづらい場所のポイント数が高くなっています。

― 次回に続く―