Special Jam Session by APIO and DAMD
アピオ x ダムド
異才同士の協演。
「東京オートサロン2020」でお披露目され、高い注目を集めた2台のカスタムカー。それは、ジムニーのスペシャリスト「アピオ」と、エアロ・カスタムのオーソリティ「ダムド」によるスペシャルなジャムセッションが生みだした、秀逸なカスタマイズド・ジムニーたち。その作り手=プレイヤーにお話しを聞いた。
photo: Kazumsa Yamaoka, Gao Nishikawa
text: Gao Nishikawa
確固たるバックボーンをもち、それぞれのシーンで活躍するミュージシャンが集い、即興でプレイする。各自が豊富な経験と優れたテクニックを惜しげなく発揮することで、想像を超えたパフォーマンスが生みだされる。それがジャムセッションの魅力だ。
ここにご紹介するのは「アピオ」と「ダムド」という異なる個性をもつ2社のコラボレーションによってカスタマイズされたジムニーたち。ラダーフレームとスクエアなシルエットを固持するスタイルを貫き、空前の人気を誇る現行型ジムニー、JB64がベースだ。初期型ジムニーLJ10を彷彿とさせるダムド製のグリルとサンダーイエローのペイントが目を引く“the ROOTS”(ザ・ルーツ)。そして’60年代のアメリカンSUVをモチーフにデザインしたアピオ製グリルを装着したスカイブルーの“little B.”(リトル・ビー)。
この2台には他にも両社が独自開発したパーツが厳選装着されている。スチール製と見まごうシンプルなアルミホイールはアピオの人気商品「ワイルドボアSR 16インチ」、バンパーはダムド製。40mmアップの足回りとマフラーはアピオ製で、もちろん車検対応商品。個性的なペイントは「ペイントファクトリー」の手によるものだ。
なぜこの2社がコラボを?という疑問に対して、アピオ代表の河野仁さんは笑顔で「会社が近かったからですよ!」と語る。「もちろんそれだけではありません。アピオの製品にはスペシャリストとしての技や安定感がある。」とダムド代表の面高翔五さん。「ダムドにはエアロパーツづくりで長年培ってきた高い開発力と卓越したセンスがある。」と河野さん。相互のリスペクトがあるからこそ、一緒にやりたいという思いが一致。目指したのは『ライフスタイルに取り入れたくなるパッケージの提案』だという。ノウハウやアイデアを出し合い、面高さんの発案からわずか一ヶ月ほどで完成したカスタム。その現車を初めて見たのは、「東京オートサロン2020」が目前に迫る’19年のクリスマスイブだった。「これぞ即興の妙!」と感嘆した筆者だったが、そこからさらなるブラシュアップは続いていた。
オートサロン前日、幕張メッセに持ち込まれた“the ROOTS”は、全体をツヤ消しイエローにリ・ペイント、サビ塗装も追加されていた。さらにルーフからリアクオーターにかけては、幌を彷彿とさせるカラーとテクスチャーを再現。「より初期型ジムニーの雰囲気に近づけたかったのです。」と話すのは、ダムドの相談役 面高正明さん。自らの手で幌のホックと、いかにも幌らしい汚しを追加したというから恐れ入る。
晴れてオートサロンでお披露目された2台は、あまたあるカスタムカーの中にあって異彩を放ち、注目を浴びた。素晴らしい「原曲」であるジムニーをベースにした、アピオとダムドという異才同士のカスタマイズの協演。その第一弾は大成功に終わった。
この2台に装着されたプロトタイプのパーツは、2020年の夏頃には製品化されるそうだ。当然コンプリートカーとしての展開にも期待したいところ。今後も続いてゆくであろう2社のジャムセッションに注目してゆきたい。