男のジムニー車中泊ひとり旅 Vol.8
Men alone travel by jimny
寒さもようやく緩んできたが、北の山間部はまだまだ冬の装い。
南へ行けば春めいたものを見つけられるだろう。
花、風、空、水、光 ...
春のキーワードが躍る南房総を巡る旅へ出た。
※取材は2020年3月中旬に行ったものです。
Photo & Text : 山岡和正
この季節、春を求める旅ならやはり南の海岸線が思い浮かぶ。房総に夕陽の綺麗なキャンプ場があるのを思い出し、今回は南房総をぐるっと1周することに決めた。
まずは林道へ向かう。鋸南富山IC付近にある林道へ取り付いてゆっくりと高度を上げて行く。数キロ走っただろうか、舗装路が砂利のダートへと変わったので4駆へシフトしさあこれからだと思った矢先、前方に大きな倒木が横たわっているのが見えてきた。もう行き止まりかと意気消沈しながら近づいてみると、地元の人が作業用の車を通すためか数か所の枝を切っていて、軽自動車なら何とか通れそうな広さの空間を作っている。これなら行けそうだと慎重に進み、ほどなくクリアして安堵しながらその先へと進んだ。ブラインドコーナーを曲がると、今度は「通行止め」の立て看板が立っている!その先を見ると、山側から谷側へと地滑りが起こったらしく大木と土砂が道を塞いでいた。完全に道が寸断されているのだからもうお手上げである。すごすごとUターンして次の林道へと向かうことにした。
2本目の林道へ入ると早々に砕けた石や土が表れ始め次第に酷くなり、土砂や倒木で進むのも困難になってきた。もはや中途半端なオフロードコースよりもアグレッシブなコースになっている。このまま行けばノーマルのジムニーだとボディーをヒットしてしまいそうな荒れ具合だ。もがきながらもゆっくりと前進してその先を目指したが、また地滑りによる倒木で結局行き止まり!おそらく昨年の秋に襲った台風の爪痕だろうが、ここまで酷いとは予想外だった。周辺の林道も同じような状況だったので、林道は諦めて菜の花を横目に見ながらキャンプ場へと急いだ。
キャンプサイトは正面に大きく海の広がる気持の良い場所だ。時折吹いてくる海風がなんとも気持ち良い。そして水平線に沈んでゆく夕日を眺めながら思った、自然は残酷なこともするけれど、こんな素晴らしい景色も見せてくれるのだと。
この周辺の林道はピストンが多く、全体的に狭いため走行には注意が必要ではあるが、今回は台風の被害でそんなレベルではなかった。がけ崩れ、倒木、崩落が随所にあるので、復旧するまで様子を見たい。帰りに立ち寄った月崎駅付近の林道は復旧工事が完了していて、以前よりもきれいになっていた。
ここも台風の影響で受けた被害から再構築中で、新設されたトイレ、洗い場、案内板などはセンス良く仕上げられている。南側には太平洋が広がっているので、遠く水平線を見ながらのんびりしたい。どのサイトも海に近く、砂浜や磯で遊ぶのも楽しいだろう。完成するのが待ち遠しい要チェックのキャンプ場だ。
房総の旅で魅力ある温泉を探すのは難しい。エリアが広い割には数が少ないので、泉質が良いひなびた秘湯だと選択肢は限られる。冷鉱泉が多いため加温が必要なので掛け流しとなると更にである。そうした背景からか、源泉掛け流しで硫黄の香りが漂う泉質の「七里川温泉」が人気を博すのも当然なのだろう。
国道から少し入った住宅地の中にあるイタリアンレストラン「オドーリ・キッチン」。海に近いからといって刺身定食では面白くないので行ってみたのだが、これが大当たりだった。デフォルトのメニューはあるが、その日に仕入れた食材でできる範囲のカスタムメニューにも応じてくれる。写真は当日お願いして作ってもらった「鯛のカルパッチョ」
MINUTEMAN Fatwood Firestarter
火持ちする手間いらずの着火剤
焚火をするなら着火剤を使うと楽。ファットウッドとは樹脂を含んだ木片のことで、焚火の着火剤として使われる。天然物は黒い煤がモクモク出るので微妙だが、これは加工品で扱いやすい。見た目もただの木片に見えるのでGOOD。
山岡 和正
雑誌、WEB、カタログなど中心に、対象物を選ばず多方面で活躍するフォトグラファー。
特に車やアウトドア、旅などには定評がある。