写真のように、ジムニーのシートは簡単にフルフラットになる。写真は1人用だが、もちろん運転席を倒すことも可能だ。最近の軽自動車、とくにトールワゴンタイプのクルマでは珍しくないが、フルフラットシートは車中泊時に実に便利な機能だ。「ええ、車中泊なんてするの?」という方もいるかもしれない。だが車中泊できれば、釣りや登山などで前入りして泊まれるし、そうなれば朝早くから1日を有意義に使うことができる。
深夜通してのロングドライブの時も、フルフラットシートなら脚を伸ばしてゆったりと寝ることが可能だ。単にシートを倒して寝るのとでは、疲労の回復度も全然ちがう。
で、ジムニーなのだが、実は同車にはフルフラットシート機能が標準で付いているのだ。①前後シートのヘッドレストを外して、②後席の座面を外し、③前席をちょっとズラせば、フラットにすることができる。1人の時なら、助手席だけ倒しておけば起きてすぐにクルマで移動するなんて使い方も可能なのだ。
ただし、この時にちょっと気になるところが出てくる。それは、荷室だ。
後席と荷室の面をフラットして、空間効率をよりアップさせる「荷室フラットデッキ・タイプ3(1万8000円・税別)」。この下に小物を収納することも可能だ。せっかくシートの部分はフラットなのに、荷室の部分のみ1段低くなってしまうのだ。この面を後席の面とツライチにできたら、もっと手足を伸ばせてできるにちがいない…。そう考えたアピオの賢いスタッフが作ったのが「荷室フラットデッキ・タイプ3」。ボルトオンで誰でも簡単に付けられる。不器用な僕でも、横で山岡巨匠に“付け方が違う”と文句言われながら作業して、15分で装着することができた。
なんだか車内の見た目がメカニカルになる上に、荷室まで車中泊空間にすることできるのだ。僕も山岡巨匠もデカいので、このアイテムがあれば頭部が“半落ち”といった状態で寝なくても済む。
ちなみにこのフラットデッキは金具ひとつで跳ね上げることが可能で、その下はウェスやら何やらと小物を収納しておける。イザとなったら、スタックした時に使うサンドラダー代わりにもなりそうだ(そういう使い方はアピオは推奨していないと思うのですが)。
さて、これで安眠安眠と思いきや、まだちょっと問題があったりする。
シートの凹凸をどうカバーするか
冬はマミ型シュラフ、夏は封筒型を敷くと快適。シートの上にはマットを敷くとさらに快適だ。大抵のクルマでこういう現象が起きるのだが、フルフラットと言っても、家のベッドや布団のように平面ではないのだ。シートは運転する時に身体にフィットするように設計されているので、倒すと弧のような形になってしまう。“スタイリー”とかなら背骨が伸びて気持ちいいのだが、寝る時は身体が反って辛い。
そこで、このシートの凹凸をいかに消すかというのが、安眠のポイントになる。一番いいのは、ポンプで膨らますようなエアマットを車内に展開することだ。これなら凹凸なんてまるで関係なくなる。だが、ジムニーの車内サイズに合うエアマットというのがなかなかないし、膨らますのもしまうのも大変である。
一番現実的なのが、キャンプ用のマット。これなら持っていくのに大した邪魔にならないし、展開もしまうのもラクだ。キャンプ用マットにはクローズドセルタイプとインフレータータイプの2種類が昨今ではメインだ。これ以外にも、昔ながらクルクル丸める銀紙マットがある。
アコーデオン式のクローズドセルタイプのマットが登場してからは、銀紙マットは日陰の身になってしまった。EVA製で、軽量かつソフト、しかも小さく畳めるという利点を持つため、昨今の登山家の間ではベーシックなアイテムになっている。
マットと寝袋の間にプチプチシート(梱包材)を入れれば、さらに断熱&クッションが利いて快適になる。一方、インフレータータイプは、マットに空気を入れて使うため、さらに快適で断熱性が高い。こちらはコンパクトになるという点で、前出のマットよりも劣るが、まあクルマで持ち運ぶことを前提にすれば、重さ、大きさとも十分。
こうしたマットを使えば、かなりシートの凹凸を解消することができる。もうひとつ、僕がオススメしたいアイテムは、キャンプ用の空気枕だ。車内では衣服などを畳んで枕にしている人が多いが、空気枕があることでさらに快適な睡眠が得られる。
頭の高さを調整できれば、多少シートの凹凸があっても我慢することができるし、背中の痛みを和らげることができる。キャンプ用の空気枕は1000円前後とリーズナブルなので、1個、ジムニーの中に常備しておきたい。
これに加え、フロントガラスの日よけシートや吸盤で張る日よけも用意しておきたい。街灯などの光を遮ることができるし、車内のプライバシーも他所は守ることができるだろう。こちらは100円ショップで売っているので、すべての窓を埋めても1000円もしないはず。
ミリタリーファンでなくとも、その便利さに納得の「タクティカルシートジャケット」。スマートに車内の小物類を整理できる。車中泊をする時に、意外と問題となるのが「荷物をどこに置くか」ということ。まあ大きな荷物はバッグにでも入れて運転席の足元にでも置いておけばいいのだが、携帯電話とかメガネとか様々な小物をきちんと整理しておくのは意外と大変だ。そこでオススメしたいアピオグッズが2つ。
まず最初のアイテムは、12月に発売予定の「タクティカルシートジャケット(1万7500円/枚・税別」。見ての通り、特殊部隊などが着用している軍用のベストを摸したシートカバー。純正シートを汚れから守りドレスアップをする、だけの商品ではありません。なんと軍用と同じMOLEシステムを採用し、様々なものを取り付けることができるのだ。
MOLEシステムとは軍の装備で広く使われているもので、同規格サイズのベルクロベルトによって、ポーチなどをベストに装着できるというもの。これをシートジャケットに使っているのだ。
これを使えば、車内を雑然とさせることなく、スマートに様々なアイテムをシート後ろに付けることができる。素材も日本の某防衛組織などで使っているものを採用しているので、リアルで丈夫。ミリタリーファンでなくとも、思わず欲しくなる逸品だ。
もうひとつは、YKKのスナッドという商品を活用したシステムだ。スナッドというのは、樹脂製の大きなスナップホックのことで、この商品はスナッドのメス側に両面テープ、オス側にはナイロンベルトが付いている。
メス側を車内のどこかに貼り付ければ、ベルトをホックで固定できるというモノ。どうやって使うかというと、例えばポーチやボトル、小袋などをベルトで固定すれば、車内の壁などに物を付けておくことができる。
このスナッドベルトシステムとタクティカルジャケットシートの両方を使えば、車内の整理整頓はバッチリ。例えば車内で寝ながら「耳が掻きたいなぁ」と思ったら、スナッドで固定したポーチからすかさず綿棒! メガネを外しても、シートジャケットに付けておけば、翌朝どこに置いたか分からなくなる心配なし!
ちなみにシートジャケットは、両方のシートを倒したら下になってしまうので悪しからず。
車体とタープを合体させることで、雨天でも就寝スペースと外のリビングを濡れることなく移動できる。
要はタープのコードをどう引っ張って固定するかがポイント。車内のハンドルなどを使って引っ張るか、車体にフックを固定するか、2パターンの方法が考えられる。

僕と巨匠が愛用しているオスプレーの「アトモスAG 50」。自分の身体にフィットさせる調整機能付きで、長時間でも快適なトレッキングが楽しめる。